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 東京都内のJR線で今月、線路のケーブルが焼ける火災が3件相次いだ。ケーブルは信号や駅間の通信を担う重要設備だが、2件では用地不足などで外部から手が届く場所に設置されていた。専門家はリスク管理の重要性を指摘する。

 27日午後1時ごろ、渋谷区の中華料理店長、小林敏智子(みちこ)さん(45)は、店近くの山手線の線路脇で小さな炎と白い煙に気づいた。フェンス内でケーブル2カ所から火が上がり、店の消火器を持ち出して数人で消し止めた。

 JR東日本によると、燃えたのは信号や駅設備に電気を送る電源ケーブルと、変圧器の異常検知などの通信ケーブル。長さ2メートルほどの蛇腹状の黒い樹脂製カバーが激しく燃えたが、ケーブル本体の損傷は小さく、停電も起きなかった。ケーブルは道路から手を伸ばせば届く位置にあった。

 22日には、中野区の中央線で線路脇の通信ケーブルが焼けた。やはりカバーが溶け、ケーブル本体の損傷は小さかった。ケーブルは地面に置かれ、フェンス越しに道路から手が届く状態。この2件について国土交通省幹部は「放火も否定できない」とみる。警視庁は中野の火災でケーブルやカバーを鑑定する方針だ。