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lainのOPの話(その1 うんちく?編)

 最近「serial experiments lain」をレンタルで観て、見事にはまってしまい、先日Blu-ray Boxを購入しました。Blu-ray版はフィルムから録り直しているだけあって非常に画質が綺麗でよいです。

 lainは本編ももちろん素晴らしいですが、くまちゃん玲音がかわいいOPが非常にカッチョいいことで有名なアニメです。というわけで今回は、BDBOXを購入して初めてわかったことなども含めて、lainのOPについてつらつら書いてみたいと思います。


・三つのOP


 まず、lainのOPは、少なくとも大きく分けて二種類が存在します。一つがオンエア版であり、実際にTV放映されたバージョン。もう一つがDVD等に収録されているバージョンです(こちらを「ビデオ版」と呼ぶことにしましょう)。

 オンエア版とビデオ版の大きな差は、ラスト、歩道橋を歩く玲音の脇をカラスが飛んでいってからの一連のシーンです。ビデオ版では、カラスが画面手前に飛んでいく→歩道橋の遠景でストップモーション→玲音の顔にカラスの影が映る→歩道橋を進む玲音→画面をみつめる玲音、という流れになっていますが、オンエア版では、カラスが画面手前に飛んでいく→歩道橋の遠景→玲音の顔にカラスの影が映る→再び歩道橋の遠景でストップモーション→画面を見つめる玲音→「Close the world,Open the nExt」の文字が映る、という流れです。つまり、ビデオ版における「歩道橋を進む玲音」のシーンの代わりに、「Close the world,Open the nExt」のシーンが入っている形になっています。「Close the world…」はゲーム版を含むlainのキャッチフレーズ的なものであり、アニメ本編には殆ど登場しませんが、オンエア版のOPではここででかでかと登場します。

 さらに僕には全然わかりませんが、オンエア版のOPは音源に加工が加えられ、ボーカルが少し聴きやすくなっているようです(BDBOXのブックレットにある上田プロデューサーによる)。


 オンエア版のOPは現在BDBOXの特典DISCに収録されています(ただし、アバンはなし)。現在発売されている廉価版DVDBOXには収録されていません(過去のDVDBOX、VHS、LD版は未確認)。しかし、DVD版においても、最終回のOPは、終盤の展開がこのオンエア版に近いものとなっており、これでもなんとなく雰囲気はわかるとおもいます(最後のメッセージが出て来ませんが)。
 個人的には、オンエア版のOPは歩道橋の遠景が二度映るのがやや垢抜けない感じを与えるので、ビデオ版のOPの方が好きです。オンエア版のメッセージも非常にかっこいいんですけどもね。


 さらに同じビデオ版でも、BD版はDVD版とは大きく異なっています。というのも、BD版はフィルムから撮り直されているのに加え、一部のCGシーンはゼロから作り直しているからです。

 そもそも、画面の縦横比からして違います。DVD版が3:4なのに対し、BD版はこれよりやや横長になっています。これは元のフィルムが3:4よりやや横長になっており、そこから作りなおしているためです。

 加えて、CGシーンの差も顕著です。特に、冒頭のアバンタイトルにおける「プレゼント・デイ プレゼント・タイム」の文字と、OPの中のテレビに映る玲音のシーンは誰が見ても違いがわかるところでしょう。前者は、一から作りなおされており、文字がものすごく鮮明になっています。後者は、テレビにかかっているノイズの質感が随分変わって、よりザラザラした感じが強くなっています。

 こういう明らかな差に加えて、BD版は画質がはるかに上がっているので、DVD版とはもう全く別物といっていいほどの印象の差があります。個人的な好みとしては、やはりより鮮明なBD版が好きです。ただ、アバンタイトルの「プレゼント・デイ プレゼント・タイム」の文字についてだけは、BD版はやや鮮明になりすぎている気がして、DVD版の潰れ気味の文字の方がよりアングラ感があって好きです。


・「プレゼント・デイ プレゼント・タイム」


 lainといえばなんといっても、OPの前のアバンタイトル、「プレゼント・デイ プレゼント・タイム HAHAHA...」でしょう。「これから始まるのは(近未来でなく)われわれの現代・現在の話なのだ」と迫ると同時に、そのわれわれを嘲笑してくるという、めちょコワかつ超クールなメッセージです。

 この「プレゼント・デイ プレゼント・タイム」、僕は表記にカタカナを使ったということが本当に凄いなと思っていました。漢字で「現代」とか書くのは論外ですけど、中身がSFで、PC・ネットワークネタなので、安易に「present day present time」などと英語を使ってしまいそうなところじゃないですか。なのにそこでカタカナ表記を出し、あまつさえそれを外国人に(カタカナなのに!)読ませることで、より不安感を倍増させている。

 このチョイスはてっきり監督のセンスによるものだろうと思っていたんですが、シナリオ本を読んでみると、実はこの表記を最初に案出したのはシナリオの小中さんなんですね。実は、シナリオには各場面に状況説明として「渋谷」「玲音の部屋」のような表記が書かれているのですが、毎回の冒頭の街頭を写すシーン、あそこの状況説明に「プレゼント・デイ プレゼント・タイム」とあるのです。この表記に中村監督が目をつけアバンタイトルに利用したということらしいです。なんというか、様々な才能が奇跡的に組み合わさって出来たアニメだったんだなということを改めて実感させられるエピソードです。


・歌う玲音?


 さて肝心のOP映像ですが、映像は大きく分けて、・道を歩く玲音・TVから呼びかける玲音・CGや風景写真をバックに、妖精のように世界を見つめる玲音・さまざまなCG の4つの要素からなっています。このことの意味は別の機会に書くことにして、このうち・TV玲音・妖精玲音は、口を動かしており、どうもOPの音楽に合わせて歌っているように見えます。特に、「And you know it means so much」の「means so much」とか、タイミングがぴったりあってますよね。しかし奇妙なことに、口の形やリズムが合わないところも多いのです。

 これ、BDの絵コンテを見ると分かるんですけど、実は歌っているのではなく、「レイン」とつぶやいているんですね。つまりTV玲音と妖精玲音は、基本的に「レイン」とつぶやいて(つぶやき続けて)いるんです。その前提で見ると、口の形は合ってますし、タイミングが合わないのも説明出来ます。

 玲音は、まるで自分が誰かに記憶されていることを確認するかのように、TVの前の人たちや我々視聴者に向けて「レイン…レイン…」とつぶやき続けているわけです。なんだか本編の終盤に出てくるアナウンサーの「レインを好きになりましょうレインを好きになりましょう」にも通じる洗脳感があってこわいですな。まあそこがいかにもこの作品らしいですが。

 そう考えているとむしろいくつかの場面で音楽と「レイン」のタイミングが同期していることのほうがむしろ不思議になってきますが、おそらくこれは中村監督の演出なのでしょう。音楽と映像を同期させて共通のテンポを作るのはOPとしてある程度必須ですから、そういう効果が欲しい場面では曲と口パクを合わせていく。しかしまんま一緒だと逆にカッコ悪いので、ある程度はずらしていく。「基本的には同期させつつある程度ずらす」というのはオープニングやPVで普通のテクニックですが、これを単に映像と音楽の間ではなく、玲音の"声"とバックの歌の間、つまり"聞こえない音"と"聞こえる音"の間でやっているのが非常に面白いとおもいます。


 というわけでここまでlainのOPについておもに背景情報的な話をつらつらと書いて来ました。もっと「この演出がやばい!!!!!!!!!!!」「このlainがすごい!!!!!!!!!!」「死ぬ!!!!!!!!!!!!」みたいな発狂気味のキモい話は次回書くことにします。
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