2015年09月01日

◆ 五輪エンブレムは決着したか?

 佐野研二郎の五輪エンブレムは、取り消しが決まった。これで決着したことになるか? いや、決着していない。

 ──

 佐野研二郎の五輪エンブレムは、取り消しが決まった。これで決着したように見えるが、肝心の問題が残っている。それは、この騒動をダラダラと拡大した、審査委と組織委の問題だ。特に、審査委の問題が大きい。

 ──

 そもそも、パクリ疑惑に対して、次のような擁護があった。
 「単純な要素の組み合わせでは、類似することがあるのは仕方ない」

 
 これはその通り。だから、最終案がベルギー案に似てしまったことには、弁解の余地がある。
 ただしそれは、佐野研二郎にとっての弁解だ。一方、審査委の方には、弁解の余地がない。なぜなら、
 「単純な要素の組み合わせでは、類似することはしばしばある」
 とわかっているがゆえに、単純な要素の組み合わせによるデザインは避けなければならないからだ。
 特に今回のデザインは、あまりにも単純だ。


origi22.jpg

 
 原案(左図)は、三角形と四角形と円だけからなる。これは、右の積み木と同様で、あまりにも単純だ。幼稚園児レベルの単純さだ。
 これは、単純であるがゆえに、凡庸であり、かつ、同種のものはたくさんあると見込まれる。なのに、このような単純なものを選んだという時点で、審査委の責任はあまりにも大きい。
  ・ 幼稚園児レベルの凡庸なものを選んだ。
  ・ 凡庸さゆえに類似デザインがありそうなものを選んだ。

 こういう責任がある。

 ──

 さらに大きな責任がある。
 「類似デザインがあると判明したあとで、佐野デザインを取り消さなかった」(修正を依頼した)

 
 これはあまりにも大きな失着だ。類似デザインがあると判明したならば、その時点で、採用の資格を失うはずだ。かわりに、第二位のものが選ばれるはずだ。
 なのに、類似デザインがあると判明したあとでも、修正を依頼するという形で、審査委と佐野研二郎との「共作」になってしまった。
 しかし、審査委が「共作」に参加するというのは、まったく不公正だろう。こんなふうに「パスするまで何度でも修正する」なんてことが認められるのは、許されない。ま、全員に許されるならまだしも、佐野研二郎だけに許されるというのは、あまりにも不公正だ。
 このことからして、「癒着」「出来レース」の疑いが非常に濃厚となる。

 ──

 以上のことからして、次の処分が妥当だ。
 「無能かつ不公正なことをした審査委は、審査する資格がない。さらに言えば、応募資格として、佐野研二郎など一部の人に資格を絞ったことも、出来レースを疑わせる。あまりにも癒着が疑われるので、審査委を全員、クビにするべきだ」

 愚かな審査委員がいたせいで、愚かな結果が出た。ならば、愚かな審査委員をすべてクビにして、新たな審査委員に任せるべきだ。それが妥当だろう。

 そもそも、今回のエンブレムを選ぶ審査委員長は、長野五輪のエンブレムをデザインした人(篠塚正典)がやるべきだった。なのに、業界の人脈などのせいで、篠塚が排除されるように、永井一正の一派がコネを通したらしい。
 2020東京オリンピックエンブレムコンペの参加資格から排除された長野オリンピックのエンブレム作者、篠塚氏は多摩美卒後にアメリカの美大を首席で卒業し、アメリカの大手広告会社に勤務、日本支社に転勤してきて長野オリンピックのエンブレムコンペを勝ち抜いた。
 長野オリンピックでは篠塚氏はエンブレムだけでなくピクトグラム等のデザインをトータルに請け負った。つまりオリンピック利権を欲しいままにしてきた電通にとってはアメリカの広告会社に仕事を取られた嫌な事件だったと思われる。
 また、現在協議中のTPPに日本が参加すると広告業も解放されるため、現在の電博独占状態が解体する可能性も以前より指摘されており電通は焦っているのかもしれない。
 永井一正は64年の東京オリンピックでコンペに敗れ、72年の札幌オリンピックではコンペを勝ち取ったものの「盗作」騒動を引き起こした。長野冬季オリンピックで今度こそ汚名を晴らすはずが、我が子一史と同世代で我が子より才能のある篠塚に敗れた。
 28日の佐野エンブレム原案公表時には、わざわざ歴代オリンピックエンブレムから、長野オリンピックのエンブレム「だけ」外して解説されているが、露骨な篠塚外しと無理やりな佐野上げは永井氏と電通の両方の意図だったのかもしれない。
( → 2ちゃんねる

 元はと言えば、電通の利権があったようだ。アメリカの広告会社に渡さず、電通が利権を得るようにと、篠塚正典を排除し、その一環として、自分になびいている佐野研二郎のデザインを取ったのだろう。なにしろこれは、永井一正の下記デザインをパクったもの(影響を受けたもの)でもあるからだ。


toyamabi.jpg
富山県立近代美術館 ポスター


 ──

 結局、今回の事件は、「前回のデザイナーを委員長に据える」という慣例を無視して、「前々回(札幌)のデザイナーを委員長に据える」という横槍を通したことが根源にある。
 そして、そのような横槍が通された理由は、前回のデザイナーがアメリカの広告会社に勤務していたこと(今は独立したが)の恨みがあって、今度こそ自社で独占したいという電通の狙いから、横紙破りで永井一正を委員長に据えたことだろう。
 とすれば、このような電通の横紙破りを禁じて、永井一正を首にして、篠塚正典を委員長に据えるべきだ。そうすれば、佐野研二郎のデザインみたいな低レベルのデザインは最初から選ばれなかったはずだ。何しろ、アメリカの美術大学を首席で卒業したほどの人だからだ。

 ──

 結論。

 今回の騒動は、電通の利権が原因。
 利権のせいで、不当にも、永井一正が委員長となり、愛弟子みたいな佐野研二郎に決める出来レースとなっていた。
 これを解決するには、現在の審査委員をすべてクビにする必要がある。審査委員長には、篠塚正典を据えるべきだ。

 ※ ただし、電通の利権を排除することは、自民党には困難だ。
   特に、安倍首相には、まず無理だろう。利権にどっぷり。



 [ 付記 ]
 今回の騒動を引き起こした審査委員は、低レベルな原案を選んだという点で、大きな責任がある。少なくとも、その名前ぐらいは出しておくべきなのだが、組織委にはその名前が出ていない。
  → https://tokyo2020.jp/jp/

 ただし、組織委の昔のページには、「募集要項」というのがあって、そこには、次の生江があった。
審査員は、日本グラフィックデザイナー協会特別顧問の永井一正、同協会会長の浅葉克己、インテリアデザイナーの片山正通、グラフィックデザイナーの長嶋りかこ、ライゾマティクスの真鍋大度らが務める。
( → Fashionsnap.com

 とはいえ、今はこのページはない。削除された。無責任だね。
 また、上記の氏名は全員ではないので、他の人も含めて、全員の名前を出すべきだ。(組織委のページに。)

 ただし、今はネット時代なので、組織委が隠しても、他の人が情報を出している。探せば見つかる。
東京五輪エンブレムの審査員は
  ・ 永井一正
  ・ 浅葉克己
  ・ 細谷巖
  ・ 高崎卓馬
  ・ 平野敬子
  ・ 片山正通
  ・ 真鍋大度
  ・ 長嶋りかこ
 (敬称略)
( → 個人ブログ

 ちゃんとバレています。隠しても意味がないのだから、組織委は堂々と名前を出すべきだろう。
( ※ これらの全員が電通の息がかかっている……とは言えないが、これらの全員が永井一正の息がかかっている……とは言えるだろう。だからこそ、あんなゴミデザインが選ばれたし、世間で批判されたあとでも、いつまでも佐野研二郎デザインにこだわった。まともな判断力が備わっていない。)
( ※ 要するに、佐野研二郎が責任を取っただけでは駄目で、これらの審査委員全員が責任を取るべきだ、ということ。自分で責任を取れなければ、上位の誰かが、これらの人々をクビにするべきだ。もしそうしないのであれば、世間で騒いで、辞任に追い込むべきだ。) 
( ※ 特に、電通と永井一正の責任は大きい。この両者が今回の事件の黒幕だと言えるだろう。佐野研二郎は、踊らされたピエロにすぎない。佐野研二郎だけを批判するのでは、本質を見失う。……佐野研二郎がパクったことが問題なのではない。ゴミみたいな佐野研二郎のデザインを選んだことが問題なのだ。この件は、私が最初から述べた通り。 → 最初の話
( ※ 電通の利権については → 参考サイト



 [ 余談 ]
 佐野研二郎の新たなパクリが見つかった。やはり多摩美のポスター。(前とは別のもの。2種類。)
  ・ ロシアのチョキ
  ・ フォントが溶ける墨汁
 という2種類のポスター。
 詳細は、下記。
  → http://warotanews.com/archives/3324

 私の解説は下記。
  → 《 お知らせ 》(五輪エンブレム) の [ 補足3 ]
  
 
posted by 管理人 at 22:30 | Comment(0) |  東京五輪 このエントリーをはてなブックマークに追加
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