北京=林望
2015年8月28日20時21分
中国が繰り広げる「抗日戦争・世界反ファシズム戦争勝利70周年」の宣伝キャンペーンで、史実から脱線気味の演出が現れ、批判を集めている。一方、当局は「抗日英雄」を疑う声を封殺するなど、共産党の歴史観にそぐわぬ情報の排除に余念がない。
「監督は歴史を知らないのか、それとも政治家にこびを売っているかだ」
中国軍系の映画会社がこのほど制作した大作映画「カイロ宣言」のポスターを発表すると、ネット上にこんな批判があふれた。
カイロ宣言は第2次世界大戦中の1943年、米英中の首脳が集まり、第1次大戦後に日本が占領するなどした土地の放棄や返還を目指し、日本が無条件降伏するまで戦うことを確認した。
問題は、披露されたポスターには中国を代表してカイロ宣言に署名した国民党の蔣介石の姿がなく、ルーズベルト米大統領やチャーチル英首相と同じように大写しになっていたのが、会議に出ていない共産党の毛沢東とソ連のスターリンだったことだ。
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朝日新聞国際報道部
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