五輪エンブレム:招致時の図案、採用できず

毎日新聞 2015年09月02日 21時59分(最終更新 09月03日 00時22分)

2020年の東京五輪開催決定を受け、駅構内に貼り出されたポスター=東京都新宿区の都営地下鉄大江戸線・都庁前駅で2013年9月、手塚耕一郎撮影
2020年の東京五輪開催決定を受け、駅構内に貼り出されたポスター=東京都新宿区の都営地下鉄大江戸線・都庁前駅で2013年9月、手塚耕一郎撮影

 公式エンブレムの撤回から一夜明けた2日、大会組織委員会は公式ホームページに掲出されたエンブレムを、招致段階で使用した「桜」のリースをモチーフにしたロゴに切り替えるなど対応に追われた。新たなものが決まるまでの暫定措置だが、切り替わった途端に組織委のフェイスブックに「なぜ、これではだめなのか」などと書き込まれ、ネット上を中心に復活の待望論が起こっている。

 組織委の布村幸彦副事務総長は「招致段階のエンブレムは無償で多く配布されている。有償で(権利ビジネスの)ライセンス展開するのは難しい」と説明した。ライセンス展開の一例がスポンサーへの特権。開催決定後、組織委は国内最上位のスポンサー「ゴールドパートナー」で1社あたり150億円の契約を結んでいる。巨費の見返りで、エンブレムの独占使用を認めているため、新たに作成しなければならないわけだ。国際オリンピック委員会(IOC)の規定では招致段階のエンブレムは採用できないという。

 このデザインは2011年11月に発表された。日本オリンピック委員会(JOC)が公募して寄せられた38点から当時、女子美大生だった島峰藍さんの作品が選ばれた。審査委員は3人だった。桜のリースをかたどったデザインで五輪マークの5色に東京ゆかりの江戸紫を用いた。「シンプルで日本らしい」と好評だった。【浅妻博之】

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