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国内最大の指定暴力団山口組(神戸市)が分裂した。関西を中心に10を超す…
国内最大の指定暴力団山口組(神戸市)が分裂した。関西を中心に10を超す傘下団体が組から離反し、新たな組織をつくるとみられている。
組織同士の抗争に発展すれば、市民が巻き込まれる恐れもある。警察は監視を強め、活動を封じ込めなければならない。
組長の座をめぐって起きた80年代の「山一抗争」では、組員ら25人が死亡した。ナンバー2の幹部が内紛で97年に射殺された時は、流れ弾に当たった市民が亡くなった。
今後、繁華街の縄張り争いなど、どのようなきっかけで抗争に発展するかは予断を許さない。最大限の警戒が必要だ。
今回の分裂は、組の主導権争いが直接の原因のようだ。
10年前に就任した篠田建市組長(73)は、名古屋の出身団体から起用した幹部を中心に運営を進め、組の総本部も名古屋に移す考えを示した。これに不満を募らせた関西系の幹部が、分裂に動いたとみられる。
警察庁の昨年末の統計によると、山口組の組員は全国に1万人、組と密接な関係を持つ準構成員はさらに1万3千人いる。覚醒剤絡みや傷害など犯罪の検挙者は毎年1万人を超す。
分裂は取り締まりを強め、組織を弱体化させる好機でもある。警察は情報収集を急ぎ、幹部の摘発などさまざまな手段で壊滅をめざす必要がある。
92年に暴力団対策法が施行されて以来、警察は用心棒代など、脅しによる資金集めの封じ込めに力を入れてきた。11年までに全都道府県で暴力団排除条例が施行され、組員とは一切取引しない企業も増えた。
その一方で、暴力団はヤミ金融や違法な労働者派遣業を営んだり、振り込め詐欺に関与したりと資金源を多様化させ、実態はつかみにくくなっている。
篠田組長は、幅広い業界から吸い上げた資金で力を強めたといわれる。弱体化には資金ルートの解明と根絶が急務だ。
暴力団を足元から切り崩していくためには、組からの離脱支援と受け皿づくりも大切だ。
警察や各都道府県にある暴力追放運動推進センターは、暴力団を抜けたい人の相談に乗り、元組員を雇用した企業に給付金を出している。
全国で毎年500人前後が組を離れているが、「仕事に就けないのでは」との不安から離脱をためらう組員は多いという。
受け入れ企業を増やし、就労後もきめ細かく見守る。そんな取り組みがさらに広がるよう、社会が後押ししていく必要がある。
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