【サンパウロ=宮本英威】パナソニックは2016年にメキシコで白物家電市場に参入する方針だ。12年からブラジルで生産している冷蔵庫と洗濯機を輸出する。メキシコでは経済成長に伴って中間層が徐々に増えており、同社製のやや高めの価格帯の製品でも需要が見込めると判断した。白物家電を中南米での成長の軸に据える。
中南米総代表の塩川順久常務役員が28日、日本経済新聞などに明らかにした。メキシコには競合メーカーが北米輸出のための白物の生産拠点を持ち、競争環境は厳しいという。ブラジルの生産コストはメキシコよりも高いが「無関税で輸出できるため、高めの価格帯でなら需要が見込める」と判断した。
ブラジル南東部のエストレマ工場(ミナスジェライス州)で生産している、ガラス扉で高級感のある冷蔵庫、容量の大きい洗濯機などを輸出する。18年度に50億円程度の売り上げを目指す。
同社によると、メキシコの白物の市場規模は15年に冷蔵庫で220万台、洗濯機で248万台。
パナソニックは18年度の中南米での売上高を2200億円とする目標も明らかにした。15年度計画(1600億円)から約4割増やす予定。ブラジルとメキシコの2カ国に力点を置き「テレビ依存型の構造を切り替え、BtoB(企業向け取引)や白物家電を伸ばしたい」との戦略だ。
BtoBではセキュリティーシステム、電子看板(デジタルサイネージ)に力を入れる。競技場やホテル、病院、交通機関などの需要を開拓する。「売りきりではなく、継続的な保守サービスでも売り上げを確保できるのが利点だ」という。
パナソニック、冷蔵庫、塩川順久、洗濯機、メキシコ、日本経済新聞