中国:3日連続で元切り下げ 1ドルを6.4010元に

毎日新聞 2015年08月13日 10時41分(最終更新 08月13日 12時41分)

 【鈴木一也、北京・井出晋平】中国人民銀行(中央銀行)は13日、人民元の対ドル取引の目安になる基準値を3日連続で切り下げ、前日(1ドル=6.3306元)より約1.1%安い1ドル=6.4010元に設定した。日本や中国の株式市場はいったん下落したものの、切り下げ幅が前日より縮小していることから、「人民元切り下げのペースは緩やかになる」との見方も広がり、前日終値比で反発に転じる場面もあった。

 基準値は3日間でドルに対し4.65%下落し、2011年8月以来の元安水準となった。12日の上海外国為替市場の終値(1ドル=6.3870元)と比べた下落幅は約0.2%だった。

 人民元の連日の切り下げには、輸出を増やし、減速する中国の景気を下支えする狙いが込められている。人民銀は「人民元が他の通貨に対して強くなっていた」としており、一定の水準まで切り下げる意向とみられる。一方、人民銀は12日には市場でドル売り介入を行った模様。切り下げ幅も段階的に縮小しており、急激な元安を望まない姿勢もうかがえる。

 13日午前の東京株式市場では、日経平均株価が一時前日終値比140円超値上がりして2万500円台に乗せたが、人民元切り下げの報道が伝わると200円程度値下がりし、同80円超安い2万300円台をつけた。ただ、その後は反発に転じ、午後になると上げ幅を広げた。市場は一定の人民元切り下げを織り込みつつあるようにも見える。野村証券の山口正章エクイティ・マーケット・ストラテジストは「12日に人民銀が元買い・ドル売り介入を行ったと伝わったことで、このまま一方的に元安が進むという懸念がかなり小さくなった」と分析している。

 人民銀は11日、基準値の算出方法を、前日の市場の終値を重視して算出する方法に変更すると発表。同時に、基準値を前日基準比より2%近く引き下げた。また、12日にも約1.6%引き下げた。突然の切り下げを受け、世界的に株価が急落するなど、影響が拡大。同日のニューヨーク株式市場は、中国経済の減速懸念から売りが先行し、ダウ工業株30種平均が一時前日終値比277ドル安に急落した。だが、その後は米連邦準備制度理事会(FRB)の利上げ観測が後退したことで安心感が広がり、0.33ドル安の1万7402.51ドルまで値を戻した。

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