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【世界を読む】地球の裏側の「歴史戦」 海を求める内陸国ボリビアが敗れた「太平洋戦争」

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地球の裏側の「歴史戦」 海を求める内陸国ボリビアが敗れた「太平洋戦争」

ラパスで「海への出口」を求めるパレードに参加した子供たち。「私は海がほしい」と掲げている=8月3日(ロイター)

 南米の内陸国ボリビアが「海への出口」を求め、国際司法裁判所(ICJ)でチリと争っている。ボリビアは19世紀末の戦争でチリに敗れ、400キロメートルに及ぶ海岸線とギリシャの面積に匹敵する沿岸部の領土を失った。隣国ながら犬猿の仲の両国には正式な国交もない。問題のきっかけとなった戦いの名はくしくも太平洋戦争。地球の裏側の「歴史戦」を、英BBCや現地報道をもとに報告する。(坂本英彰)

400キロの海岸線と12万平方キロの「国土」失う

 「沿岸部の統合という最重要目的に向かって前進し、ボリビア国民はこれまでになく団結している」

 3月23日の「海の日」。モラレス大統領は、標高約3600メートルにある主要都市ラパスで演説した。提訴から約2年。ICJは今年中にも判断を示す見込みだ。白い制服に身を包んだ海軍将兵が、直立不動の姿勢で演説に聞き入った。

 ボリビアは毎年、「海洋があった国家」の記憶を呼び覚ますイベントを盛大に行う。太平洋戦争で著名な将軍が戦死した日にちなみ、船の模型などとともに、海の絵を持つ子供たちのパレードもある。海がない国が維持し続ける海軍は、海の日に不可欠の存在だ。

 1825年にペルーから分離独立したボリビアは太平洋に面した国だったが、太平洋戦争(1879~1883)でチリに敗れたことで陸に閉じ込められた。1904年の講話条約で12万平方キロの沿岸部の割譲が確定し、400キロにわたる海岸線を失った。

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