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地球の裏側の「歴史戦」 海を求める内陸国ボリビアが敗れた「太平洋戦争」
「領土問題」取り上げ暗礁に
ボリビアとチリは1978年に断交し、大使館もない。2006年に就任したモラレス氏は「いつまでも隣国と敵対関係のまま生きてゆけない」として当初、国交正常化に積極的だった。エネルギー資源に乏しいチリにとってもボリビアの天然ガスは魅力的で、当時のバチェレ政権との間で「海への出口」問題を含む交渉が開始された。
その後、33人の作業員が奇跡的に救出された2010年の鉱山落盤事故で、出稼ぎのボリビア人が含まれていたことも融和ムードを高めた。モラレス氏が現地を訪れてチリ政府に感謝を示すなど、両国関係はこれまでになく好転した。
ところが、チリ国内では、そもそも存在しないとしていた領土問題を交渉のテーブルにあげた前政権への批判が強かった。また反米左派のモラレス氏と、親米右派のピニェラ大統領(当時)とは政治的には水と油で、結局、交渉は暗礁に乗り上げてしまった。
「110年前の条約無効」と訴え
ボリビアは2013年4月、オランダ・ハーグのICJに、国境紛争の存在確認と、チリが交渉に応じることを求めて提訴。当時の外相は、強要下で締結された1904年の条約は無効であると主張し、「完全な主権を持つ太平洋への出口をボリビアに与える裁定を下すこと」を求めた。
もっとも、条約で割譲した領土全体の回復は現実的には不可能だ。このためボリビアは、海につながる回廊のような道路や、太平洋に面した飛び地の確保などを、着地点として目指しているとされる。まさに「海への出口」だ。
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