【新国立競技場】冷房取りやめ、熱中症は大丈夫? 総工費1550億円 当初の観客数6万8000人
政府は27日、2020年東京五輪・パラリンピックのメーン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)について、総工費を1550億円程度とする方針を固めた。
旧計画は2520億円だったが、新計画では冷房設備も取りやめ、経費節減を図る。観客数は完成時に6万8千人とし、大会後に陸上トラック部分に1万2千席を増設、大会後に8万人仕様とする。20年4月までの確実な完成を目指す。
新整備計画は、28日の関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪相)で決定、政府は9月上旬から設計と工事を一括発注するための国際コンペを始める。コンペでは、完成時期を20年4月より前倒しできる提案に評価点を加点する。
政府は新計画で外装などの簡素化を図り、8月下旬に「総工費1595億円」とする案をまとめた。しかし、安倍晋三首相がさらなる経費削減を指示。冷房設備を外すことを決めた。
冷房設備については、五輪が暑さの増す7月末に始まることから下村博文文部科学相らが「障害者に対する配慮から必要」などと求めていた。
ただ、世界では屋根が完全に閉じない競技場で観客席などに冷房を設置する例はほとんどなく削減対象となった。観客の熱中症対策として休憩所や救護所を増設する方針。
6万8千人の観客数は、国際オリンピック委員会(IOC)の基準(6万人)に合わせた。大会後は観客席を増設し、サッカー・ワールドカップの招致に必要な「常設8万人」の基準を満たす。
完成時期をめぐっては、IOCが五輪前に設備などのテスト期間が必要として、20年1月の前倒しを要請。ただ政府関係者は「コンペ段階で極端な困難な条件を設ければ、応募数が限られる」としている。