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 だれもが執筆、編集できるインターネット上の百科事典「ウィキペディア」を運営するウィキメディア財団は8月31日、210件の項目を削除したと明らかにした。企業や特定の人物らから報酬を得て、その利益に沿う記述や編集があったためだという。これに伴い、381のアカウントからの書き込みを停止させた。

 ウィキメディア財団によると、問題が見つかったのはすべて英語版のウィキペディアで、「多くが企業や実業家、アーティストなどに関する記述」という。今回書き込みを停止させられた利用者は、企業などから報酬を得ていることを隠して、その企業の利益になるような記述をしていたという。ウィキペディアでは、自分の勤める団体などについて記述することはできるが、利益相反を避けるため、事前に関係を明らかにする必要がある。

 ウィキペディアは2001年に英語版が作られ、15年3月現在、日本語を含む288言語で書かれている。運営は寄付でまかなわれ、専門家のチェックを経ずにだれもが匿名で記述、編集できる。専門家でなくても気軽に記述できる一方、情報の正確さや信頼性、公平性などで問題が指摘されることがある。(テキサス州ダラス=宮地ゆう)