東芝不正経理問題にみる「パワハラ」「社畜」

「会社ではなく地獄に出勤」 社員が証言

 「職場」ではなく「地獄」だったという証言が出た。過去10年間に1兆4559ウォン(約1490億円)もの粉飾決算を行っていたことが分かり、今年7月末に歴代社長3人が揃って退職した、日本の大企業・東芝の話だ。日本の経済専門誌「日経ビジネス」は8月31日号で、東芝の現役社員が録音したメッセージを公開した。6人の社員の証言を基に、日本でもトップクラスの名門企業が10年にもわたり、いかにして不正な会計処理を行っていたのかを分析した特集記事の一部だ。実現不可能な業務目標を「チャレンジ」という美名の下、社員一人一人に強要していたことが、東芝に不正がはびこる根本的な原因だった、と同誌は分析した。

 「無間地獄」という表現は、東芝の調達部門で働く50代前半の課長の口から出た。なぜこのような言葉が出てきたのか。この課長は先月初め、10時間にわたって証言し、取材班はそれを録音した。

 部品の調達費用を削減することがカギになっていた。当初、課長が考えていた目標値があったが、上司たちはそれに「チャレンジ分」を上積みし、達成不可能な目標を定めた。その数値が、社長が出席する会議で勝手に議題とされた。その後、上司3人が課長を呼び出し、「チャレンジ」を達成する方策を問いただした。課長はあわてふためいた。上司Aは「この資料は私が書いたものをそのまま持ってきただけじゃないか。方法を考えろ」と言い、上司Bは「頭を使え。方法がなかったら(課長が自ら)社長にそう言え」と告げた。上司Cは「時間がない」と迫った。課長が「チャレンジ分」の費用削減は到底難しいと説明すると、上司は課長に対し「なら、君のせいで(目標の達成が)できないと、社長に説明してくる」と告げた。結局、この部署は部品の費用を計算する時期を遅らせ、書類上でチャレンジ分を達成したように装った。

 東芝の粉飾決算事件が発覚した後、日本であらためて注目されている社会現象が「パワハラ(パワー・ハラスメント)」だ。上司が権限を濫用し、部下を苦しめることを指す造語だ。サラリーマンではなく「社畜(会社の家畜という意)」という自嘲的な流行語まで登場している。

 このような現象が職場の風土として根付いてしまうと、それを正すのは次第に困難になる。不況に打ち勝とうとする滅私奉公の精神が、かえって致命的な乱脈経営や腐敗へとつながっていくのだ。

東京=金秀恵(キム・スヘ)特派員
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