生字幕放送でお伝えします♪〜「サンダーバード」のテーマ岩渕⇒こんにちは、10時5分になりました。
「くらしきらり解説」きょうはこちらの話題です。
先月、日本を中心とする国際研究チームが世界で最も深い海底地下の生物を発見したと発表して注目を集めています。
担当は土屋敏之解説委員です。
土屋さん、きょうはちょっと違う音楽ですが地底探査の話なんでしょうか。
気になりますよね。
地下生物、どんな話ですか。
土屋⇒気になりますよね、きょうは夏休みの自由研究ということでまず岩渕さんに考えてもらいましょう。
どんな生き物だと思いますか?全然分かりません。
この生き物、地上のある場所にも仲間がいるんです。
どんな場所でしょうか。
牛のおなかはないと思いますけれども、海底の地下にいるものと一緒でしょう?土の中ですか。
いい線いきますね。
正解は全部です。
また出ましたね、全部ですね。
こうした場所に共通してメタノバクテリウムという微生物がいるんです。
土の中では有機物を分解したり、牛のおなかでは消化しにくい食物を分解してその分解力を生かして下水処理でも使われているんです。
この仲間と思われる生き物が深海の地下でも見つかったというんですね。
微生物の話ですか何だか生き物というので、すごいものを想像していたんですが微生物と聞くとちょっとがっかり。
そう言わずに。
この微生物、すごく重要で私たちの暮らしを支えているエネルギーとも深く関わっていると言われているんです。
こちらがその写真です。
ひものようなものがいっぱいあります。
パスタみたいですねひもみたいなものや、くるくる巻いたもの、一つ一つが微生物なんです。
こちらに物差しがありますけれども1マイクロメートルつまり1ミリの1000分の1というスケールで、もちろん私たちの目では見分けられないんですけれども100種類ほどの未発見のもの、これまで未知の微生物が海底で見つかったんです。
海底の地下っていうと海底ではないんですよねどこになるんですか。
下北半島沖の海底1200mという深海の底をさらに2500mほど掘り下げた土の中です。
さらに下がるわけですね。
これまで生き物が見つかった最も深い海底地下と言われています。
そこを探査船ちきゅうで日米欧中韓の国際協力の大研究プロジェクトとして掘っていきまして、見つかったんです。
成果は世界的な科学雑誌にも発表されました。
微生物はどこにでもいるんじゃないかと思いますけれども。
実はそんなことはないんですよ。
確かに海の水の中であれば1万mという深海にも微生物はおろか甲殻類も見つかっています。
ただ、地底はもっと条件が厳しくてそうはいかないんです。
地中深くにはマグマがあるようにどんどん温度が上がっていくんです。
4000mも掘ると100度を超えてしまうと言われるんですね。
こんな環境には水や栄養分もほとんどありませんので生命の限界じゃないかと考える研究者も多いんです。
実際、これまでの記録は海底地下では1900mまでしか微生物も見つかっていませんでした。
今回掘り下げていくにしたがって生物の量はどんどん減っていたんですが地下2500m辺りに石炭の地層が見つかりましてその中にだけたくさんの微生物が見つかったんです。
急に増えたわけですね。
なかなか海底の地下の石炭層と言ってもどんなところか想像つきませんよね。
温度は60度とかなり高温で圧力は地上の300倍、300気圧以上という超高圧でぎゅっと岩石が詰まっているので水も酸素もほとんどない過酷な環境なんです。
そもそもどうしてこういう場所をわざわざ調べるんですか。
何か役に立つんですか。
まず科学的な意味としてはこうした極限環境の生命を調べることによって、生命はどんなところなら生きていけるのかということが分かってきます。
地球の生命の起源やその進化について探ることができるんです。
そしてもう1つ、現実的な意義として実はエネルギー資源の謎と深く関わっているんです。
ここから2問目の問題です。
この微生物がある重要なエネルギー資源を生み出しているのではないかともいわれているんです。
その資源は何と呼ばれているでしょうか。
ちょっとふざけすぎです。
1、2、3、ダーッ!ということでしょう?よっしゃ!と言いたいんですけれどもね。
確かに元気がもらえますけれどもエネルギーは生み出さないと思いますよ。
1番か2番ですよね。
2番ですか。
当たり。
最近メタンハイドレートということばを聞きませんか。
よく資源の話で聞きますね。
別名燃える氷とも呼ばれているんです。
メタンハイドレート確かに、見たところ氷みたいな塊なんですが火をつけるとよく燃えるんです。
このメタンハイドレートは天然ガスのもとにもなっているメタンと水がくっついて固体になったものだということで資源に乏しい日本の近海にも膨大な埋蔵量があると考えられていて世界的に開発しようとしているんですが、このメタンハイドレート実はどう出来たのかよく分かっていないのです。
海底やその地下にいる微生物が生み出したのではないかという説があるんです。
今回、研究チームはこの海底から採取した微生物の培養に成功しておよそ1か月になるんですが実際にメタンガスを作っていることが確認されています。
こうしたメタンが海底の高圧で、水と結び付いてメタンハイドレートのもとになっているのではないかということで今、貴重なエネルギー資源がどこにどう分布しているのかということを知るうえでも海底地下の微生物を探査することが重要な鍵を握っていると考えられているんです。
具体的にどうやってこの微生物がメタンを作るんでしょうか。
この微生物が見つかった場所が石炭の地層ですよね。
石炭やその中に混ざっている微量の有機物をさまざまな微生物が分解することで生きていくために必要なエネルギーを取り出して二酸化炭素と水素ができる仕組みです。
さらに重要なことは酸素がない環境で二酸化炭素と水素からメタンを作ることもできるんですよ。
これをやる能力を持っているのが先ほどのメタノバクテリウム。
メタノバクテリウムという名前でしたものね、なるほど。
メタノバクテリウムを中心としたいろいろな微生物が力を合わせて生きることで、メタンを生み出しているという環境がある。
しかも、二酸化炭素を使ってエネルギー資源が出来たわけですからこの研究が進むと将来地球温暖化対策にも役立つかもしれないということで期待が高まっているんです。
おもしろいですね。
そもそも、この微生物はどうして海底のそんなに地下にまでいるんでしょうか。
不思議ですよね。
どうも最初からずっとこの海底の地下にいたわけではなさそうなんです。
どこからやって来たのか、最後の問題です。
三択は?まとめ問題なので自分で考えましょう。
ヒントはこれまで学んだ中にありましたよ。
何でしょう、海の中?分からない。
惜しいですね。
この微生物を詳しく調べたところ森の土の中の微生物群ととてもよく似ていると分かってきたんです。
ご存じのように日本の地下はプレートと呼ばれる地震とも関係しているものが深いところにどんどん入り込んでいる構造がありますよね。
地上の森にいた微生物も一緒に地層が巻き込まれるようにして深く入っていったのではないか。
大体2000万年ぐらいのスケールでこうしたことが起きたのではないかと考えられています。
2000万年前の微生物の生き残りかもしれないんですね。
スケールが大きな話になりましたよね。
研究チームは培養している微生物の遺伝子解析などをさらに詳しく進めていまして地上の生物といつ分かれてどう進化したのか。
そしてメタンハイドレートとはどう関係しているのかはっきりさせようと取り組んでいるんです。
新たな結果が発表されるのか、期待されています。
土屋敏之解説委員でした。
次回のテーマは、こちらです。
担当は二宮徹解説委員です。
ぜひ、ご覧ください。
2015/08/28(金) 10:05〜10:15
NHK総合1・神戸
くらし☆解説「世界最深!謎の海底地下生物」[字]
NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
詳細情報
出演者
【出演】NHK解説委員…土屋敏之,【司会】岩渕梢
ジャンル :
ニュース/報道 – 解説
情報/ワイドショー – 暮らし・住まい
情報/ワイドショー – 健康・医療
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