高校野球全国大会が始まって100年。
興奮と感動を呼んだ名勝負の秘密が今夜明らかに。
「高校野球100年レジェンドが語る名勝負の秘密」。
今夜も僕をサポートして下さるのは伊集院光さんです。
しまっていこうぜ!
(2人)お願いします!さあ今夜第2夜のテーマはですね「敗北こそがわが思い出」という事で負けをテーマにお送りしていくんですが…。
負けてるチームに対してお前らには俺がついてるみたいな。
なんかそういう思い入れは出ますね。
レジェンド早速ご紹介したいと思います。
敗北のレジェンドはこの方です。
桑田真澄さんです。
よろしくお願いします。
よろしくお願いいたします。
(拍手)直結しないですよね。
直結しないんですけど今日この番組通して頂くと分かります。
なぜ桑田さんがこの敗北をテーマにした今日…。
ゲストなのか。
多分後ほど話が出ると思いますけど。
PL学園のエースとして桑田選手は数々の伝説を残しました。
完璧にコントロールされ伸びるストレート。
フォームダイナミックですよね。
そして鋭く曲がり落ちるカーブ。
すっごいな。
2つの球種を武器に挙げた勝ち星は史上最多の20勝。
20勝って甲子園でしょ。
考えらんないんだよね。
すごいよね。
しかもピッチングだけではありません。
(打球音)このころ二刀流って考え方あったら二刀流だよね。
名前出ますもんね。
二刀流見てみたかった選手…。
甲子園でのホームラン数史上1位はチームメートの清原選手。
2位タイの記録を持つのが桑田選手です。
更に多くの人の記憶に残るすごいプレーがあります。
(打球音)見事なダイビングキャッチ!すぐさま立ち上がり送球。
トリプルプレーを決めました!スープルプレーですよ。
桑田選手は投攻守伝説のプレーで勝ち続けました。
いやすごいですね。
もちろんピッチングの事はねもちろんですけどバッティング。
僕は実は…おおフィールディング。
ほんとですか?実はほんと。
ちょっと珍しいといいますかそんな中にもいい写真が手に入りましたんで…。
あら!のびのびな…。
のびのびとスイカを。
楽しそうないい顔してるじゃないですか。
高校…恐らく2年生だと思うんですね。
当時は…僕ら同い年そうですそうです。
これまだこの写真赤いとこがいっぱい残ってるじゃないですか。
水飲んじゃいけない時代ですからあのもう水分のとこも全部食べましたよね。
下まで。
ギリギリまで。
そんな桑田さんの甲子園の全ての結果見ますとこれがすごいんでちょっと出してみましょう。
こちらです。
うわ〜。
横綱でしょ。
白丸の数が横綱の数ですからね。
20勝3敗なんですけどそもそも…もう1回戦全部終わってたらそれでも出られる分すごいですけど5試合なわけですもんね。
さっきちょろっと「でも僕3つ負けてますから」って言ったじゃないですか。
普通は5個負けるんです。
さて今回はですね名勝負としてご覧頂くのは2年生夏の決勝取手二高戦です。
ちなみにこの2つの負けとの違いというのは一体どういったところにあるんですか?取手二高は大会する前にですね招待試合で一回対戦してたんですよ。
すごいぼろ勝ちしたんですよね。
ですからこんな弱いチームがよくここまで上がってきてねすごいなと思ってたんですよ。
決勝前夜。
昭和59年夏の決勝。
大荒れの天気で試合開始が遅れます。
負けるはずがないと思っていた取手二高。
しかし大会中に成長していました。
快進撃の原動力は自由奔放なプレー。
「のびのび野球」と呼ばれていました。
ピッチャーが投げる前にスタートを切ってそのまま盗塁成功!のびのびですね。
更に…。
あったな〜。
ホームスチールも仕掛けてきます。
べた勝ちしてるとこでも走ってくるんだよな。
油断できないチームになっていました。
予定から30分以上遅れて試合が始まります。
初回2アウトからランナーを背負った桑田選手。
(実況)センター前へ。
ぬれた芝でボールが滑って速くなり後逸。
(実況)三塁を回る!ボールはショートに返ってくる。
本塁へ突っ込む!ショートからバックホームする。
高い!タッチしてるか?ホームイン!2点先取!波乱の幕開けなんだよなぁ。
実は初回に先制打を許した裏には桑田選手自身が抱える問題がありました。
中指に出来ていたマメが悪化していたのです。
マメが潰れてましたね。
血がもう出てましたんでねやけどするとふっと息を吹きかけただけでも痛いじゃないですか。
飛び上がるぐらい。
ああいうふうな症状になるんですよね。
ストレートは高めに浮いてしまいます。
中指を使ってスピンをかけるカーブはコントロールが定まりません。
それでも桑田選手は取手二高の攻撃を何とかしのぎます。
初回の2点のみで試合は進みます。
対戦相手は取手二高。
こちらはどういったチームだったんですか?普通三振しても悔しがるじゃないですか。
笑ってるんですよ。
マウンドから見てどういう気持ちに?何で笑ってるんだろうと思って。
ファインプレーとかしたらお祭り騒ぎのように喜んでるわけですよね。
まだ試合が終わってないんですよね。
マウンド上ですごく不気味に感じてましたね。
投げるごとに増していく痛み。
決勝の大舞台で桑田選手は過酷な試練とも人知れず戦っていました。
潰れたマメの状態っていうのはどういったもんだったんですか?こちらにボールをご用意させて頂いたんですけど一応握り方で説明…。
いいですか。
はい。
まあストレートはこう握るんですけどカーブは僕こう握るんですね。
カーブは中指が一番ポイントなので中指と親指だけで支えて投げるんですけど。
最後抜く時にこの中指のここにかかってくるんですよね。
ここでキュッとこういう…ボールをひっかくように。
カーブで出来るマメなんですか。
そうですね。
このマメが最初水膨れになるんですがその水膨れがどんどんどんどん大きくなってそのうち中に血が血マメに変わってくるんですね。
血マメに変わっていくともう今度破裂していって大きなやけどの痕みたいなのが中指全体に出来るんですね。
ちなみになんですけれどストレートカーブ以外の球種を投げれたと。
高校時代。
フォークとかの場合っていうのは影響は?フォークはあまり…。
フォークとかスライダーってあんまり影響ないんですけどね。
カーブが一番…。
なぜこの大会で他の変化球を使わなかったんですか?いやもう高校時代決めてたんですよ。
やはりこの高校時代はいろんな小細工使わずにストレートを磨きながらカーブだけで過ごしたいという思いがやっぱり強かったですね。
はあ〜。
なんかすごいな。
決勝のマウンドでマメの痛みもある中その思いを貫くって相当な覚悟ですよね。
いやでも気持ち揺れるんですよ。
やっぱありましたか?投げちゃおうかなみたいな。
今日はいいかなとかですね。
いつもよぎるんですよ。
清原君なんかはね知ってますから「桑田。
お前ここはフォークいっとけよ。
絶対三振取れるから」とかね。
マウンドに来て。
でも僕はもう「いや俺はまっすぐとカーブで最後までいくんだ」。
10代って自分で決めた事でどんな苦しい事でもできたけどやらないって思ってた事やっちゃうと恐らく何も残らないっていう。
何やっても勝ちゃいいんだという考え方もありますけどどうやって勝つかでそのプロセスも大事だっていうとこで…。
自分は決めたわけですから…マメの痛みと戦いながら初回の2点だけに抑えてきた桑田選手。
7回ランナー一塁で1番吉田選手への2球目。
(実況)レフトへ。
大きい。
入った!カーブですか?曲がりきれてない。
(実況)ツーランホームラン吉田!
(歓声)PL学園は8回にヒットと相手のエラーで2点を返し1点差で9回を迎えます。
桑田選手に待ち受けていたのは更なる試練でした。
先頭バッターへの2球目。
カーブを投げた瞬間それまでにない激痛が襲います。
中指の傷口が大きく広がっていました。
マメの第2段階の潰れ方といいますか最終段階って…。
よく僕らも足にマメが合わない靴とか履いたりすると出来ますよね。
そうするとむけて赤くなりますよね。
その中がひび割れみたいにするんですよ。
そこからまた血が…。
マメのむけた中が破れ始めるんです?マメの奥ですよ。
ぞっとするよね。
激痛でカーブが投げられなくなりました。
残された球種は…ストレートただ一つ。
結局フォアボールでランナーを出してしまいます。
2アウト三塁のピンチとなり迎えたバッターはホームランを打たれた吉田選手。
残された力を全て注ぎ込むために桑田選手はランナーを気にする事をやめ大きく振りかぶります。
うわ〜すげえなぁ。
グッとくんなぁ。
(実況)センターへ。
これは大きい。
鈴木バックするバックするバックする!
(歓声)フェンスぎりぎりの当たり。
桑田選手の球威が僅かに上回りました。
今思えば振りかぶった分って思っちゃいますよね俺らね。
9回を投げぬきました。
その直後の9回裏。
(実況)さあ9回の裏PL学園の攻撃は1番の清水哲から。
(実況)レフトへ飛んだ!
(歓声)
(実況)同点ホームラン!
(歓声)劇的なホームランでついに同点に追いつきます。
追いついた瞬間というのは複雑でした?うれしかったですか?でもホームラン出た瞬間にもう打順もよかったもんですからもうサヨナラしかないという思いでしたね。
もう投げられない分かってますから。
そのチャンスがやって来ます。
2アウト一塁で打席には桑田選手。
ランナーを帰せばサヨナラ勝ち。
しかしかないませんでした。
延長戦桑田選手は再び試練のマウンドへと戻っていきました。
最後の打席ね見させて頂きましたけどあのスイングから見て絶対決めてやろうみたいな。
ここで何が何でも決めたいなという思いは強かったですよね。
だから桑田選手のホームランの映像とか見ると割と涼しく打ってるじゃないですか。
この打席に関してはやっぱり桑田も高校生だという感じがちょっとだけしますもんね。
強引ですよね。
ただもうチェンジになってマウンド行かなきゃいけない。
マウンド行ったら何が何でも優勝しなきゃいけないという思いはあったんですけど今日は本心を話す所ですからね。
実はもう……というふうに思ってました。
ここでサヨナラまでいかない限りはこれは相当の確率で負けるぞっていう…。
10回表桑田選手に取手打線が襲いかかります。
(打球音)もうストレートしかないって思って振ってますもんね。
ヒットとフォアボールで1アウト一塁二塁のピンチ。
「大丈夫か」ってみんな言ってくれたんですけど。
チームメートも気付いて。
迎えるバッターは5番中島選手。
その4球目。
(実況)高め。
打ち上げた。
レフトフライ。
レフト大きいぞ!バックするバックする!入った!スタンドに入ったホームラン!スリーランホームラン中島!
(歓声)
(実況)泣きながらホームイン!泣いて迎えます。
ほんとストレート狙いですよね。
「高め来たら振ってやろう」のもうドンピシャの…。
キャッチャーはホームラン打たれた途端こうしてるけど桑田さんはなんかちょっと悟りじゃないけど…。
背中がね何かすごい物語ってましたよね。
「行ったな」っていう感じでしたね。
その後更に1点を失い桑田選手はついにマウンドを降りました。
悔しいな〜。
うわぁ。
PL学園は2アウト。
(実況)三振!取手二高初優勝!
(歓声)これだけ甲子園でたくさん試合をされてますけれどこういった負け方はこのゲームのみ?そうですね。
自分の予想どおりといいますかね。
このボールでは抑えられないというのは分かってましたんで。
どうなんでしょうか?ライトに向かっていった時の心境って覚えてますか?悔いはなかったですよね。
もう自分の力を出しきったというね…「ホッと」なんですね。
この敗北負けでご自身が得たもの変わったものって何かありますか?それまでは野球っていうのは寡黙にひたむきにやるものだっていう思いがすごく強かったんですね。
でまあ取手二高に負けた時になぜ負けたのかなっていう事をすごく考えてですね。
あんなのびのび野球やっててお祭り騒ぎみたいにやっててなんか僕が知ってる野球じゃなかったもんですからよしこれはもうもしチャンスあったら……と思いましたね。
行ったんですか?行ったんですよ。
取手二高に!?大人になられてからではなく?一人で?はい。
一人でですか!?すごいですね。
キャプテンの吉田さんピッチャーの石田さんにも会ってですね家に泊めてもらったりしてグラウンドにも行きましたしなんか部室みたいなとこも見せてもらいましたしああこんな所で練習して何で負けたのかななんてよく考えてましたけどね。
でもやっぱりいろんな方法があるんだと。
ですから一つの考えに固まらないでいろんな事を考えていくというのが大事だなという事を学びましたねこの敗戦から。
高校野球100年の歴史で生まれた敗北のドラマ。
それは人々の心に深く刻まれています。
今を時めくスター選手たちも甲子園で涙を流しました。
最後が彼の打順ってのがまたすごいね。
甲子園ってありますよね。
ある。
人生最後の試合だと思って投げきろうと思って…。
ダルビッシュ選手が甲子園で負けた時の姿はいつもドラマチックでした。
エースとして決勝まで勝ち進んで敗れた…大粒の涙を流します。
3年生の春は大会の途中で肩の痛みからレフトを守りました。
そして…。
(実況)あっ大きいぞ!あっダルビッシュが見送った見送った!入った〜!逆転サヨナラホームランが出ました!打たれたピッチャーのもとへ真っ先に駆けつけたのはダルビッシュ選手でした。
これも覚えてるな。
雨の中の3回戦は完封勝利まであと一人。
しかし…土壇場で追いつかれてしまいます。
そして最後のバッターに。
(実況)三振!最後なんだ。
勝手な印象ですけど甲子園で負けを経験した選手って後にすごく有名な選手になられてる方多い気が…。
よく僕が言われたのは…1年で優勝した時聞かされたもんですから。
一回優勝したら僕プロで駄目なのかなとかね。
いろんな事考えましたけど今亀梨さん言われたように負けから得る教訓というのは非常に大きいんじゃないかなと思いますね。
プロに入って劇的な野球人生送った人の高校時代って劇的な負け方してるのはそこかもしれないね。
今ありました田中投手もダルビッシュ投手も最後の打席を迎えるとか…。
あれも不思議ですよね。
何なんですかね…。
今日はですね敗北負け試合がテーマという事でちょっとデータいろいろ調べてきたんですけどもここで一つクイズです。
こちらの数字何だか分かりますか?さあ「11kg」。
亀梨君何でしょう?甲子園11kg。
これがどういう事なんですかね。
…というヒントをスタッフが用意してくれました。
答えですよねそれね。
それ答えじゃないですか。
はい何ですか?土…砂。
はい。
答えはこちらです。
これがなくなります。
すごいですね。
僕130ございます。
僕よりなくなるという。
桑田さんは3回ほど負けを経験されてますけど…。
へえ〜!最初優勝させて頂いたのでまた次来るからいいやと思って取らなかったんですね。
かっこいい。
持って帰り方かっこいいですね。
(笑い声)さあ今日はですね敗北をテーマに桑田さんとお話しさせて頂きましたけれどもあのゲーム取手二高とのゲーム勝ちたかったですか?それともやはり今振り返っても負けを経験してよかったと思いますか?そうですねあそこでもし勝ってたら今の自分はなかったんじゃないかなと思いますね。
あの敗北があったからこそいろんな方法がある…。
いろんな事を考えなきゃいけないとか準備が必要だとか…。
そして理不尽な事もいっぱいあると。
どうしようもならない事もいっぱいあるんだと。
そういった事も受け入れられるようになっていったと思うんですね。
あの経験があったからこそ今の自分があるんだなと。
負けでこれだけ語って頂けるというのもなかなかね…。
人が負けた者に対して突っ込めないじゃないですか。
負けてどうだったのみたいな。
言えない。
このテーマに今回桑田さんがね来て頂けたというのは非常にありがたいなと。
20勝…。
20勝勝ってるから聞ける。
さあ次回はですね「初々しさの快進撃」と題しましてゲストには荒木大輔さんをお呼びいたしております。
桑田さんより世代は少し上ですよね。
ご覧になってました?見てましたね。
フォームも顔もかっこいいじゃないですか。
すごい憧れましたよね。
高校球児と男性アイドルの二刀流みたい。
というわけで次回もお楽しみに。
桑田さん今日はほんとに…。
(一同)ありがとうございました。
2015/08/27(木) 01:00〜01:26
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詳細情報
番組内容
高校野球100年の歴史に残る名勝負。第2回は甲子園20勝のレジェンド桑田真澄!亀梨和也(KAT−TUN)と伊集院光があの伝説の“敗北”の秘密に迫る!最強といわれたKKコンビのPL学園。高校2年の夏の決勝、取手二高戦。1点を争う激しい試合の名勝負。舞台裏には投げ続けた桑田投手の誰にも言えない苦悩があった…。今だから語られる秘話は、驚きと感動、爆笑がいっぱい!興奮のドラマ、お宝映像も!必見の番組です。
出演者
【ゲスト】桑田真澄,【出演】亀梨和也,伊集院光,【語り】高山みなみ
ジャンル :
スポーツ – 野球
ドキュメンタリー/教養 – スポーツ
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