勝見壮史
2015年9月2日01時12分
縦に速く攻めなさい。日本代表のハリルホジッチ監督はそう教えてきた。3月の就任から3連勝して、「マジック」と評された。しかし6月のワールドカップ(W杯)ロシア大会アジア2次予選の初戦、ホームでシンガポールと引き分けて以来、魔法の効き目は消えてしまったようだ。
6月のシンガポール戦は圧倒的に攻めながら0―0に終わった。データスタジアム社によると、この試合の縦パスの総数(セットプレーは除く)は193本。それまで3連勝した国際親善試合のチュニジア戦、ウズベキスタン戦、イラク戦より多かった。成功率74・6%も3試合を上回った。しかし、大事な試合の結果には結びつかなかった。
シンガポールは、時にペナルティーエリア(PA)付近に8人が下がるほど、守りを固めた。日本はその密集地帯に縦パスを送り込んで崩そうとした。
待ち構える相手に向かって突き進めば、その攻撃は「縦」だが、相手から見て「速く」はない。
前半30分ごろの攻撃。相手DFが待ち構えるPAの手前にいたFW本田(ACミラン)へ、MF長谷部(フランクフルト)がスピードの速い縦パスを入れた。反応して本田に近寄ったFW宇佐美(ガ大阪)がその球を受け、抜け出したFW岡崎(レスター)へラストパスを送った。
決定的な場面に見えたが、シュートはGKの正面を突いた。シュートした岡崎に余裕があれば、楽々と決めていただろう。相手が作った密集と、自らが加えたスピードが、岡崎のシュート技術を狂わせた。
シンガポール戦の日本代表の試合ぶりは、理想的なデータを残している。
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