「国民的打者」のバットが熱い。
韓国プロ野球サムスン・ライオンズのイ・スンヨプ(39)が1日のNCダイノス戦(馬山球場)で今季第25号ホームランを放った。9回2死3塁という場面で、NCの投手チェ・グムガンが投げた球速142キロメートルのツーシームをはじき返したものだ。サムスンは延長の末、7-6で勝った。6-6でもつれ込んだ延長10回、センター前ヒットを打ち一塁に出たパク・ヘミンが、後続打者の二塁打でホームに駆け込み、決勝点となった。1位サムスンは2位NCとのゲーム差を2.5に広げた。
韓日通算プロ21年目を迎えたイ・スンヨプだが、今年になってパワーと巧みさの両方を兼ね備えたタイプの打者に生まれ変わった。2年連続の30本塁打を狙う同選手の現在の打率は3割4分8厘(422打数147安打)。現在のペースで行けば個人通算1シーズン最高打率となる。これまでの20年間にマークした1シーズン最高打率は1997年の3割2分9厘だった。
年齢を忘れたかのような活躍の原動力は、簡潔な打撃フォームにある。全盛期に比べバットスピードが遅くなったものの、ボールをより正確にミートするため高い位置で構えていたバットを肩の高さで寝かせ、スタンスを狭くした。イ・スンヨプは身についた打撃フォームを捨て、新しいフォームを完全に身に付けようと昼夜にわたり汗を流した。開幕前のキャンプでも夜遅くまでスイングを調整した。今季開幕後は真っ先にグラウンドに出て特打もした。
イ・スンヨプが試みた変化は、時間がたつにつれて効果が現れた。5月までの打率は2割8分2厘だったが、夏の間も打撃の調子は上がり、3割4分8厘に達した。8月の1カ月間では4割8分5厘(68打数33安打)と猛打を振るい、月間リーグ最高打率をマークした。長打力もキープしている。イ・スンヨプは「コンパクトに振ろうと心がけるうちに空振りや三振が減った。ボールをミートする確率が上がったことからヒットやホームランが出やすくなったようだ」と語った。
イ・スンヨプが6番打者としてサムスンの下位打線を支え、チームの勝利にも貢献している。 8月以降でイ・スンヨプがホームランやマルチヒット(1試合複数安打)を出した日は、サムスンの勝率が7割6分9厘(10勝3敗)に達している。サムスンの柳仲逸(リュ・ジュンイル)監督は「イ・スンヨプが6番打者として頑張ってくれれば、打線の重みが増す」と言った。