京都地検の女3 2015.08.26


(池内弘二)軽犯罪法違反。
こんなとこでオシッコしちゃいけないよな?トイレ行く。
お母さんは?おうちどこ?帰れる?
(お腹の鳴る音)なんだお腹空いてんのか?
(ラーメンをすする音)
(黒田幸恵)オシッコした?うん…したした。
スーッとしたらおじちゃんもお腹空いたフフッ。
名前はなんていうの?幸恵!幸恵ちゃんか〜。
幸恵ちゃんはラーメン好き?好き!食べ物で一番好きなの何?グラタン!
(池内)グラタンか〜。
(鶴丸あや)りん!なんでこんな勝手な真似するの!?
(鶴丸りん)ネットで見つけたから買ったんじゃない。
誰も買い物するななんて言ってません!でもどうしてお母さんのカードを使うの!?だって私カード持ってないもん。
そんな事言ってないでしょ!使うなら使うでお母さんの了解を取るべきでしょ!取った。
取ってない。
取った。
取ってない!奥で仕事してたから声かけた。
そしたらいいわよって言った。
言ってない!言った!言ってない!仕事に夢中で覚えてないのよ。
言ってません!いい?「親しき仲にも」って言葉知ってる?親子だから何してもいいってもんじゃないの!わかったわよ!返すわよ返しゃいいんでしょ!そんな事言ってないでしょ。
ケチケチしちゃってまったく。
自分でバイトして買うわよ。
バカ!りん!ふてくされりゃ済むってもんじゃないのよ!もう…。
…ったく。
(高原純之介)おはよう。
おはようございます。
あっおはよう。
おはようございます。
(高原)鶴丸君おはよう。
もぉ〜…バカ!…バカ?
(笑い声)
(鍵崎ナナ)おはようございます検事。
ちょっと聞いてくださいよ。
出口君たらね…。
まったく…!どうしてわかってくれないの?母親の気持ちを…!
(出口恒雄)検事僕って大食いですかね?ピザの2枚ぐらい普通食べれますよね?
(扉を強く閉める音)ピザがどうしたって?
(ドアの開く音)
(太田勇一)おっはよ〜。
…ございます。
黒田鈴子さん。
あなたには保護責任者遺棄の疑いがかけられています。
本来母親が保護すべき幼児を放置し生存に必要な保護をしなかったとの疑いです。
まだ5歳の長女を…幸恵ちゃんを冷え込んだ寒い夜にTシャツ1枚で外に放り出しておいてそのまま勤めていたスナックに出勤するなんて…。
(黒田鈴子)幸恵が…言う事聞かないもんでついカッとなって…。
深夜に…警察官が街中で保護した時には40度近い熱があって肺炎になりかけてたとか…。
ごめんなさい…。
うちには3歳の妹も1人で残していた。
夜はご主人はうちにいらっしゃらないんですか?はいよく出かけてるみたいで…。
うん…ご主人の黒田修さん昼間のお勤めですよね?できるだけ夜はうちにいてもらうようにしたら…?仕事も行ったり行かなかったりで…。
うちにもあまり帰ってこないし。
(ため息)いたらいたで幸恵を…。
え…?主人…幸恵の事嫌ってますから。
幸恵は前の旦那との間にできた…。
あの…タバコ吸ってもいいですか?吸えませんよ。
あなたご自分の立場をわきまえてください。
1つとても重要な事をお訊きしたいんですが…。
保護された幸恵ちゃんを診た医師の診断書があります。
えー「体中のあちこちに内出血。
打撲痕がある」とありますが…。
黒田が…。
うちの人…飲まないととてもいい人なんですけど飲むと訳がわからなくなって…。
幸恵が的になって…。
的!?お母さんが止めなきゃ。
止められませんよ。
うちの人体が大きいし私の力じゃとても…。
(机を叩く音)そんなの言い訳になりませんよ!私にどうしろって言うんですか!?誰か身近に相談できる人はいないんですか?黒田と一緒になる前はうまくいってたんです。
幸恵と2人で何もかもうまく…。
検事さん幸恵はいつ返してもらえるんですか?子供たちにグラタン作ってやらないと…。
グラタン?フッ…私料理下手だけど幸恵も正美も…グラタンだけは美味しい美味しいって…。
幸恵ちゃんは児童相談所が一時的に保護しています。
親元に返すかどうかの判断は児童相談所がするんです。
我々にその権限はありません。
でもきちんとホントの事を話せば幸恵ちゃんは早く戻ってきますよ。
黒田鈴子より夫の黒田修のほうが問題のようです。
自分の給料は賭博につぎ込み生活費をまったく入れず鈴子の留守をいい事に自分の賭博の負けのうさ晴らしに幸恵ちゃんを虐待していたようです。
その確証は?警察の取り調べでは否認しています。
しかし何より幸恵ちゃん本人が父親の虐待を訴えています。
うーん…それが事実だとしたら同じ娘を持つ父親としてまことに嘆かわしい。
黒田鈴子は今回の一件に深い反省と後悔を示しております。
書面にも改悛の情を記し再発防止を約束しております。
初犯でもありますし今回私は黒田鈴子を起訴猶予処分で済ませたいと思いますが。
話はよくわかった。
君の判断を支持する。
(ため息)親子の情愛は海よりも深いってとこかな。
まあその今の亭主を引き離すのが一番の得策なんだろうがしかしそう簡単にいくかなぁ…。
夫婦の間は親子以上に複雑怪奇だからなぁ。
はい。
いらっしゃい!何?早く言って。
用ってなんなの?
(堀川正太)失礼します。
うちに帰ってさ目通さなきゃいけない書類が山のようにあんのよ。
早く言って。
(北村鉄男)そんなんだからなりんりんに嫌われんだよ。
自分本位っちゅうか自己チューの権化だねこのおっかさんは。
りんと話したの?気になるか?別に。
昼間電話かけてきてな「お母さんとマズった」って言ってたよ。
あの子が悪いのよ。
ネットショップだかなんだか知らないけどさ人のカードを勝手に…。
ひっぱたくのは悪くねぇのか?開き直るからよ!だからついこっちもカーッとなって…。
あ…。
よし!じゃお互い謝りっこしろ。
面倒くせぇけど俺が立ち会ってやるよ。
ちょっと待ってよ。
私が!?どうして?ひっぱたいたんだろ?だからそれは理由があってよ!りんりんにだって言い分はあるんだよ。
りんが悪いのよ!そっちから折れてやれよ。
もういい歳なんだから。
歳関係ないでしょ!まったくわからず屋のコンコンチキだな。
何言ってんのよお節介のオッチョコチョイ!ちょっと待てよ…お節介じゃねぇだろ!
(言い争う声)待って2人とも!待って!
(2人)うるさい!このボケナス!まったくホントに…。
あ…すいません。
だから悪い事した時には…。
聞けっつうの。
ガツンと言っとかないと…!聞けっつんだ!俺の話を聞け!いいか?親がなそうやって…わぁびっくりした!なんで黒田鈴子が起訴猶予なんですか?は?あなたの目は節穴ですか?いつもの主婦の勘ってやつでごまかすつもりですか?起訴猶予になったんで児童相談所は保護を解除するそうです。
あんな母親んとこに幸恵ちゃん戻したらまた同じ事するだけでしょ!池内さん幸恵ちゃんってあなた…黒田鈴子の娘を知ってるの?個人的に一度だけ保護した事があります。
あの子は母親の虐待から逃げ回ってた。
それをまた元に戻したら…!虐待は旦那の黒田が…。
違う!旦那じゃない鈴子です!黒田は虐待否認してるんでしょ?あれから供述ひっくり返したんですか?いいえ…でも幸恵ちゃん本人が父親に虐待されたと…。
母親に言わされてるんですよ。
え…?クシャクシャになった写真取り出して泣いてみせたでしょ?あの女。
児童相談所で聞きました。
いつもの手なんですよあの女の。
みんな騙されてんですよ!あなた子供の気持ちになって考えた事ありますか?幸恵ちゃんの気持ちになって…。
このあと何も起こらない事を祈りますよ。
なんの話かは知らねぇけど子供の気持ちになれ!りんりんの気持ちになれよ!おい池内!飲み行こうぜ!せっかく会ったんだからよ!鶴丸検事を1時間ほどお借りしたいんですが…。
検事の出処進退にかかわる事態が発生しました。
(笑い声)穏やかならざる話だな。
その重大な事態の中身を聞かせてもらうわけには…?あとで必ずお話します。
ですんで今のところは…。
高原副部長の許可もらった。
俺について来てくれないか?離しなさいよ!いくら副部長の許可をもらったからって本人が嫌だって言ってるものを無理に連れてくなんて…!あんたに…黒田幸恵ちゃんに会ってもらいたいんだ。
幸恵ちゃんに…?
(池内)医者は危険な状態は脱したって言ってますが…わからんですね。
なぜこんな事に…。
黒田鈴子のせっかんですよ。
え…?黒田鈴子は…既に傷害の容疑で逮捕されてます。
そんな…!?だから…みんな騙されてたんですよあの女に。
…私のせい?
(柿野たまこ)どう?全然臭くないでしょ?青汁。
体にいいから!飲んで飲んで!ひと口だけでも。
いかがですか?青汁飲んでみませんか?ひと口だけでも全然臭くない…。
あっあやさん!疲れてるわよ。
青汁飲んで元気つけて!臭くないから。
ひと口だけでも。
ねえ飲んでって臭くないから!
(桜井麗子)あっ…あやさん!あやさん!大根ならあっちのスーパーのほうが12円安い…!
(吉川香織)そうやで。
何作んの?ポトフ?おでん?
(漆原さやか)奥さんお客さん?そんなぎょうさん買うて…。
目が飛んでた…。
いよいよ来たか?離婚の危機。
人の不幸は密の味。
(香織・麗子)やーこわっ!ウィーッス!あれ?おっかさん1人かい?りんりんはまだ帰ってきてねぇのかな?うわっ!何やってんだこれ…。
何してんだよ?やめろよ。
やめろって。
北村さん私…。
池内から大体の事は聞いたよ。
(ガスを止める音)私…。
(ため息)私に…今何かできる事って…。
飲もうぜ!なっ。
今はグジャグジャ考えるよりも飲もう。
家からなとっておきの酒持ってきたからな。
よっ…。
ほら飲めよ。
あーっ…。
北村…?何やってんの?あぁ…りんりん。
うぅ〜りんりんが来たらもう大丈夫だ。
あ〜よいしょ。
お母さん上で寝てるわ。
大事にしてやれよ。
ああ見えて結構ナイーブだったりもすっからな。
お酒臭い。
頼むぞ。
今回の黒田鈴子の事件…私に担当させてください。
無理しないほうがいい鶴丸検事。
こないだ中京署の池内刑事の勝手な振る舞いを許した責任は私にもある。
意識不明の被害者を無理矢理見せられてさぞかし君も…。
いえ…私は幸恵ちゃんに会ってよかったと思ってます。
あの時…もの言わぬ幸恵ちゃんはベッドの中から私を叱咤してくれました。
その後の容体は?小康状態を保ってますが意識はまだ…。
前回の黒田鈴子の起訴猶予処分の最終決定をしたのは私だ。
あやちゃん君じゃない。
だから…。
副部長私ここ数日ずっと幸恵ちゃんのために何ができるのか考えてました。
黒田鈴子のために何ができるのか…。
黒田鈴子を私に担当させてください。
(ため息)酔って自宅に帰ったあなたはいつまでもテレビを消さない幸恵ちゃんを叱りつけ玄関から放り出した。
しかし泣きやまない幸恵ちゃんに腹を立て玄関にあった花瓶で後頭部を殴り意識不明の重体に陥らせた。
この事実関係に間違いありませんか?そのとおりです。
私はあなたを信じすぎた…。
幸恵ちゃんの写真を見つめるあなたは…子供たちに大好きなグラタンを食べさせたいと願うあなたは紛れもなく母親に見えた。
私は手もなく騙されて…。
グラタンの話は本当です!嘘じゃない…。
だったらそんなあなたが…なぜ幸恵ちゃんをあんな目に?「私はあんたの正体を知っている」幸恵はいつもそんな目で私を見る。
だからつい腹が立って…!そんな事…理由にもなんにもならないわ。
わかってるけど…あの子の顔を見るとつい腹が立って手をあげたくなってしまって…。
バカでした…。
自分の母親のようにはなるまいって生きてきたのに…自分も…娘に同じ事を…。
(ため息)私…ベッドで眠り続ける幸恵ちゃんに会ってきました。
幸恵ちゃんの小さくて美しい顔には傷ひとつなかった。
それだけが唯一の救いでした。
(嗚咽)私…きれいで穏やかな幸恵ちゃんの顔を見ながら心の中で何度も何度も謝ったの。
でも幸恵ちゃん…許してくれなかった。
(鈴子の泣き声)検事そろそろ次の被疑者を呼んでも…?待って。
鍵崎出口。
(2人)はい。
黒田鈴子の夫・黒田修の犯行時のアリバイを調べて。
検事。
黒田修は犯行当夜先斗町のマージャン屋で仲間とマージャンをしてたとの供述…。
その店にあたって確実に裏をとって。
既に所轄署のほうで確認済みで…。
所轄とは関係ない。
地検としての対応を。
どうしてですか!?黒田鈴子の犯行がこれほど明白なのに…!いつもの主婦の勘ですか?今回はまったく…主婦の勘は働かない。
行こうよ!検事の指示どおり。
勝手にどうぞ。
(倉木民子)あの…検事は念には念を入れて…。
あんたの意見は訊いてない。
僕も…鍵崎君と同じ疑問を持ちますねぇ。
黒田鈴子は全面自供。
数多くの証拠も関係者の供述も揃ってる。
今さら旦那のアリバイを調べたところで…。
前回黒田鈴子は…夫の非を語っていた。
それは自分の虐待を人のせいにするためで…。
検事は夫の黒田を犯人にしたいわけでしょ?黒田鈴子を起訴猶予にしたせいで娘の幸恵ちゃんが意識不明の重体になってしまった事を認めたくなくて…。
鍵崎さん!言い過ぎです。
そう…あなたの言うとおりよ。
私はなんとかして黒田修を犯人にしたいの。
検事…。
もちろん前回の自分の判断ミスを帳消しにしたいという思いもあります。
でも私は…子供のためにグラタン作る母親がこんな不幸な事件を起こすなんて認めたくない。
同じ母親として認めたくないの。
(ナナ)私弁護士志望だったけど検事に変えるわ。
あんな鶴丸みたいな奴が女性検事のエースって言われてるなんて許せない!検事の仕事の冒とくよ!あ…実は僕も君と同じで志望を検事に変えようと考えてたんだ。
えっ?あ…今回鶴丸検事にご指導いただいて僕の人生観は変わったよ。
あんなに心の広い人がいるなら検事の世界もまんざら捨てたもんじゃないよね!全然わかってない…。
池内!縄張荒らすなよ!俺は被害者のためにもう一回事件を調べ直したいだけだ。
ちょっとどいてくれ。
店員の供述も…一緒にマージャンやってた仲間の供述ももうとったんや!もうこれ以上この店に訊く事はないねん!池内俺たちが潰した関係者を方々で洗い直してるそうやないか?自分の仕事をしろ自分の…。
これが俺の仕事だ。
(刑事)管轄が違う言うてるやないか。
(池内)頼みます!
(刑事)池内!俺らの世界じゃさシマ荒らしを一番嫌うんだよ。
だからわざわざ署長同士がいったん会って手打ちまでしてんだぜ。
それを池内のバカがまたチョロチョロしやがってさそっちに送致済みの事件だろ?今さら何が変わるってわけじゃねぇのにあのクールガイが熱くなっちゃってもう…。
池内さんて…子供いるの?知らん。
結婚は?してるんだなこれがあの面で。
話は変わるけどりんりんと休戦したのか?ずーっと口きいてない。
しょーがねぇな。
そのうち解決するわ。
だって…親子だもの。
わぁー!寝坊しちゃった!りん起きてる?
(ため息)…おはよう。
幸恵ちゃん今朝集中治療室出た。
ホント!?意識は?残念ながらまだ…。
あんた今日仕事何時に終わる?付き合ってもらいたいとこあるんだ。
「庭に面したガラスサッシを割って施錠を解き屋内に侵入」検事?え?あ…。
どこまで行ったかしら?屋内に侵入したところです。
…どうも。
「屋内に侵入」「1階の居間を物色したあと2階の寝室に上がり押し入れ奥にある金庫から…」今日…早退させてもらっていいかしら?体調がすぐれないの。
わかりました。
ゆっくり休んでください。
スケジュールはなんとか再調整しますんで。
こ…こういう時使うんですよね?鬼の海パン。
霍乱でしょ。
…霍乱。
(子供たちのはしゃぎ声)黒田幸恵ちゃんと正美ちゃんの2人が預けられてる保育園です。
(保育士)幸恵ちゃんと正美ちゃんは大体お残り組で…。
うちは一応8時までなんですけどそれでもお母さんがお迎えに来てくださらない時がちょくちょくあって…。

(幸恵)「森の中」
(黒田正美)「森の中」
(幸恵)「くまさんに」「くまさんに」「出会った」
(正美)「出会った」でもふだんはお母さんがお迎えに来るんですよね?まあ…。
お母さんが来た時どんなふうでした?幸恵ちゃん。
正美ちゃんはすぐ喜ぶんですけど幸恵ちゃんはあんまり…。
どうして?お母さん家帰ってもすぐ出かけちゃうみたいで…。
やっぱり寂しいんじゃないですか?友達いうても子供が幸恵ちゃんと仲よかっただけであのお母さんとはよく話した事は…。
だって…いつもお酒臭いんやもの。
それで…幸恵ちゃんはどんな子でした?利発っていうのかしらなんでもようわかって…。
まあ今考えたら…オドオドしてるところがあったわね。
私がうちの子叱るでしょ?そしたら一緒に泣き出したりして…。
感受性が強かったという事でしょうか?よく言えば。
やっぱり母親のせっかんが相当きつかったんやないかしら?幸ちゃんにはお金はええからいつでもお腹が空いたら食べにおいでって言ってたんや。
妹連れて一緒においでって。
それで幸恵ちゃんはよくここへ?ああ…でも最初よう入らへんのや。
表に立ってるんです。
ええから入り〜って女房と2人で言ったらやっと入ってきた。
妹の正美ちゃんも一緒にですか?いやぁ…妹は一度も連れてきたことなかったな。
幸恵ちゃんは自宅では満足に食事とってなかったんでしょうね?だと思うよ。
ここで食べる時はそりゃあ見事な食べっぷりやったからな。
それで最後にキチッと手を合わせて「ごちそうさまでした!」。
グラタンは食べませんでしたか?一度作ってやったけどおじちゃんのはマズイって…。
(池内)黒田一家が4人で住んでたアパートです。
今は?博打狂いの父親と妹の2人っきり。
確か…正美ちゃんって言ったわよね?出て行く知恵も金もない。
(ノック)中に1人でいるのかしら?正美ちゃん?
(池内)しばらく待とう。
正美ちゃんに会わせたい。
私に?あんたに知ってほしいんだ。
幸恵ちゃんがどんな子だったか…。
どんな環境で暮らしてたのか…。
そしてあの子になんの非もなかったって事…。
腹減らないか?よかったら…。
え…このお弁当もしかして池内さんが作ったの?まさか…女房だよ。
うわぁ〜美味しそう!いただきます。
こんな料理上手の奥さんがいるなんて幸せね?フッ…。
うち子供いないんだ。
お互い病院行ったり…いろんな治療法試すんだけどどうしてもできない。
女房はひとりっ子だったから大勢子供がいる家庭夢見てたらしいんだ。
でも池内さんだって若いんだしまだまだこれから…。
幸恵ちゃんはとっても可愛かったって女房に話したら一度うちに連れてきてよって…。
私たちでなんとかならないの?って言ってたからひょっとしたら養女にでもしたかったのかも…。
今回の事件の事は?女房には話してない。
新聞かテレビで知る可能性があるけど俺の口からはとっても言えない。
私も今回池内さんと同じような事考えてたの。
私は幸恵ちゃんのほうじゃなくて母親の黒田鈴子のほう。
時間作って訊いて回ろうって思ってた。
あんな…バカな母親の事知ってなんになるんですか?でも彼女にも私たちの知らない一面があったかも…。
ないよ。
あるわ。
フッ…ない絶対。
あの女は愚かで凶暴で飲んだくれで…。
でも!彼女は幸恵ちゃんの母親よ。
幸恵ちゃんを愛する気持ちは必ずどっかにあったはずよ。
ない。
ある。
ないよ!あるわ!そう信じたいの!
(正美)「ある日森の中」「くまさんに出会った。
花咲く森の道…」正美ちゃんだ。

(正美)「くまさんに出会った」正美ちゃんこんにちは。
あっおじちゃん。
お姉ちゃんいつ帰ってくる?うん…もうしばらくしたら帰ってくるから。
それまで我慢してね。
いつ?いつ帰ってくるの?正美ちゃんはお姉ちゃんの事が好きなのね?好き。
だ〜い好き。
こ〜んだけ好き!おじちゃんどうしたの?どうもしないよ…大丈夫よ。

(池内)くそっ…くそっ!
(鳥のさえずり)おはようりん。
久しぶりに早起きしちゃった。
ちょっと何してんの早く座んなさい。
すぐ食べられるわよ。
あーあ…張り切り過ぎて作り過ぎちゃった。
はぁ…どうぞ。
いただきます。
あーちょっと待って!食べる前に済ませちゃおう。
んっ一発ぶって。
えっ…?あんたにはその権利がある。
さあ早く…。
ん?これでいいの?まあ遠慮深い。
私に似て。
お母さんごめんなさい。
私も…ごめん。
さっ和解成立。
さっ食べよ!ねっ。
いただきまーす。
いただきます。
お母さん作リ過ぎ。
フフッ。
ブタになる。
残せばいいから。
残ったのは北村に食べさせるから。
(くしゃみ)あ…ごめ…。
(くしゃみ)あ…ホントごめんごめん。
何すんの!?あ…ごめんなさい。
(池内)幸恵ちゃん幸恵ちゃん頑張れ!生きなきゃダメだぞ!えっ!?また集中治療室に…?池内さん…私そっちに行かれないけど…。
祈ってる。
幸恵ちゃんの事心の中で…祈ってる。
黒田鈴子さん。
あなたを傷害罪で起訴します。
いろいろ…ご面倒をおかけいたしました。
鈴子さん。
あなたとお会いするのはこれが最後になりますので少しお話しさせてください。
この間幸恵ちゃんたちが通っていた保育園に行ってきました。
幸恵ちゃんがよく遊んでいた公園。
住んでいたおうち。
お友達。
お世話になった食堂のおじさん。
いろんなところへ行っていろんな人に会ってきました。
見てきました。
幸恵ちゃんの話を聞いてきました。
最後に…妹の正美ちゃんに会いました。
正美ちゃんはお姉ちゃんが大好きだって言ってました。
「好き。
だ〜い好き。
こ〜んなに好き!」その正美ちゃんの言葉を聞いて私を案内してくれてた刑事さんが突然泣き崩れました。
地面を叩いて悔しがり…泣き続けました。
その刑事さん…一度だけ幸恵ちゃんと一緒に屋台のラーメンを食べた事があるそうです。
その人が私に言いました。
「幸恵」という名前は幸せに恵まれよとの願いを込めてつけられたはずなのになのに…幸恵ちゃんは…。
そう思ったら涙が出て止まらなくなったと…。
(嗚咽)その刑事さんは毎朝出勤前に幸恵ちゃんの顔を見に病院に寄ってたようです。
さっき電話があって幸恵ちゃんの容体が急変したと…。
今集中治療室に運ばれて予断を許さない状態だと…。
幸恵…。
鈴子さん。
私もあなたも…幸恵ちゃんになんにもしてあげる事ができない。
そばについててあげる事さえできない。
幸恵ちゃんの強さに賭けるしか…。

(鈴子)検事さん。
幸恵に人形を持たせてやって!…人形?いつも肌身離さず持ってた人形があるんです。
幸恵がお守りにしてた…。
そう…あの人形があれば幸恵は助かるわ!その人形どこに?私が捨てたんです…。
幸恵から無理矢理取り上げて車の窓から…。
その場所わかりますか?見つけてやって!幸恵を助けてやって!!お願い検事さん!先輩ないっすね!
(ため息)ねえデブチ。
なんか嘘っぽいヒューマニズムだと思わない?鍵崎さん!これは忠告ですけどもっと広い心と優しい気持ちを持ったほうがいいと思いますけどね!お前に言われたかねぇよ。
ああそこ!見つかった?
(出口)あいや…まだです。
まだでーす。
(民子)検事!これでしょうか!?それよ!間違いないわ!よっしゃ!これで酒が飲めるぞ!早くこれを届けなきゃ!座れよ池内落ち着かねぇな。
落ち着いてるつもりですがね。
(秒針の音)
(いびき)
(物音)もう大丈夫。
意識はまだ戻りませんが…。
幸恵ちゃんよく頑張りましたよ。
あ…よかった…。
よかった…。
いやぁー!朝だぞ池内。
カミさんにどやされんじゃねぇのか?女房はみんな知ってました。
え?今も寝ずに待ってると思います。
じゃ早く報告してあげないと。
腹減った!腹!メシ食い行こ!朝メシ!人形の事は覚えてた…あれが唯一母親らしい事だったのかもしれませんね。
うん。
あのお人形が幸恵ちゃんの命を救ったのね。
ねえ今度奥様紹介して。
ちょっと話してみたい。
ああ喜んで。
おい!どこ行くんだよ!?私合うんじゃないかな。
(りん)助かってよかったねその子。
だって助かってほしいって思ってた人がそんな大勢いるんだもん。
私もずっと幸恵ちゃんの事思ってたよ。
ありがとう。
みんなの思いが通じたのねきっと。
でもさ今回ばかりはお母さんもうホントに落ち込んじゃった。
あんたともいろいろあったしね。
検事失格母親も失格でーす。
あんたにだけは言われたくないわよ!りんりんメシまだだろ?昼メシ食い行こうぜ。
失格のおばさんも来たかったら一緒に来てもいいぞ。
でもお母さん妻は合格だからいいんじゃない?あらっ!お父さん時々私にメールよこすけどお母さんの事愛してるのがよーくわかる。
やだ生意気言っちゃって!フフフッ。
あ…私でも章ちゃんの事でなんか大事な事忘れてるような気がする…。
そんな事どうだっていいからメシ行こう!メシ!ほい!
(携帯電話)あっ!あっ噂をすれば…。
あー!あ章ちゃん?今話ししてたのよ。
え?今京都駅に着いた?あー…!お父さん出張で途中で京都に降りるから一緒にご飯食べようって約束忘れてた…!え…。
ああ…章ちゃんごめんね。
今すぐ行くから!今すぐ行くから待ってて!ねっ!こりゃ妻も失格だ。
(笑い声)おい!昼メシは!?早く早く!あっ大変だ!今週は何かいい事ありましたか?私ね思うんですよ。
2015/08/26(水) 10:00〜10:55
ABCテレビ1
京都地検の女3[再][字]

「鬼母を許した検事…主婦の勘が敗北した日!!」

詳細情報
◇番組内容
名取裕子主演人気シリーズ第3弾!
事件解決のカギは“主婦の勘”。京都地検・鶴丸あや検事が、事件の盲点を主婦ならではの視点で鮮やかに解き明かす!
◇出演者
京都地検検事・鶴丸あや ・・ 名取裕子
京都府警刑事・北村鉄男 ・・ 船越英一郎
中京署刑事 ・池内弘二 ・・ 益岡徹 
京都地検事務官・太田勇一・・ 渡辺いっけい
京都地検副部長・高原純之介・・ 蟹江敬三 ほか

ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ
福祉 – 文字(字幕)

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
映像
音声 : 2/0モード(ステレオ)
日本語
サンプリングレート : 48kHz

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