【2014年09月14日
から
9月14日(日)
まで
】
万田邦敏、加藤泰を語る。
「加藤泰を論じる、などといっただいそれたことではなく、ここでは日本映画屈指の1本『沓掛時次郎 遊侠一匹』を見ながら、そこでいったい何が起こっているのかを検証してみたいと思っています。そうすることで、加藤泰が意識的に施したすばらしい映画演出ばかりでなく、おそらく意識せずにそうなってしまった、という映画必然の演出が見えてくるだろうと思います。ここで映画必然の演出というのは、監督が要求するのではなく、その映画の物語が要求する映画的な芝居のことです。それが見えたとき、「ああ、映画ってそうなっているのか!」という喜びと畏れが同時にあなたを襲うはずです。」万田邦敏
参考上映「沓掛時次郎 遊侠一匹」1966/日本/90min/カラー・シネマスコープ
| 監督 | 加藤泰 |
| 脚本 | 鈴木尚之、掛札昌裕 |
| 撮影 | 古谷伸 |
| 出演 | 中村錦之介、池内淳子、東千代之介、渥美清 |
旅烏の時次郎は、自分を慕ってついてくる身延の朝吉とともに気ままな旅を続けていたが、草鞋を脱いだ佐原の勘蔵一家と牛堀の権六一家の縄張り争いに巻き込まれそうになる。かつて飯岡助五郎と笹川繁蔵の争いに一宿一飯の義理で助っ人を申し出た時次郎は、多くの人間を斬り殺したことでやくざに嫌気がさしており、勘蔵の娘・お葉の懇願を振り切って立ち去るが、男を上げたい朝吉は時次郎を罵り、単身牛堀一家に殴りこんで返り討ちにあってしまう。…。
60年代半ばになると「時代劇」の人気は下火になり、かわって侠客もの(後のヤクザ映画)が主流になりはじめる。そんな中で、どうしても時代劇がやりたかった錦之介と、また一方で時代劇の正統派、伊藤大輔の弟子であり、山中貞雄の甥である加藤も、一度「沓掛時次郎」をやりたかったという考えが一致して実現した企画。加藤泰と主演の中村錦之助のコンビはすでに『瞼の母』(1962年)を映画化しており、本作品は2度目の長谷川伸の股旅ものとなる。