北朝鮮:標準時変更 「平壌時間」現行より30分遅らせる

毎日新聞 2015年08月07日 20時02分(最終更新 08月07日 20時45分)

 ◇金正恩第1書記の独自色アピールか

 【北京・西岡省二】北朝鮮は7日、朝鮮中央通信を通じて、同国の標準時を現行より30分遅らせた「平壌時間」を設定し、今月15日から適用すると発表した。現在、日本との時差はないが、15日以降は30分の調整が必要になる。

 朝鮮半島での標準時はかつて東経127.5度を基準にしてきたが、日本の植民地統治時期の1912年に全域で日本標準時(東経135度)に合わせるようになった。

 北朝鮮側関係者は「植民地支配の解放70年に合わせて本来の基準に戻す。そもそも平壌は東京よりも北京に近く、時間感覚はその中間ぐらいだ」と指摘する。また、新たな平壌時間の設定には、金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の独自色を国内外にアピールする狙いもあるようだ。

 同関係者によると、北朝鮮国内ではインターネットや携帯電話などのデータ更新が始まり、韓国を含む関係各国との調整も進んでいるという。15日以降に出勤時刻などを早めるなどで、時間を遅らせることによる電力損失を抑え込むとしている。

 一方、韓国の聯合ニュースによると、同国統一省の鄭俊熙(チョン・ジュンヒ)報道官は7日の定例記者会見で、標準時変更で追加コストが発生し、金融や航空など多方面で損害が出るとの見方を示した。

 日本と同じ標準時を採用する韓国でも過去に一度、北朝鮮と同様に標準時が変更されたが、経費負担増や在韓米軍の作戦への影響などを理由に現行に戻されている。

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