3/7〜3/9の日程で、佐賀・福岡に滞在してきました。イベントのなかで武雄市の若者を二人インタビューすることができたので、記事としてまとめさせていただきます。
吉原さんは1991年生まれ。里本さんは1989年生まれ。武雄を変えるすばらしい地域人材です。
武雄市を変える若手地域人材
里本:里本裕規です。五島出身で、島を出て佐賀大学に入学しました。大学2年生のときに、被災地支援の団体を立ち上げて支援活動を1年間しておりました。そのなかで町づくりに熱い人たちと出会いがあって、町づくりへの興味が芽生えました。
ここ武雄市は、真っ先に被災者への取り組みを始めていたので、そこで興味をもって市役所の試験を受けたら落ちてしまって、もう一度挑戦して受かりました、という状況です。
イケダ:では吉原さんも自己紹介をお願いします。
吉原:吉原さつきといいます。ここ武雄市で生まれ育ち、長崎大学に進学しました。小学校の先生になりたくて、小学校の実習などに足を運んでいるうちに、「学校にいけない子どもの居場所をつくれる人になりたい」と考えるようになりました。今は、色々な地域で活動している人のお話を聴きにいっています。
東北に思いがありまして、来年からは気仙沼の特別支援学校で働かせていただきます。被災地ではやはり、子どもの居場所、ケアが遅れがちなので、子どもの支援について多くのことを学べるのではと思っています。
今思い描いていることについて少し触れさせていただきます。ここ武雄市には、登校できない生徒向けの「スクラム」という場所があり、一軒家に学校にいけない子どもたちが来て、自分たちの時間を過ごしています。家というのがいいな、と思って。
被災地の釜石に行ったんですが、現地の方々が子どものために畑をつぶして作った手作りの公園がありました。このふたつを合わせたものを作れたら素敵だな、と思っています。
学校に行けないから行く場ではなく、一軒の家があって、そこにただいま、といえるような感覚の場所というのを構想しています。まだ本当に構想段階なんですけど…。
イケダ:お二人ともありがとうございます。会場から質問がたくさん来ているので、ぼくのほうでピックアップしていきます。まずは里本さんに。「武雄市役所でやりたいことはあるんですか?」という質問が来ています。
里本:結論から述べると、ないです。…と、場違いな発言してしまいましたが、今はまだないということです。もっともっと武雄のことを知りたいし、人と出会いたいし、学びたいと思っています。色々なものに触れた上で何ができるのかを見定めていきたいので、入っていきなりこれをやるぞ、ということは考えていませんね。まだ配属先もわからないので(笑)まずは自分が、自分が目を届く範囲の人をどれだけ笑わせることができるか、というところを考えていきたいです。
武雄市の魅力は?
イケダ:ありがとうございます。もうひとつ、「若者であるお二人が考える武雄の魅力は?」
笹本:そうですね、武雄図書館が注目されていますが、ここの魅力は、色々な人の色々な居場所があるというところだと思っています。勉強したい人もいれば、ゆっくりしたい人もいれば、子どもたちもいる。そのための空間的な仕掛けもあります。「世界の縮図」ができているのでいいなぁ、と思っています。
吉原:武雄市図書館はとても良く知られていて、以前宮城に行ったときにも「武雄から来ました」と言ったところ、現地の方も「図書館で有名なところでしょ」とご存知でした。今は武雄のことを、比較的どこの土地の人も知っていますね。武雄市図書館はすごいと思っています。
あとは田舎な感じも魅力です。私は山内で生まれ育って、あらためて帰ってきて魅力を実感しています。御船山があって、温泉があって、歴史もある街です。道の駅では取れ立ての野菜を売っているし、野菜をもらうこともあります。お米もおいしいですね。
(佐賀県 武雄温泉 御船山楽園より)
イケダ:食の魅力というと、魚介類はあるのでしょうか?武雄って山に囲まれていますけど。
里本:あ、魚介類はあまりありませんね。ただ自分は甲殻類アレルギーなので、武雄は全然出てこないので最高です(笑)間違って頼んじゃうこととかあるじゃないですか。
(会場笑)
(イケダ注:あとで他の方に聞いたところ、唐津や伊万里にいけば大変新鮮な魚が楽しめる!とのことでした笑)
若者が考える「武雄市の課題」
イケダ:では切り口を変えて、武雄の課題はどんなものがあるのでしょうか?
吉原:武雄市図書館が有名になっていると言いましたが、それ以外の魅力と武雄市が、まだ一般的には結びついていないのが残念ですね。温泉、神社、御船山があります。図書館が中心になって、観光名所も同時に広がっていけばいいのかな、と思います。
あとはやはりお年寄りが多くなっているというのと、同級生も自分もですが、地元に残る人が少ないな、というのもあります。
里本:パッと思い浮かんだのは、地方はスピード感があるというのが、裏目に出ることもないこともないかな、と…。たとえば「反転授業」を導入しても、教師が付いていけないなんて話も聞いたことがあります。
(イケダ注:この点に関しては、後日、里本さんの師匠とも言える武雄市役所の中尾さんからは、「どうしても、インパクトのある市長と外部からの刺激が多いまちでは、若者の「自分たちから自分たちのまちの未来をつくっていく」というパワーが育たないような気がしています」というコメントをいただきました。なるほど。
きっかけはバスの中
イケダ:まちづくりに関わるようになった「きっかけ」は何だったのでしょうか?
吉原:子どもたち居場所を作りたいと思ったきっかけは、佐賀県海外使節団というプログラムですね。私は3期で参加したのですが、そのときに海外から佐賀を見てみて、私は地元が好きだなぁ、ふるさとで何かしたいなぁ、と思いまして。
里本:きっかけは簡単で、バスの中だったんですよ。研究の学会発表がありまして、色々準備をして、ようやくやり終えたときに、達成感ではなく牢獄から出た感じで…違和感があったんです。
で、学会が終わってバスに乗ったときに、同乗していた目が不自由な方をちょっと助ける機会がありまして、バスから出る瞬間に、小さな声で運転手の方が「ありがとう」と言ってくれたんですよ。これに感動してしまって。人様のために何かできる、人と生きる道を選びたい、という思いが強くなりました。
夢を実現するために努力していること
イケダ:最後にもう一問。みなさんは夢を実現するために、どんなことを大切にして、日々努力をしていますか?
吉原:努力と言っていいかわからないんですが、人に会うことを大切にしています。夢が膨らんできたのも色々な人との出会いがあったからです。「こういうことをやりたい」と一言いったら応援してくれる人も増えていって、輪が広がっています。そういうことを海外使節団で学んだので、外に出ることを積極的にしていますね。
里本:「金魚のフン」になろうと思っています。今から武雄のこと、様々なことを学びたい、知りたいというのが強くありまして、そのための作戦があるんです。武雄市に入るにあたっては、そこにいらっしゃる中尾(雅幸)さんに大変お世話になったんです。中尾さんがいなかったら市役所に入ることもありませんでした。なので、中尾さんにとりあえず服従しようと思っています(笑)
中尾さんの金魚のふんにさえなれば、自ずと学んでいけるのかな、と。中尾さんに気に入ってもらうのが、これからの努力ですかね(笑)
(会場笑)
イケダ:もっともっと伺いたいのですが、残念ながら時間がすでに押しています。このセッションはここで締めて、さらにご質問などがあれば、直接お願いいたします。
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というわけで、貴重なお話を伺えました。武雄市にゆかりがある方は、彼らの活躍にぜひご注目ください。
・里本裕規 (Hyakujuoh)さんはTwitterを使っています
・3期生(2013年) « 佐賀県海外使節団 - Saga Delegation