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インドネシア高速鉄道 日中の受注競争大詰め
8月31日 18時50分

インドネシア高速鉄道 日中の受注競争大詰め
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インドネシアが導入を計画している高速鉄道を巡り、日本と中国の受注競争が大詰めを迎えるなか、インドネシア政府はそれぞれの計画案を検討する高官級の会議を行い、今週中にも日中のどちらに発注するか決まる見通しです。
インドネシアの首都ジャカルタと東におよそ140キロ離れたバンドンを結ぶ高速鉄道計画を巡っては、日本が新幹線方式の輸出を目指す一方、中国も自国の高速鉄道の売り込みを進めています。
インドネシア政府は31日、ジャカルタで閣僚会議を開いて、日本と中国のどちらの計画案を採用するか勧告を出す予定でしたが、急きょ、閣僚会議を延期し、経済政策を担当する6つの省庁の高官が出席する会議を行って、双方の案を検討しています。会議では、インドネシア政府から委託を受けたアメリカのコンサルタント会社が双方の案について財政面や技術面から行った調査をもとに、意見が交わされています。
インドネシアの高速鉄道を巡っては、中国は、工期の短さや融資の拡充によるインドネシア側の負担の少なさをアピールしていて、インドネシア政府の関係者によりますと、日本は先週、融資の返済条件を大幅に緩和した案を新たに提示するなど、受注競争が大詰めを迎えています。
インドネシア政府は、高官級の会議を経て、今週中にも閣僚会議を行い、日本と中国のどちらの案を採用するか勧告を出し、これを受けて、ジョコ大統領が最終的に判断することになります。

ジャワ島を横断する大動脈に

東南アジア最大のおよそ2億5000万人の人口を抱えるインドネシアでは、経済成長に伴って深刻化している道路の渋滞を緩和するため、インフラ整備の基幹事業として都市間を結ぶ高速鉄道の建設が計画されています。
今回、建設が計画されているインドネシア初の高速鉄道は、首都ジャカルタから東におよそ140キロ離れた都市バンドンを30分余りで結ぶもので、現在、車や在来線で3時間以上かかっている所要時間がおよそ6分の1に短縮できるとしています。
インドネシア政府はバンドンまでの区間の整備を終えたあと、将来的にはジャカルタから730キロ離れたインドネシア第2の都市スラバヤまで延伸させ、高速鉄道をジャワ島を横断するインドネシアの大動脈として活用したい考えです。

日本 新幹線の技術と安全性アピール

インドネシアが導入を計画している首都ジャカルタとバンドンを結ぶ高速鉄道について、日本と中国はそれぞれ事業化に向けた計画案をインドネシア政府に提出しています。
日本が提出している案は、新幹線のシステムを採用して建設からメンテナンスまでをパッケージにして導入するというものです。総工費はおよそ60兆ルピア、日本円にしておよそ5100億円で、およそ75%を日本側が低金利の円借款として供与するとしています。計画では来年、2016年に着工し2021年に運行が開始できるとしています。日本側は新幹線の開業から一度も乗客の死亡事故が起きていないことなどを挙げ、高い技術と安全性を最大のアピールポイントにしています。
一方、中国が提示している案は、中国が独自に開発したと主張している高速鉄道の導入で、総工費はおよそ71兆ルピア、日本円にしておよそ6100億円です。総工費は高いものの融資の額を日本よりも高く設定してインドネシア側の初期負担を軽くするとしています。また、工期は僅か3年で、2018年には運行が開始できるとしているほかインドネシア国内で生産した部品を使ったり技術移転を進めたりすることで、年間4万人の雇用創出効果があるとアピールしています。

世界で高速鉄道計画 激しい受注競争

高速鉄道の整備は、アジアやアメリカなど世界各国で計画されていて、日本のほか中国、ドイツ、フランスなどが国を挙げての受注競争を繰り広げています。
このうちアジアでは、インドで最大の都市ムンバイと西部の工業都市、アーメダバードの間のおよそ500キロを高速鉄道で結ぶ計画があるほか、タイでは首都バンコクと北部の観光都市チェンマイを結ぶおよそ700キロの路線が計画されています。これについて両政府はこれまでのところ、新幹線方式の導入に向け好意的な姿勢を示しています。
一方で、シンガポールとマレーシアの首都クアラルンプールの間のおよそ330キロを90分で結ぶ高速鉄道計画では、ことし末と言われる国際入札に向けて日本と中国などが激しい受注競争を続けています。
中国は短い工期などを強みに各国で自国の高速鉄道の売り込みを強めていて、このうちトルコでは高速鉄道計画に中国企業が参加することで両首脳が一致しています。
また、アメリカでは西部カリフォルニア州のロサンゼルスとサンフランシスコの間を3時間以内で結ぶ路線など11の事業が計画されています。

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