燃料輸送タンカー、6400キロのアフリカ沖迂回路を航行-原油下落で
2015/09/02 11:51 JST
(ブルームバーグ):原油相場下落を背景に、ディーゼル油とジェット燃料を積載したタンカーが約6400キロメートルの迂回(うかい)航路を取っている。船舶燃料価格が下落し取引機会が拡大しているためだ。
船舶追跡データによれば、少なくとも5隻の石油精製品輸送タンカーが8月と9月にエジプトのスエズ運河を通る通常の航路を利用せず、南アフリカ沖を航行して欧州の港湾に積み荷を運搬する見通しだ。取引会社が積み荷を海上で貯蔵することが有利な局面で、タンカーの燃料コスト下落により航路を延長することが可能になっている。上場企業としては石油精製品タンカー保有で世界2位のデンマークのトーラムによると、大陸間の長距離輸送は今年に入って、増加している。
石油輸出国機構(OPEC)加盟国が需要を上回る量の原油生産を継続したため、北海ブレント原油先物相場は昨年8月以降、約50%下落。原油市場は先物の方が現物よりも高い順ざやとなっている。
アークティック・セキュリティーズ(オスロ)の海運アナリスト、エリック・ニコライ・スタブセス氏は8月27日の電話インタビューで、「石油精製品をかなり長距離運搬する需要は極めて旺盛だ」と指摘。「今後、石油精製品タンカー保有企業にとって非常に有利な状況となるだろう」と、ガソリンやディーゼル油などの石油精製品を運搬するタンカーについて述べた。
これらのタンカーの運搬レートは上昇している。ブルームバーグが集計したデータによると、アフリカ沖を航行する長距離タンカーの収益は今年、1日当たり2万8375ドル。これは、少なくとも2010年以来の高値で、昨年末時点の予想を19%上回る。
ポテン・アンド・パートナーズのタンカー調査・コンサルティング責任者、エリック・ブロークフイゼン氏は「燃料価格下落により、スエズ運河を経由する航路と比較してケープ岬を回る航路がますます優位になっている。長い航路を取ることのもう一つの利点は、取引会社にとって積み荷の売却先の選択肢が増えることだ」と説明した。
原題:Fuel Ships Take 4,000-Mile Africa Detour as Oil Prices Plunge(抜粋)
記事に関する記者への問い合わせ先:ロンドン Manisha Jha mjha13@bloomberg.net
記事についてのエディターへの問い合わせ先: James Herron jherron9@bloomberg.net Naomi Christie
更新日時: 2015/09/02 11:51 JST