核軍縮に関する国際会議に出席するため、今週、広島を訪れたペリー氏。
広島を訪れるのは2回目、原爆資料館を訪問し、改めて核がもたらした被害を見つめました。
被爆者の声にも耳を傾けました。
被爆者
「すさまじい光が襲ってきました。
壁にたたきつけられ、しばらく意識を失いました。」
元国防長官 ウィリアム・ペリー氏
「(広島を訪れて)強く心を動かされました。
広島が象徴するものは非常に強烈です。
二度と同じことを繰り返してはならない。
そして、二度と核兵器を使用してはならないのです。」
冷戦時代には核の抑止力を信奉してきたペリー元国防長官やキッシンジャー元国務長官ら4人。
その4人が2007年、核廃絶を目指す論文を発表。
オバマ大統領が、その後に提唱する「核兵器なき世界」の基盤となったのです。
4人は、映画も製作。
映画『核の臨界点』より
“核兵器がテロリストの手に渡ったら?”
核テロの危険性が高まっていると警告し、核軍縮の必要性を訴えました。
映画『核の臨界点』より
“テロリストが核兵器を手に入れたら、技術者さえいれば核爆弾は市販の道具を使って作り出せる。
原料は少しでよく盗み出せる場所は多い”
元国防長官 ウィリアム・ペリー氏
「オバマ大統領は私たちをホワイトハウスに招待し、映写室で国家安全保障のスタッフにも映画を見せました。
そして『核兵器に関する私の考えは、この4人とこの映画に大きく影響を受けた、みんなにも見てもらいたい』と紹介しました。
今、世界では新たな核の軍拡競争が起こり、世界の緊張や核拡散はむしろ悪化しています。
核戦争の危険性は10年前よりもむしろ高まっているのです。」
ペリー氏は、今、核軍縮の動きが停滞かむしろ後退していると指摘します。
ウクライナ問題でアメリカとロシアの関係が悪化。
プーチン大統領は、クリミア併合をめぐり、核兵器使用に向けた準備をしていたと表明しました。
北朝鮮も核開発を継続。
核廃絶に向けた道のりは険しいままです。
元国防長官 ウィリアム・ペリー氏
「我々が核軍縮を進めようと努力する一方で、ロシアは『核兵器は安全保障に欠かせない』と明言し、逆に核の増強・拡大を図っています。
しかし、我々は諦めるわけではありません。
粘り強く働きかけ、再び核軍縮を前進させられるよう、世界的な機運を高めていく必要があるのです。」
核軍縮の機運を高めるために、日本はどのような役割を担うべきなのか。
元国防長官 ウィリアム・ペリー氏
「核軍縮に向け、日本政府が断固とした立場を取ることが望ましいのですが、これまでそうではありませんでした。
明らかに自国の安全をアメリカの核の傘に依存しているからです。
しかし私は、日本が核軍縮に向けて、もっと貢献できると思います。
国際社会が核軍縮に向けて結束できるような立場を、日本が取るよう促していきたいです。」
広島を訪問したペリー氏。
アメリカの大統領をはじめ、世界の指導者が被爆地を訪れるよう促していくとしています。
元国防長官 ウィリアム・ペリー氏
「オバマ大統領に尋ねられれば、私は広島に行くべきだと助言します。
ただし、原爆投下への謝罪の訪問ではありません。
原爆投下を決めたトルーマン大統領はじめ歴代大統領は、原爆投下が日米の大勢の命を救ったと考えているからです。
しかし、オバマ大統領の被爆地訪問は、核兵器が非人道的で、二度と使用してはいけないという信念を内外に示すことができるものになります。」