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【特定秘密保護法】

根拠非公開 武力行使も 安保法案と「特定秘密」一体運用

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 自衛隊と米軍の連携を強化するため、政府は安全保障関連法案と特定秘密保護法を一体的に運用する。国会では七月から秘密保護法の運用が適切かチェックが始まった。だが会議は非公開。開示された情報は限定的で、安保法案の陰で秘密審査が進む。安保法案審議で、集団的自衛権を行使する根拠となる情報が国民に非公開となる懸念も強まっている。

 「(集団的自衛権が必要と)認定する前提となった事実に特定秘密が含まれる場合もある。情報源や具体的な数値そのものは明示しない」。中谷元・防衛相は国会答弁でこう明言した。根拠が国民に開示されないまま、集団的自衛権行使に踏み切る懸念が裏付けられた。

 政府が意のままに特定秘密を指定しないよう監視する機関の一つが、衆参両院に設置された情報監視審査会だ。政府から年に一度、特定秘密の運用状況について報告を受け、問題があると判断すれば、特定秘密の提出を要求できる。しかし、政府は拒否することができ、実効性は疑問視されている。

 衆参両院の審査会がチェックしているのは、昨年中に指定された特定秘密三百八十二件だ。これらを記録した文書は十八万九千百九十三件に上る。内容は、日米安保協力、日米秘密軍事情報の保護、自衛隊の運用計画、防衛力の整備など、外交、防衛に関係する情報が多い。

 だが政府が審査会に提示したのは、秘密指定の日付や秘密の概要が分かる「特定秘密指定管理簿」などにとどまり、特定秘密の内容は全く分からない。委員からは「これでは問題があるかどうか判断しようがない」との本音も漏れる。

 集団的自衛権を行使するか決めるのは国家安全保障会議(日本版NSC)だ。NSCが分析した内容について機密性が高いと判断すれば特定秘密になる。そうなれば、集団的自衛権の行使が正しかったのか、事後検証さえ難しくなる。これまで開かれたNSCの四大臣会合の「結論」は、原則すべて特定秘密を含んでいるとして、国民に公開されていない。 (城島建治)

 

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