癒し屋キリコの約束 #20【最期の愛に寄添う方法】 2015.08.28


(カッキー)
落語家永楽亭来栖さんが語る「怪談牡丹灯籠」がいよいよクライマックスにさしかかったとき…
(ライス)からん。
(ドアベルの音)
(一同)おお!?
(敦也)純也。
(純也)お父さん。
お母さんが危ないんだ。
(敦也)何だって?
(純也)胆のうがんで長いこと入院してたんだけどいろんなとこに転移しちゃってて。
(純也)もうあと一日二日の命だろうって。
(敦也)一日二日!?
(敦也)真里子。
こんなに痩せちまって。
純也。
なぜもっと早く知らせなかったんだ?えっ?なぜだよ?
(純也)僕にはお母さんしかいないから。
(純也)お父さんはお父さんだけどお父さんじゃないもん。
(純也)それにお母さんみたいな頑張り屋がんなんてはね飛ばして生きてくれるって思ってたから。
死ぬなんて思ってもいなかったから。
(真里子)来てくれたんだ。
(敦也)おう。
(敦也)よせや。
くすぐってえよ。
(真里子)忙しいのにごめんね。
(敦也)ああ。
店の方は何の心配もいらねえから。
(真里子)誰か手伝ってくれる人いるんだ?
(敦也)いや。
そんなの別にいねえけど。
(真里子)インベーダーゲームまだ捨ててないの?
(敦也)ああ。
こないだな丸3日かけて修理してよ今じゃピコピコピコって懐かしい音立ててるぜ。
(真里子)私も長いことほったらかしにされたけど。
ううん。
違うね。
私がアッちゃんを長いことほったらかしにしてたのかも。
(清助)こん中で入道の女房のこと知ってんのは僕と千香だけか。
(千香)だよね。
(キララ)アッちゃん。
どうして別れちゃったの?
(清助)まあ話せば長え話になるんだけどさ…。
(キリコ)長い話をかいつまんで。
ちゃっちゃと用件だけうまく話すのも才能。
(千香)じゃあ清ちゃんその任にあらずだ。
あのね。
ライバルいっぱいいたんだって奥さん。
真里子さんっていうんだけど。
その先の横町で小さなスナックやってたの。
五番街って名前の。
(清助)僕も入道と連れ立ってよく通ったんだ。
(清助)そもそも横町っていうのはだね戦後すぐにできたマーケットがそのまんま…。
(キリコ)清ちゃん。
その話いらない。
話のテーマは入道さんと真里子さんのいきさつだからね。
(千香)学者先生とか問屋の御曹司とか上野の危ない人たちとか。
みんな真里子さん口説いたんだって。
(清助)もう20年近くたつかな?そのころの入道んちってまだ親父さんが生きててあの場所でリボンの染工場やってたんだよ。
(涼)リボンの染工場?
(清助)うん。
ほら。
ここいらはさ昔藍染川っつうのが流れてて。
そもそもの名前は川で染め物をしたからでさ。
僕らが小さいときはねカワエビとか…。
(キリコ)清ちゃん。
その話もいらない。
(清助)うん。
(千香)リボンの需要なんかなくなってきてて工場を畳もうかどうかってときだったのよね。
(清助)うんうん。
そうそうそう。
うちの猫まんじゅうなんかと違ってさもう後を継ぐような仕事じゃなくなってたんだよな。
あいつ小遣い銭も不足してるときでさ。
あっ。
そういやあいつの飲み代ずいぶん用立てて…。
(キリコ)清ちゃん。
その話も。
(清助)いりませんよね。
はい。
でねその金もろくろく無い入道がどうやって五番街のマリーを口説いたかっていうとね…。
(敦也)「これが俺が最後に染め上げたリボンだ」「この色はこの世の中で一本しかねえ」「色だけじゃねえ。
俺とお前をつなぐ世界でたった一本だけのリボンだ」
(真里子)ちゃんと覚えてたんだ。
(敦也)当ったり前よ。
(真里子)じゃあ別れるとき何て言ったか覚えてる?
(敦也)はっ?何だったかな?
(真里子)「俺はお前のために工場をつぶして総合娯楽施設にしたんだ。
なのに客は来ねえ」「お前はとんだ貧乏神だ」「こんなこったらお前に飲み屋やらしといた方がよかった」
(真里子)そう言ったんだよ。
アッちゃん。
「男とちゃらちゃらしかできないような商売さっさと辞めちまえ」って私を口説いたのにね。
「俺が身も心も全て面倒見たる」ってカッコ良く言い切ったのに。
(せき)
(敦也)痛むか?
(真里子)少し。
でも大丈夫。
(清助)五番街のマリーは頑張ってその卓球場っちゅうか何つったっけな?最初んときの名前。
谷中総合アミューズメントセンター。
(清助)…を支えたんだよ。
ゲーム機入れようって言いだしたのもマリーだしな。
今じゃ珍しいあのジュークボックスももともとはマリーの店にあったもんなんだよ。
(真里子)あれ壊れたまんま?
(敦也)ああ。
いくらいじくり回しても何の音も出ねえ。
(真里子)私もあのジュークボックスみたいになるのね。
歌いたくても歌えない。
しゃべりたくてもしゃべれない。
もうじきそんなふうになっちゃう。
(敦也)マリーさ他の病院で別の先生にも…。
(真里子)気休め言わないで。
私は私自身が自分のこといっとうよく分かってる。
(真里子)でも…。
でもねアッちゃん。
(真里子)純也のこと。
(真里子)もう一度あんたの籍に入れてくれる?
(真里子)噂…。
絶対信じないって言ってくれてたけど心のどっかでやっぱ疑ってたの?んなこたぁ。
「んなこたぁねえよ」ってどうしてすぐ言ってくれないの?
(清助)噂だよ噂。
あっちゃこっちゃでよそ者のマリーを中傷する噂が流れたんだ。
うちのお母ちゃんなんかもさ面白がって触れ回っちゃって。
後になってさ…。
(富子)《よく考えてみりゃ女にとっちゃ一番言ってほしくないことだもんね》
(富子)《今日私謝りに行ったんだよ》《そしたらさ敦也君。
「マリーは純也を連れてゆうべ出ていきました。
もう二度と戻ってきません」って》《あたしゃとんでもないことしゃべくりまくっちまったんだね》
(太郎)《お前はバカだ》
(富子)《そうだよ。
私はバカだよ。
大バカ者だよ》
(キララ)それってどんな噂なの?
(清助)ああ。
それは…。
(カッキー)千香ちゃん?「男相手に長いこと飲み屋やってたんだ」「生まれてくる子敦也君の子供かどうか分かるもんか」おおかたそんなとこっしょ。
(カッキー)そうなの?
(千香)それまでは真里子さん。
慣れない町で一生懸命頑張ってご近所付き合いにも何とか溶け込もうとしてたんだけどその噂で…。
糸が切れたたこになってこの町を出てっちまったってことか。
(真里子)恨んじゃいないよ私。
アッちゃんのこと一度だって恨んだことないよ。
(真里子)私身寄りないし骨なんか粉々に砕いてどっかにまき散らしてくれていいからね。
無縁仏でいいからね。
アッちゃん。
マリー。
お母さん…。
(心電計の警告音)
(真里子)延命なんてしなくていい。
(心電計の警告音)
(真里子)アッちゃん。
純也のこと…。
(敦也)自分の息子の面倒見るの。
父親が見るのは当ったり前だ。
だけどよ俺お前みてえに飯こさえられねえよ。
だから3人でまた暮らそうぜ。
なっ?
(真里子)ねえ?愛するって運命を共にすることなのよ。
運命を共に?
(真里子)アッちゃんと私は運命を共にすることできなかった。
だからその分純也に。
(真里子)あんたの息子に愛情を精いっぱいお願い…。
お願いします。
マリー。
(真里子)アッちゃん。
私を男相手の商売から助けだしてくれてありがとう。
(敦也)マリー。
マリー!キスして。
(敦也)マリー。
俺お前の愛に応えられなかった。
でも。
でも…。
素晴らしい子を産んでくれてありがとな。

(心電計の心停止音)
(敦也)マリー。
マリー!
(心電計の心停止音)
(純也)お母さん!お母さん。
(心電計の心停止音)
(医師)午前4時47分。
ご臨終です。
(純也)お母さん。
お母さんやだ。
お母さん。
(心電計の心停止音)
(純也)お母さん。
(心電計の心停止音)
(カッキー)お伝えします。
(通話を切る音)清ちゃん。
(清助)ああ?朝帰りになっちまったね。
母ちゃんにお仕置きされるよ。
(清助)今日ぐらいはこっちがお仕置きしてやるよ。
ポッポー。
真里子さんの葬儀は息子の純也君を喪主として彼女が3年ほど暮らした入道さんの卓球場で執り行われました

(富子)ごめんよ。
真里ちゃんごめんよ。
私…。
私…。
会いたかったね。
何だかあんたとはとっても気が合いそうだった。
マリー。
悪いけど裏切らせてもらうぜ。
お前の骨まかねえ。
うちの墓入れ。
なっ?ってな場合に死亡届出す前にもう一度婚姻届出さなきゃいけねえのかな?
(純也)今日お父さんに買ってもらったものがあります。
(純也)僕が今着ている喪服です。
生まれて初めてお父さんに買ってもらったものがお母さんのお葬式用の喪服だなんて。
皆さん。
今日はどうもありがとうございました。
(富子の泣き声)直せた?・『五番街のマリーへ』・「五番街へ行ったならばマリーの家へ行き」・「どんなくらししているのか」・「見て来てほしい」・「五番街は古い町で昔からの人が」噂。
ねたみ。
悪口。
中傷。
入道さん。
それでも愛する人と添い遂げたいって気持ちが怪談話の根っこになってんのよ。
(敦也)マリー!幽霊でもいいからよからーんころーんって。
そいでもう一度一緒によ…。
マリー!・「もしも嫁に行って」・「今がとてもしあわせなら寄らずに」2015/08/28(金) 13:25〜13:55
関西テレビ1
癒し屋キリコの約束 #20[字][デ]【最期の愛に寄添う方法】

今週は噺がヘタな落語家とコワモテなナゾの男女が登場!どちらもキリコ(遼河はるひ)の店・昭和堂の地下室から出てくるとまるっと解決!?痛快下町人情劇をお楽しみあれ!

詳細情報
番組内容
 純喫茶・昭和堂にやって来た少年は、敦也(小林正寛)と彼の元妻・真里子(川田希)の息子・純也(伊藤歩夢)だった。純也から、真里子が大病を患っていると聞いた敦也は、純也とともに彼女が入院する病院へ。すると、すっかり痩せてしまった真里子が目を覚ます。
 その頃、昭和堂では、キリコ(遼河はるひ)たちが、清助(長谷川朝晴)と千香(月船さらら)から、敦也と真里子のいきさつを聞いていた。
番組内容2
スナックのママだった真里子を敦也が射止めたものの、その後あるウワサが立ち、彼女は純也を連れて家を出て行ってしまったのだと言う。清助が口をつぐむ中、キリコはそのウワサの中身を察して…。
 病室で、敦也と懐かしそうに昔話をする真里子だったが、容態が急変。真里子は力を振り絞り、敦也に最後の頼みを始める。
出演者
有村霧子:遼河はるひ 
柿崎照美:前田亜季 
上山 涼:戸塚祥太(A.B.C−Z) 
小出清助:長谷川朝晴 
都幾川敦也:小林正寛 
キララ:中山来未 
本城 栞:吉原茉依香 
小笠原千香:月船さらら ほか
スタッフ
【原作】
森沢明夫『癒し屋キリコの約束』(幻冬舎文庫)
【脚本】
佐伯俊道 
【演出】
星田良子 
【プロデュース】
市野直親(東海テレビ) 
高橋萬彦(共同テレビ)
【音楽】
森英治 
【主題歌】
「Thank You For The Music」ラストヒロイン(中山来未)(ソニー・ミュージックエンタテインメント)
【制作・著作】
共同テレビ
【制作】
東海テレビ
ご案内
【公式サイトURL】
http://tokai−tv.com/iyashiya_kiriko/
【昼ドラ公式ツイッターアカウント】
@hirudoraTokaitv
【LINEアカウント】
@hirudora
【YouTube】
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ジャンル :
ドラマ – 国内ドラマ

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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