ほんとにあった怖い話 2015年傑作選【坂口憲二/ユースケ・サンタマリア】 2015.08.29


(洋一)
あれは僕が事故で脚を手術した日の夜から始まりました

(洋一)《えっ?》《誰かいる》《誰?》
(洋一)《誰だよ。
誰だよ。
そこにいんのは》
(洋一)《何なんだよ。
誰なんだよ》
僕はあれから毎晩のようにうなされています
(医師)そんな無理しなくていいからね。
リハビリでケガしたら元も子もないんだから。
(洋一)はい。
(医師)よし今日はこの辺にしとこうか。
(洋一)はい。
(洋一)《病院走り回るなよ》《こっちは苦労してるっつうのに》
(洋一)痛っ…。
(医師)洋一君大丈夫?
このとき左脚に負担を与えたために僕の入院期間は延びてしまったのです
(洋一)《来た》《来るな。
どっか行けどっか》《えっ?何かいつもと違う》《いつもの気配じゃない》
それから数日間僕は毎晩違う気配を感じるようになりました
先生や看護師さんは僕の話を聞いてくれますが他の部屋が空かないことを理由に病室を移動してはくれません
1日でも早く退院することでしかあれから逃れることはできないのです
(医師)洋一くん。
(洋一)はい。
もうだいぶ良くなってるからそろそろ退院できそうだよ。
(洋一)あ…ホントですか?気を付けて。
もう転ばないようにね。
(洋一)はい大丈夫です。
(洋一)《やっとやっと退院できる》
(衝撃音)痛っ…。
(医師)洋一くん!大丈夫?あっストレッチャー。
(看護師)はい!
(うめき声)駄目。
動かしちゃ駄目。
突き飛ばされたんです誰かに。
(洋一のうめき声)
この一件で僕の退院はさらに先になってしまいました
(看護師)こっちね。
(洋一)はい。
僕の胸の跡を見た先生はせめてもの心遣いなのか病室を別の部屋に移動してくれました

その晩から僕はあの体験をすることはなくなりました
でも以前の部屋の前を通ると吐き気や目まいを感じるため僕はなるべくあの部屋の前を通らないように気を付けていたのです
じゃあ行こっか。
はい。
しかしレントゲンを撮るということで先生に部屋から連れ出されたとき僕はうっかりあの部屋の前を通ってしまったのです
(洋一)ビリヤードとかカラオケとかじゃないですか?
(医師)カラオケ。
カラオケちょっと教えて…。
(看護師)先生急患です。
お願いします。
はい。
じゃああの先レントゲン室行ってて。
あっはい。
(洋一)《体が急に重くなった》《ヤバいこのままじゃ…》
僕ははっきりと見てしまったのです
病院ではやむなく命を落としてしまった人がたくさんいます
僕が見たのはそういう人たちの姿かもしれません
僕はいつ退院できるんでしょうか
もしかしたら…このまま…
(シャッター音)
(直樹)
わたしは主に旅行雑誌のために写真を撮る仕事をしています
この日も取材で担当編集者と共にここのお寺を訪ねていました
ここには宿泊施設もあり普通の旅館よりもやや割安なところが寺の風情と共に人気があってそれを紹介がてらわたしたちも1泊させてもらうことになっていたのです

(シャッター音)
(矢野)何やってんだ?
(直樹)あっ。
ああ。
あっいや。
(矢野)何?これ。
(矢野)気持ち悪ぃ。
(直樹)ここ何なんでしょうねぇ?
(矢野)ホントだな。
何なんだろう?
(直樹)ちょっとまずいですよ。
(矢野)うん?大丈夫大丈夫。
(直樹)まずいですって。
(矢野)大丈夫だって。
(住職)駄目です!ここは訳あって立ち入り禁止にしている部屋です。
勝手はおやめください。
(矢野)すいません。
その訳って何すか?
(住職)とにかくおやめください。
嫌ならお帰りいただきます。
(直樹)すいません。
行きましょう。
行きましょう。
(矢野)はい。

そしてその夜

落ちていたお札だけでなく明らかに昼間見たときとは様子が違っており誰かが開けた形跡がありました

誰が開けたのかは明らかでした
(矢野)うん?開けたよ。
(直樹)いいんですか?住職さんだって嫌ならお帰りいただくって強く言ってたじゃないですか。
もしバレたらどうするんですか?
(矢野)いや。
どうせお目玉食らうだけだから何てことねえって。
それに中何にもなかったぜ。
ただの部屋だよただの部屋。
(直樹)あっ。
うん。

わたしは嫌な予感に導かれるようにあの部屋へと向かいました

(矢野の話し声)
(矢野の話し声)
何を言っているのかは分かりません
ですが誰かと話をしているようでした
(矢野の話し声)
(女性のうめき声)
(矢野の話し声)
(女性のうめき声)矢野さん。
矢野さん!矢野さん。
行きましょう。
矢野さん。
矢野さん!しっかりしてください!矢野さん。
矢野さん!
(女性の叫び声)
(女性)あああ…。
あっ。
(女性)あああ…。
矢野さん。
矢野さ…。
(女性)あああ…。

(女性のうめき声)・
(足音)
(直樹の悲鳴)・
(女性の笑い声)
(直樹)うわっ!ああっ!ああっ!・
(女性の笑い声)
(直樹)ああっ!ああっ!
(女性の笑い声)
(女性の悲鳴)
(直樹)あああ…。

(女性の泣き声)
(直樹)うわあーっ!
(矢野)どうした?
(直樹)矢野さん。
(直樹)大丈夫ですか?
(矢野)大丈夫?何が?あっいや。
いいんです。
昨夜のことは夢だったのでしょうか?
お世話になりました。
(住職)あの方でしたか。
(直樹)えっ?あっ。
(住職)あなたはいずれご自分の慎重さに感謝する日が来ますよ。
それでは。
その後東京に帰ってから矢野さんとは連絡が取れなくなりました
それからしばらくたったころ
矢野さんです。
以前とはまるで別人のようでした
単なる偶然かもしれません
ですがもし自分があの部屋をのぞいていたらと思うと今でもふいに恐ろしくなるときがあるのです
後で聞いたのですがあのお寺では20年ほど前に行きずりの女性が自殺したことがあったようなのです
ただそれが関係しているのかどうかは分かりません
一つだけはっきり言えるのはあかずの間は開けてはいけないということです
(律夫)じゃあお願いします。
(運送屋)よろしくお願いします。
失礼します。
(運送屋)よいしょ。
お願いします。
(律夫)お願いします。
(主婦)ああ。
(律夫)あっ。
(主婦)お子さんですか?ウチの子も好きなんですよ。
ポー。
小さいのとか大きいのとか。
家じゅうたくさん。
お子さんおいくつになるんですか?生きてれば7つです。
(律夫)
地方に転勤が決まったのは不慮の事故で子供を亡くしたからでもそれが原因で離婚したからでもありません。
ほんの会社の都合。
ただの偶然でした
そしてこの家を選んだのもほんの偶然のはずでした

(足音)・
(足音)伸之?
(女)お疲れ。
(男)お疲れさま。
(下校時のざわめき)
(上司)緑川さん。
さっき頼んだ資料できましたか?
(律夫)まだです。
(律夫)じゃあ失礼します。
早く帰ればまたあの子に会えるかもしれない。
そのときのわたしにはそんな気がしたのです
(美奈子)わあすごい。
ちゃんと取って。
ごめんごめん
(律夫)伸之ほら。
メーエ
(伸之)ありがとう
(美奈子)やったねメーエ・
(足音)
わたしはあの子供を伸之だと思いました。
たとえあの世の者であったとしても伸之に会いたかったのです
(羽野)緑川さん。
おお。
どうしたの?いや。
ちょっと急な出張で。
久しぶり。
(羽野)お久しぶりです。
(羽野)もう1軒行きましょうか?ねえ。
いいかげん勘弁してくれよ。
今日は早く帰んなきゃいけないんだ。
どうしてですか?どうしてって…。
ダメです。
帰しませんよ今日は。
ホントのこと言いましょうかねえ?ホントのことを。
僕は美奈子さんに言われて来たんですよ。
緑川さんのはめ外してやってくれって。
美奈子が?別れた女房にそこまで心配かけてどうすんですか?ちょっとは美奈子さんの気持ちも考えて。
ねっ?たまに連…。
ちょっと緑川さん。
み…み…。
(羽野の嘔吐)ああ…。
ああ。
ああ惜しかった。
ああ。
ああ。
コノヤロー。
よっしゃ。
ああ。
ああ!俺がやってんだ俺が!何だこれ!バカヤロー!コノヤロー!
(羽野)緑川さん。
そろそろ帰りましょうか?もうちょっと。
もうちょっと待ってくれるか?勘がつかめてきたんだよ。
(羽野)いやいや。
でもちょっと…。
緑川さん。
子供が待ってるんだよ。
(足音)・
(足音)・
(足音)伸之?どうしたんだ。
気に入らないのか?それともあれか?一緒に遊びたいのか?伸之!
(美奈子)子供?はい。
ちょっと普通じゃないですね。
何かもうやつれた感じで。
職場の人にも聞いたんですけどほとんどつきあいもないらしくて。
そう。
実はほかにもちょっと気になる噂耳にはさみましてね。
(羽野)あの家っていうかあの周辺のことなんですけど…
(美奈子)そんなバカな話があるわけないじゃない。
(律夫)あるんだ。
あれは間違いなく伸之だよ。
俺には分かる。
(美奈子)じゃあどうしてここに?どうしてもこうしてもないよ。
来たいから来るんだよ。
わたしのところじゃなくてあなたのところに?それはあれだろ。
何?それはお前に問題があるからじゃないのか?無駄だと思うけど言うだけ言っとく。
この家出たほうがいいわよ。
バカ言うなよ。
結局話はかみ合いませんでした。
わたしはこれでもう二度と彼女と口を利くことはないだろうと思いました
(足音)
(足音)
そのとき初めてわたしは自分の愚かしさに気づいたのです
(美奈子)わたしも最初は信じられなかった。
でもあなたに会って本当なんだって思えて。
あの家の辺りはね昔山だったそうなの。
で…。
美奈子の話によるとあの家の周辺は昔神隠しが頻繁に起こった土地で何人もの子供たちが行方不明になったのだそうです。
そしてその子供たちの霊が今もさまよっているというのです
でも何であの家に。
さあ。
それはあなたに問題があるからじゃない?
結局答えは出ませんでした
わたしは今でもその家で暮らしています
彼らに対する愛着なのか同情なのかその家を引き払いよそに越す気にはなれなかったのです

この続きはいずれまたお話したいと思います
2015/08/29(土) 10:55〜11:45
関西テレビ1
ほんとにあった怖い話 2015年傑作選[字]【坂口憲二/ユースケ・サンタマリア】

『とり憑かれた入院患者』勝地涼 
『あかずの間』坂口憲二 
『憑かれた家』ユースケ・サンタマリア

詳細情報
番組内容
『とり憑かれた入院患者』事故で足を怪我し、入院した洋一(勝地涼)は、病室で不気味な気配を感じる。すると、枕元には、無表情な子供(大崎聖奈)の姿が…。そんなある日、洋一がリハビリをしていると、ふいに子供が洋一のすぐ横を走り抜けた。その瞬間、洋一の松葉杖が、誰かに蹴られたかのように動き、転んでしまう洋一。これが原因で、洋一は入院の延長を余儀なくされる。ある夜、洋一の病室に、いつもと違う気配が漂った。
番組内容2
今度は、不気味な女(菅原円)だった。それからしばらくして、リハビリを続けてきた洋一に、ようやく退院のメドが立った。ところがその直後、洋一は、今度は階段から転落してしまう。誰かに突き飛ばされた、と証言する洋一。看護士の小栗(久野真紀子)は、洋一の服に手形が残っているのを確認するが…。
ほかに、坂口憲二出演『あかずの間』、ユースケ・サンタマリア主演『憑かれた家』をお送りします。
出演者
「とり憑かれた入院患者」勝地涼、久野真紀子、大崎聖奈、菅原円 
「あかずの間」坂口憲二、近藤芳正、斉藤暁 
「憑かれた家」ユースケ・サンタマリア、三浦理恵子、大倉孝二

映像 : 1080i(1125i)、アスペクト比16:9 パンベクトルなし
音声 : 2/0モード(ステレオ)
サンプリングレート : 48kHz

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