【コラム】景福宮横の大韓航空所有地、どう活用すべきか

【コラム】景福宮横の大韓航空所有地、どう活用すべきか

 ソウル市中心部、景福宮近くにある中区ソンヒョン洞の敷地(3万6642平方メートル)はかつて、米国大使館職員の宿舎として利用されていたが、2002年にサムスン生命に売却された。サムスン生命はここに美術館を建設する計画だったが、04年に竜山区漢南洞に近代美術館「LEEUM」をオープンしたため、ソンヒョン洞の土地は08年6月に大韓航空に売却した。翌年9月に大韓航空は七つ星の韓国式高級ホテルの建設計画を発表したが、この計画は学校周辺に宿泊施設の建設を禁じる法規制に引っ掛かり、とん挫した。大韓航空は行政訴訟を起こしたものの、最終的に大法院(最高裁に相当)で敗訴が確定。現在、大韓航空は憲法裁判所に訴えている。

 この結果、ソウル都心の広大な土地が10年以上にわたり何も利用されなくなり、それによって今後何が建設されるのか、あらためて注目を集めている。とりわけ文化・芸術関係者の関心が高い。なぜならこの場所は景福宮-北村-昌徳宮と続くいわゆる「歴史ベルト」と、仁寺洞から三清洞へと続く「文化ベルト」の中間に位置しているからだ。またその後、周辺に大韓民国歴史博物館や国立現代美術館ソウル館がオープンしたことで、文化ベルトは景福宮西側の西村にまで広がり、この土地が持つ象徴的な意味合いがいっそう高まった。文化・芸術関係者はその場所と規模に見合った、まさに名実兼ね備えた施設が建設されることを期待している。

 このような背景の中、文化体育観光部(省に相当)と大韓航空は今月18日、この土地に韓国文化体験空間「Kエクスプレス」を建設する計画を発表し、大きな注目を集めた。しかし、韓国の伝統文化と現代文化を同時に紹介し、体験できる施設を2017年までに建設するというこの計画は、発表直後から大きな批判にさらされている。まず、大韓航空がこれまで計画してきたホテル建設が完全に取りやめになったのか、今のところ定かではない。大韓航空に「ホテル建設はあきらめたのか」と問い合わせたところ「現時点では(ホテル建設の)計画はない」と繰り返すだけだ。また、文化体育観光部の金鍾徳(キム・ジョンドク)長官は24日の会見で「今は不可能だが、10年後もこの状態が続くかどうかは分からない」と発言した。大韓航空を傘下に持つ韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長は13年8月、大統領に最高級観光ホテル建設規制の緩和を求め、それを受け、今も法律の見直しに向けた検討が続いている状況だ。

 私有地をどう利用するかは、外部の人間があれこれ言うべきことではない。しかし、景福宮横の大韓航空の敷地に建設される「Kエクスプレス」は、その外観と内容のいずれも国民の期待に見合ったものとは言いがたい。一部では「今後法律が改正されれば建物が改修され、元の計画通りホテルになるのではないか」といった懸念もある。実際にこの計画をあらためて見直すと、確かに「正体不明の一時的な建造物」という印象をぬぐい去ることはできない。

 この土地の持つ象徴的・文化的意味合いを考慮し、大韓航空はもう少し積極的な考え方を持てないだろうか。まず、国民から意見を聞き、それによって最も適切な活用計画を立てることができれば、さまざまな問題で失墜した企業イメージの改善にもプラスになるだろう。文化体育観光部も、この問題に関わるのなら、政権のご機嫌を取るような一時的なものではなく、より長期的かつ根本的な方策を取りまとめ、仲裁に努めるべきだ。このままでは今回発表された計画は、政府と財閥の利害が一致したことに伴う拙速かつ即興的な政策決定の典型事例として、後々まで記録されることになるだろう。

世論読者部= 李先敏(イ・ソンミン)部長
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