東証:下げ幅一時290円超 人民元2日連続切り下げ
毎日新聞 2015年08月12日 11時34分(最終更新 08月12日 12時32分)
12日の東京株式市場は、中国の人民元切り下げに伴う中国経済への先行き不安感の広がりを受けて大幅に下落し、日経平均株価の下げ幅は一時290円を超え、2万400円台前半まで値を下げた。中国人民銀行(中央銀行)は、12日も人民元の基準値を前日より約1.6%安い水準に設定し、2日連続の大幅切り下げとなった。外国為替市場では、円安が進むなど影響が広がっている。
中国人民銀行は11日、対米ドルの人民元の基準値を一気に2%近く切り下げた。市場では、相場を元安に誘導することで輸出を促進する狙いがあるとの見方が強く「中国当局も景気低迷を認めざるを得ない状況に陥った」との不安感につながった。これを受けて、同日のニューヨーク株式市場のダウ工業株30種平均は大幅に下落し、前日比212.33ドル安の1万7402.84ドルで取引を終えた。
12日の東京市場もこの流れを受けて続落して始まった。同日午前、中国人民銀行は、上海外国為替市場の人民元の対米ドル相場の基準値を、前日の基準値より約1.6%元安・ドル高の1ドル=6.3306元に設定すると発表。前日の市場の終値(1ドル=6.3231元)よりも元安に設定されたため、「中国当局による元安誘導の動きが鮮明になった」との思惑が市場で広がり、日経平均は急速に値を下げた。
また、同日の東京外国為替市場は、人民元切り下げを受けてドル高が進むとの思惑から円売り・ドル買いが優勢となり、円相場は一時1ドル=125円24銭まで下落し、6月8日以来約2カ月ぶりの円安水準になった。
11日のニューヨーク・マーカンタイル取引所の原油先物市場では、指標となる米国産標準油種(WTI)の9月渡しの終値が前日比1.88ドル安の1バレル=43.08ドルとなり、2009年3月以来6年5カ月ぶりの水準に下落した。中国の景気減速によって原油需要が減少するとの観測が強まり、取引時間中には一時、42ドル台半ばまで値を下げた。
市場では「ドル高・元安がさらに進む」との観測が強まっている。米財務省は11日、人民元切り下げについて、「(相場水準を市場が決める)人民元改革に逆行するなら、厄介なことになる」として、元安誘導をけん制する声明を出した。【鈴木一也、ワシントン清水憲司、北京・井出晋平】