ということで先週分(隔週1回)のブログ更新をスキップして行ってまいりました、夢の都パリ。僕にとっては初めてのヨーロッパで、なおかつここ最近では久しぶりの完全プライベートでの海外旅行だったので*1、だいぶ満喫してまいりました。
で、旅行記みたいな記事はこのブログの本題ではないのですが(笑)、僕のようなヨーロッパ&パリ初心者が旅行してみて良かったこと・気付いたこと・こうしておけば良かったと思ったことなどなど、これから初めてパリに行く人のために、そしてもし2回目にパリを訪れることがあったらその時の備忘録のために、ここに色々書き記しておこうと思います。本格的な観光ガイド記事ではないので、そういう情報がお望みの方は他の書籍やwebサイトをご覧ください、ということで。
もちろん僕らが今回の旅行で体験してきた範囲のことしか書いてないので、現地在住の方々やパリ通の方々から見れば間違っている部分もあるかと思いますので、その際はぜひご指摘ください*2。
基本的にパリは「普通の都会」、とは言え根付いた伝統に比して現代的な多様性に富む不思議な街
これは今回旅行のついでに会ってきたフランス人の友人夫婦の奥さん(日本人)からも言われたんですが、「パリを夢の都だと信じてやってくると幻滅しますよ」*3と。もちろん100年以上前に綺麗に整備された街並みは伝統を感じさせると同時に美しいし、パリ市内に点在するかつての宮殿*4や寺院の数々は荘厳で見る人を魅了しますが、建物と石畳の残る道の数々を除けばまぁ普通の「都会」です。
(エティエンヌ・マルセル方面からルーブル方面を望む)
平日は勤め人が多数せわしなく街中を行き交うし、格差社会を象徴してか物乞いもそこら中にいるし、怪しげな物売りや露天商もチラホラいるし、場所によってはゴミや吸い殻も散らばってるし、もっと書いてしまえば銀座と同じで街中至るところに世界中からの観光客が溢れていて、とてもじゃないですが「お洒落な夢の都パリ」なんて感じはほとんどしないです(笑)。
あえて言うなら、民族構成が非常に多彩でdiversityを体現するかのような光景が多かったところでしょうか。アルジェリア以下旧植民地や海外県などからやってきていると思しきアフリカ系フランス人も多ければ、移民と思しき東洋人も多く、いわゆる日本人が想像するようなフランス人はむしろそんなに多くないという印象でした。その代わり日本人のような一見の観光客にも皆さん親切で、そこは例えばアメリカ東海岸なんかとは違うかなぁと。誰かがどこかで書いてましたが「フランス語を話しフランスの社会と文化を理解する人々なら誰でも受け容れられる地」ならではの多様性かもしれませんね。
とは言え、僕が愛読する『レ・ミゼラブル』に登場するような18~19世紀以来の古い街並みと、上記のような現代的な多様性とが共存する、不思議な街であることは確かだと思います。あえて言うならそこがパリの魅力なんじゃないでしょうか。そんなわけで、パリっぽい街並みを満喫したいなら個人的にはサン=ジェルマン・デ・プレ界隈を歩いて回ることをお薦めします。シャンゼリゼはそもそも銀座の晴海通りみたいで、あまり面白くなかったです。。。
夏のパリは22時ぐらいまで明るいので時差ボケと店探しに注意
8月下旬という時期に行った割に、サマータイム+高緯度なせいかパリは夜になってもいつまで経っても日が高くて明るく、日没はそれこそ21時過ぎでした。というか19時ぐらいに夕食を取る当てを探して街に出ると、まだ夕日が眩しくて19時だというのにグラサンをかけなければいけないぐらい明るいんですね。。。
よって、人によっては時差ボケがかなり長く残るかもしれません*5。意識的に早く夕飯を食べて、日没と同時にホテルに戻ってすぐ寝るぐらいの方が無難かなと。あと、明るいからと思って油断してるとパリの商店の早い閉店にやられます。商店だと19時前には閉めてしまう店は結構多く、飲食店でも22時過ぎには閉めてしまうところも少なくないので、暗くなってから行こうとするとどこも閉まった後だったりするので気を付けましょう。
街中にある飲食店の大半がCafe, Brasserie, Bistro, Creperieで所謂高級フレンチはまず見かけない、ただしどこも個性があって美味いのでお薦め
我が家は東京でも時々高級フレンチとかに行くこともあるので、パリでももしかしたら行く可能性があるかもなーと思って一応ちゃんとした服も持って行ったんですが、全っ然そんな機会はありませんでした。
理由は簡単で、街中にある飲食店の大半がCafe, Brasserie, Bistro, Creperie(クレープ・ガレット屋)とそれに類する店ばかりで、たま~に各国料理の店がある程度。そもそも高級フレンチなんて外から見えるところにはないんですね。。。
ということで専らそういうカフェやブラッスリーにばかり食べに行ったんですが、6泊8日の間それだけでギリギリ飽きることなく全ての食事を過ごせました。というのも、やっぱりどこの店も個性あるメニューを出していて、店さえ換えれば違う料理を楽しめるんですね。あるカフェはブッフ・ブルギニョンとか肉料理に長け、別のカフェは牛肉のタルタル*6が美味で、そのまた別のカフェはシーフード料理が売りで、中にはフォアグラと燻製肉が名物なんてところも*7。
(エティエンヌ・マルセル方面で入ったフォアグラと燻製肉が名物のレストランLe Comptoir de la Gastronomie)
ランチはどこのカフェ・ブラッスリーでも大体「プレート+メイン」「前菜+メイン」「プレート+デザート」で例えば15ユーロとか20ユーロと言ったセットで出しているので、好きなものを選ぶと良いでしょう。日本と同じで安い店ほど混んでます(笑)。ディナーは基本的には酒飲みのためのメニューがメインです。
(上述のフォアグラと燻製肉が名物のレストランでのランチ)
面白かったのが、さすがはフランスでワインは出してもビールは出さない店があったところ*8。彼らは割と平然とワインをグビグビと飲み干していくので、酒が強いに越したことはなさそうです。
その他は各国料理なんですが、一番多かったのがイタリア料理というかピッツェリアで、他にはフランスと縁のある国ということでレバノン料理が多いんですね。これは結構意外でした。後はインド料理、そして(どう見ても日本人が経営しているとは思えない)日本料理。中華料理は思ったより遥かに少なかったです。なおまともな日本料理が食べたければ、ピラミッド付近の日本人街に行った方が確実です*9。
さらに余談ですが、ピラミッド付近は日本人街に加えて日本の旅行代理店や現地ツアー会社のパリ現地カウンターが多くあるので、何か手配とか依頼したい場合はあの辺に行けば大抵何とかなります。
7月半ば~8月末はバカンスの季節なので、かなりの数の店が閉店中
フランスと言えば7月14日がパリ祭(フランス革命記念日)で、その夜お祭り騒ぎをしたらそれ以降がバカンスなんだとか。そのバカンスの長さが尋常でなくて、大体8月いっぱいまでという人が多数派の模様。
そしてこれは勤め人のみならず個人商店などでも例外はないので、例えば今回僕らが滞在していた9区のホテル周辺の商店街は半分以上が夏休み中。僕らが帰国する日にようやく(翌日以降の再開のために)店の掃除を始める店ばっかり、という有様でした(笑)。
なのですが。一般に観光のハイシーズンと言われる春・秋はそもそもパリはかなり寒く*10、今回の滞在中も36℃にまで達した暑い日もあった一方で21℃ぐらいで肌寒い日もあったという有様なので、店が閉まっていようとも夏に来た方が良いかなという気はしました。理想を言えば7月初旬ぐらいがいいんでしょうが、それはそれで旅行費用が高くつく時期でもあるのでお財布との相談かなぁと。
バカンスでなくても日曜日は閉店している店だらけなので要注意
むしろこちらの方が旅行客的には深刻で、実際ホテルの周辺は夏休みの時期がずれて開いていた店でもことごとく日曜日は閉まっていて、Bd Haussmann方面まで行かないと開いているカフェすらないという有様でした。困ったのがギャラリー・ラファイエットのような大型百貨店・デパートまでもが閉店していたことorz これには参りました。日曜日は買い物は不可能だと思って諦めた方が良いです。
ちなみにルーブル・オルセーとも日曜日は開館しており、さらには各種観光サービス(巡回バスや水上バスなど)も当然日曜はやっているので、そういうアクティビティに日曜日は割いた方が無難かなと思います。
スタバやマクドナルドも入ってみると面白い
WiFi目当てでスタバに入る人は多いと思うんですが、普通にパンのメニューにクロワッサンとかあって結構美味いのでお薦め。マクドナルドというかマックカフェに至っては、何とマカロンとかカヌレとかパリ名物のお菓子を置いていて、なおかつ美味い! 下手な日本のパティスリーで売ってるマカロンよりよっぽど美味いので、一度お試しあれ。
余談ですが、パリのカフェで普通のドリップコーヒーを頼もうとするとそもそも扱ってないことが多くて、Americanoということでエスプレッソをお湯で薄めたものを出してもらうことになることも。これはスタバでも同じで、iced coffee下さいって言ったらやっぱりAmericano?と聞かれました。なおスタバ以外ではそもそもアイスコーヒー自体が出ない模様(マックカフェにはなかった)。
monoprix、franprix、Carrefourはどんどん利用すべし
パリ市中だとmonoprixというUSのABCストアみたいな何でも売ってるスーパーや、franprixという日本で言うところのイオンっぽいスーパーや、日本にも一度進出していたことのあるCarrefourとがあって、滞在中に必要な日用品や食料品(惣菜含む)は大体何でも手に入ります。一度寒い日があった時はmonoprixで長袖シャツ買いました。
(左下の方にfranprixが見える)
今回泊まったホテルはすぐ近くにfranprixがあったので、パリに着いた日の夕飯*11を買ったり、飲み直しに部屋で飲む用のワインを買ったり、色々と重宝した次第です。特に面白かったのが日本のイオン同様PB商品が色々あって、中にはたった18ユーロしかしないACシャンパーニュすらPBで売ってたこと。
(ちゃんとfranprixとラベルに書いてあるPBのACシャンパーニュ)
飲んでみましたが日本に輸入されるタイプのシャンパンとは異なる味わいで美味かったです。ちなみにそのfranprixは日曜日も開いてて助かりました。すぐ近くのCarrefourは閉まっていたので、そこが差別化ポイントなんですかね。。。
クレジットカードが本当にどこでも使える、ただしタクシーのみ例外
パリ長期滞在中の友人曰く「マルシェ(朝市)の屋台ですらクレジットカードの端末を置いている」そうなので、本当にどこでもクレジットカードが使えます。それこそ何でもない小さな街のカフェですらカード決済可能なのと、スリ(後述)の脅威もあるので、パリっ子の大半は現金を全く持たずに歩くのだそうです。
これはガイドブックにも書いてありますが、パリのカード決済はコンパクトなテンキー付き端末を使うので、サインではなく暗証番号入力が一般的です。暗証番号を忘れてしまった人は、事前にカード会社に確認を取ってから*12渡航した方が良いでしょう。
なのに、タクシーに限ってほぼカードは使えないんですよね。。。でもパリのタクシーは結構安くて、パリ市境界の14区の南端から9区まで深夜に乗っても25ユーロぐらいで済みます。なので40~50ユーロぐらいだけ現金を持っておけば大丈夫でしょう。
スタバに限らず、デパートや美術館など、果ては街頭のカフェでも公共無料WiFiが使える
スタバが無料WiFiを開放しているのは皆さんご存知の通りですが、例えばギャラリー・ラファイエットのような大型デパートやオルセーのような美術館でも無料WiFiを開放しているので、オンライン環境が必要な人はそういうところに入ると良いでしょう。
面白かったのが、カルチエ・ラタンのやや寂れた街頭のカフェですらWiFiが使えたこと。ローミングとかすると料金がかかって大変なので、人との待ち合わせや調べもので何かしらwebに繋ぎたい時はそういった店に入ると良さそうです。
ルーブル・オルセーなど美術館を2ヶ所以上巡りたいなら絶対にMuseum Passを買うべし
フランス観光局の観光案内所*13に行けば2日間or4日間有効のMuseum Passというのが買えますが、これが色々な意味でお得。まず、パリ市内の多くの美術館・博物館・史跡とヴェルサイユ宮殿がこのパス一枚で入れること、そしてどこでも長蛇の列をなすチケット売り場に並ばずに「ファスト・パス」的な別の入り口から入れること。特にルーブルは炎天下でも長蛇の列になることが多いので、このパスを持っているだけでかなりの時間と体力の節約になります。
個人的にはオルセーの方がルーブルより良かったかも
理由は簡単で、超有名な彫刻・絵画はあるものの密度の低いルーブル*14に対して、オルセーって「教科書に載ってるあの絵」や「テレ東『美の巨人たち』で紹介されてたあの絵」だらけなんですよねー。特に5階は本当に圧巻。ルノアール、モネ、マネ、ドガの本当に「教科書で見たよ!」という絵の実物がズラリ。2階にはゴッホ、ゴーギャンの絵が並び、1階にはダイジェストとしてドガの作品の一部と、印象派以前の作品の代表例として何とミレーの絵が展示されています。個人的には博物や彫刻よりも近代絵画が好きなので、オルセーはたまりませんでしたわ。
(モネ『日傘の女』連作)
ちなみにスーラの一番の傑作にして大作『グランド・ジャット島の日曜日の午後』だけはオルセーどころかフランスにもないんですが、2009年に現在収蔵しているシカゴ美術館で本物*15をこの目で見てきた僕に死角はありません(キリッ)。
あ、別にルーブルが嫌いというわけではないことを一応お断りしておきます。ただ、ルーブルはあまりにも館内が広過ぎて有名作品も散り散りに展示されていて見て回るのが大変なんですよね。。。
(『モナ・リザ』の周囲の黒山の人だかり)
『モナ・リザ』のような超有名作品の周囲はいつでもこんな感じでした。なのでルーブルだと例えばラファエロの聖母子や、レオナルド・ダ・ヴィンチの聖母子ですらも人がたかっていなくてガラガラなのです(笑)。
ヴェルサイユ宮殿はバスツアーで行くべし
パリ郊外の南西22kmのところにあるあまりにも有名な宮殿ですが、ここも移動が面倒なのとMuseum Passを持っていても長蛇の列でしんどいという問題があるので、現地代理店のバスツアーなどを申し込んで、そのガイド付きで見学に行った方が良いです。僕らも今回は某M社のガイド付きバスツアーで行ってきました。
(ヴェルサイユ宮殿の鏡の間にて、物凄い人だかり)
時期にもよるみたいですが、この日はアホみたいに混んでいました。部屋の間を移動する際はドアのところで押しくらまんじゅうになりかけるほどで、思わずスリとかいるんじゃないかと警戒してしまいましたとさ。
今回は何故かスリは地下鉄でも観光名所でも全く見かけず署名詐欺だけ見かけた程度、ただし自衛と警戒は必須
例のフランス人の友人含めて極めて多くの人から*16「スリが多いから気をつけろ」と言われまくったので極めて厳重に警戒してパリに行ったんですが、結論から言うと今回の旅に限って言えばスリは本当に全然いませんでした。スリに遭いかけるとか未遂すらもありませんでした。YouTubeにまで上がっているくらい有名な地下鉄で観光客を集団で囲い込んだり(実際に日本人女性がスリに遭いかけた瞬間を捉えた動画)ドアが閉まる間際にひったくって逃げるようなスリも、やっぱりそれっぽい*17人々を見かけることすらなくて拍子抜け。ルーブルのモナ・リザの周囲も凄いと聞きましたが、特に怪しそうな連中は見かけませんでした。サクレクール寺院名物のミサンガの押し売りも今回は全く見かけず。
(サクレクール寺院からパリ市街を臨むの図。雨のせいもあるがここにもミサンガ売りの姿は見えない)
とは言え、署名詐欺は街頭でちょこちょこ見かけました。でも東洋人が相手だからかDo you speak English?と言いながらペンと紙を持って寄ってくるので丸わかり。しかもChinese?って、お前ら見分けられないならおととい来やがれ的な(笑)。
一応、自衛としては僕の場合はチェーン付きの財布をしっかりズボンにつないで前ポケットに入れた上で財布には50ユーロ以上の現金は入れず、上着の内側に小さなポシェットを斜め掛けにしてその中にiPhoneとクレジットカードをしまい、後ろポケットはハンカチとティッシュのみ、上着の外側に斜め掛けにしたカバンには羽織りものや折り畳み傘などどうでもいいものしか入れない&周囲に人がいる場では前に持つ、という対策はしてました。もちろんiPhoneは原則として周囲に人がいない場面でしか取り出さないor取り出す時は両手でガードするという。嫁さんも同様に革のカバンを斜め掛けにしてファスナーの取っ手を掴んで前に持つ、という自衛スタイル。これだけやっておいたのでスリも寄ってこなかったということなのかも? パリではないんですが、YouTubeにどこかのTV局がバルセロナのメトロで実際の乗客を相手にスリの実験をしてみた動画が上がっているので、これを見て自衛の参考にすると良いかもです。
他にもYouTubeには実際にパリで起きたスリ(キャッシュオンの飲食店レジ付近でのケース)やひったくり(メトロ内でのスマホ強奪ケース)の映像がアップされているので、こういう手口があるのだと覚えておくと良いかなと。
ただ、1月の例の乱射事件の影響で無差別テロを警戒してか、各地の観光名所では完全武装して自動小銃を構えたフランス軍兵士や短機関銃を持った武装警察が巡回していたので*18、そういう警備の強化もスリが少なかった一因かなぁとは思います。ま、そもそもスリの人々もバカンスの真っ最中だったのかもですが。。。
ちなみに現在のパリで一番のスリのターゲットは中国人観光客なんだそうです。理由は簡単で、彼らは現金主義なので確実に現金を持っていること、「爆買い」のために持っている現金の額が半端でないこと*19、そして警戒が甘いこと。バックパックを普通に背中にファスナー半開きのまま背負っていたり、後ろポケットに見るからにでかい財布を無造作に突っ込んでいたり。。。日本人も気を付けましょう。
メトロ(地下鉄)の切符Carnetはホテルで買えるところもある
パリはメトロ(地下鉄)に乗って移動するのが一番です。東京メトロ並みに路線が入り組んでますが、路線図は分かりやすいし、乗り換え案内も親切だし、概ね5分に1本ぐらいと高頻度で来るし、あえてなのでしょうが駅間が割と短い*20ので細かく場所を決めて乗り降りできます。パリはそんなに広くない街なので歩いて回ることも出来ますが、全部歩いて回ろうとすると僕みたいに毎日腰が痛くなって夜はホテルでダウンするみたいなことになりかねないので、出来るだけメトロを利用することをお薦めします。
で、ホテルの中には何か特約でも結んでいるのか、メトロの切符の10枚セット(回数券的なもの)Carnetを実費よりちょっとだけ手数料を積んだ程度で自販機で売ってるところがあるようです。僕らが滞在していたホテルの自販機でも取り扱っていたので、これは結構重宝しました。特にメトロの券売機はトラブルも多く、挙句の果てにトラブルに付け込んだ詐欺やスリも多いらしいので、ホテルで買えるならホテルで買った方が楽だと思います。
ちなみにその自販機で上記のMuseum Passの2日券を売ってるケースもあるようなので、2日券で十分という人はこれもホテルで買ってしまっても良いかもしれません。
そうそう、メトロの治安について。スリについてはそもそも今回見かけなかったので分かりませんが、基本的には23時以降とかでなければ大丈夫だと思います。トゥール・モンパルナス(後述)で夜景を見た帰りに22時半頃乗りましたが、特に不安は感じませんでした。そしてメトロの車両のうち古いタイプでは乗り降りの際には自分でドアを開ける操作をしなければいけないので、ボサッとしてると乗りor降りそびれます。
"Big Bus"はお得なので利用すべし
パリはさすが世界に冠たる観光地ということでひっきりなしに観光バスが走り回ってますが、大手旅行代理店で全体のツアーを手配すると"Big Bus"という巡回観光バスのチケットを貰えることがあるのでこれは是非利用しましょう。2階建てオープントップの観光バスで、観光名所でしばらく止まってくれて乗り降りも簡単&基本的にゆっくり走ってくれるので車上からも観光スポットを眺めやすいです。特にエッフェル塔周辺はメトロだと行きにくいので、道中の見物も兼ねてBig Busに乗って行った方がベターかなと。
チケットはそのまま使うわけではなく、まず運転手に見せるとその場で決済端末を使って(例えば)「2名分2日間有効」と印字されたレシートを発行してくれます。以後、有効期限が切れるまでそのレシートをバスが停まったところで運転手に見せれば乗せてくれるという按配です。
エッフェル塔に登るよりトゥール・モンパルナスに登った方が良いかも
パリで高所からの眺めが良いところというとエッフェル塔かサクレクール寺院が定番なわけですが、ぶっちゃけエッフェル塔はめちゃくちゃ混んでます。サクレクール寺院はバスツアーで行くならともかく、自力で行くとなると治安の悪いゾーンにあるのでちょっと面倒です。
そしてもう一つ、パリの夜景の名物の一つがエッフェル塔の「シャンパン・フラッシュ」という夜になると毎正時(夏場は21時以降)に塔全体のフラッシュライトがキラキラ点滅するイベントなんですが、これはそもそもエッフェル塔に登ってしまうと見えません(笑)。
(21時半頃のエッフェル塔方面の夜景)
なので、パリ長期滞在中の友人から薦められた通りで、シャンパン・フラッシュを外から夜景として眺めるにはトゥール・モンパルナスの展望台がベストかと。モンパルナスのど真ん中に突っ立ってて、割と夜遅くまで展望台(有料)も開いていて、しかも今のところそこまで混んでないです。シャンパン・フラッシュの時間になると展望台の西側に人が殺到してその間だけちょっと面倒かもですが、西側以外はあまり人もいないし、他の時間帯はそれほど人が多くないのでゆったりできます。展望台にあるシャンパン・バーでシャンパンを買って飲むのもアリ。
シャルル・ドゴール空港からの移動は旅行代理店などの送迎バスを使うのが無難
現地のガイドさんからも言われたんですが、パリの北の方は治安が悪いです*21。見た目に怪しい風体の人々がたむろするどころか、中にはわざわざ渋滞で止まっている車に近付いてきて中を覗き込んでくる連中もいたり*22。ちょっとドキッとする光景でした。
そして間の悪いことにCDGはそのさらに北方にあるので、CDGとパリとの往復はどうしても貴重品一式を身に付けたままその治安の悪いゾーンを通ることになるんですね。必然的にスリやひったくりもこのゾーンで多く、フランス人の友人によれば奥さんの親戚をRERで迎えに行った時はCDGからパリに向かう車中でひったくりに遭いかけたそうです*23。他の旅行記を見ていてもやはりこのゾーンでのRERの車中でスリに遭った・遭いかけたという話が多いので、CDGとの往復にRERを使うのは避けた方が良さそうです。
僕らは今回は旅行代理店差し回しの送迎車を利用したんですが、他にもオペラ~CDG間の有料往復バスもあるので、できればそれらの送迎車・バスを利用した方が無難だと思います。
Passage(パサージュ)は巡る価値あり
パリの街並みの見どころとして名前が挙がるものの一つがパサージュ。要はアーケード商店街なんですが、伝統あるところが多いというのと何となく表通りより個性的な店が多い印象もあり、個人的には街歩きをしていて一番楽しかったスポットの一つでした。
(パサージュ・デ・パノラマ界隈)
ご覧の通り雨が降っていても気にせず買い物できるので、雨の多い時期の観光にも良さそうですね。なお、パサージュの中にあるホテルもあるみたいですが、どこのパサージュも治安の都合か夜には入口の門を閉じてしまう*24そうで、そうなると門の外からインターホンで守衛さんを呼ばなきゃいけないとか面倒らしいです。
英語は通じるが、半分ぐらいしか通じないこともあり大雑把なやり取りになることも
旅行客の礼儀としてこんにちは・ありがとうぐらいはちゃんとBonjour, Mersiと言った方が良いですが、残りは英語でも大丈夫です。で、英語の通じる度合いですがぶっちゃけピンキリ。CDGの免税店の店員さんや観光局の観光案内所の受付やギャラリー・ラファイエットの店員さんであれば完璧な英語を話しますが、街中のスーパーぐらいだと結構微妙*25で、その辺のカフェぐらいになると単語レベル以上は通じないこともありました。込み入ったやり取りは英語では無理だと思った方が無難。ただしお互い英語が苦手な分変に力まずに喋れるかもしれません(笑)。少なくとも、下手な英語を喋ったところで米サンディエゴのレストランのウェイターみたいに「何だこの言葉もまともに喋れない怪しいガイジンは」みたいな冷たい視線で見られることもないので*26、気が楽です。
特に飲食店ではフラ語のメニューなんか出された日には何が何だかさっぱり分からない*27ので最低でも英語メニューを頼んだ方が良くて、言えば出てきます。ただ、面白いことに往年のバブル期の日本人が暴れ回った名残か、日本語メニューを置いている店も結構多いんですね(笑)。おまけにWhere are you from?と聞かれた際にJapan, Tokyoと答えると即座にコンニチワ!オハヨウゴザイマス!アリガトウ!とか言ってくれる人たちばかり。バブル期の先達に感謝。
なお、あくまでも海外旅行の常識としてこちら側が英語が出来た方が良いのは当たり前。どんな店・場所でも英語の通じる人はいないかと聞けば最低でも1人は英語の出来る人が出てくるので、いくら日本びいきが多いフランスと言えども、英語は出来た方がどう見ても無難です。
もちろんフラ語が出来れば文句なしなんですが、そんな人がこんなパリ初心者のブログ記事を読むわけがないのでここでは想定の範囲外ということで(笑)。ちなみに嫁さんは片言レベルでならフラ語が出来るので、時々フラ語でやり取りしてました。僕も「コーヒー2つ」ぐらいならdeux cafésと頼んでました。
その他(往復の飛行機、土産物、ドラッグストア、気候などなど)
今回の往復はJALにしたんですが、現在の成田~パリってB787なんですね。実は初めて787に乗ったんですが、非常に快適でした。座席もエコノミーながら2-4-2とゆとりのある配置でシートピッチも広く、新鋭機ゆえエンジンも強力であっという間に巡航高度まで昇っていくので離着陸の揺れも少なかったです。そしてJAL便は操縦も極めて丁寧で、往復とも巡航中も小まめに大きな雲を避けながら飛んでくれたようで*28、僕の空の旅にしては珍しくただの一度も巡航高度でベルト着用サインが点かなかったです*29。今度からもJALさん贔屓にしますかね~。
土産物屋はぶっちゃけどこにでもありますが、CDGの免税店があまり充実していない印象があるので、普通にパサージュの中の菓子店・土産物店やギャラリー・ラファイエットやプランタンのようなデパート、もしくはスーパーで買う方が良いかなと思います。Carrefourでも日本未上陸の面白い物を売ってたりするので侮れません。
あと、パリを訪れる女性陣の楽しみと言えばコスメとか美容系とかのショッピングだと思うんですが、サン=ジェルマン・デ・プレにあるCityPharmaがパリ随一の激安ショップということを件のフランス人の友人の奥さんから聞いて、夫婦で行ってきました。あ、ちなみにここも「爆買い」の人々が群れてて大変でした(汗)。なお嫁さんに言わせると「見たことがないくらい安いものが幾つもあった」らしいので、女性陣の皆様も、女性陣へのお土産を買って帰らなきゃいけない男性陣も、一度ご来店あれ。
そして今回の旅行で最も難しかったのが気候への対応。たった6泊する間にカンカン照りで気温が35℃以上にまで上がって酷暑になった日があったかと思えば、雨が降り北風が吹いて21℃ぐらいまで下がって肌寒かった日もあり、かなり大変でした。ただ、基本的にパリは非常に乾燥していてカラッとしているので、どんなに暑い日でも屋内で扇風機やシーリングファンに当たればすぐ涼しくなります。なので寒い時の対策だけしておけば大丈夫です。ま、元々パリは19世紀末~20世紀初頭に整備された街並みの景観保護のためにエアコンの設置が禁止されている*30ので、そもそも大抵のところでは扇風機しかないんですが。。。
そう言えば今回のパリ旅行の心残りは、ルーブルのオランダ絵画フロアが閉鎖中でフェルメールの作品が見られなかったこと、アンヴァリッドのナポレオンの棺を見そびれたこと、そして観光に躍起になり過ぎたあまりスイーツやデザートやサロン・ド・テを楽しむ機会が少なかったこと。またリベンジに行きたいけど、いつになることやら。。。
おまけ
岩合光昭さんの世界ネコ歩き・パリ編に出てきた手回しオルガン弾きのおじさんのネコ2匹、最終日にオペラ・ガルニエのそばで見ることができました。
番組中でも紹介されていたように、物凄く大人しいネコたちでした。
*1:2013年夏のサイパン以来、ちなみに前2回はNIPSとKDDで出張のついでだった
*2:ここでも炎上ラーニング歓迎(笑)
*3:この続きとして「それであまりに憧れが強いままやってきてしまって精神を病む人すらいるんです」と。。。
*4:今は美術館や博物館など
*5:僕は現地でも帰国後でも殆ど時差ボケはありませんでしたが、嫁さんは少し時差ボケが出たようです
*6:新鮮な牛肉が手に入るフランスならではの料理かも。安全・衛生面は基本的には大丈夫だと思います
*7:これはエティエンヌ・マルセルで入った店、Le Comptoir de la Gastronomieで、帰国してから調べて知ったのですがTrip Adviserでも高評価で日本にもファンの多い有名店みたいです
*8:Bd Haussmannで実際に出くわした
*9:30年前に実家の親父がパリに出張で来た際にロストバゲージで途方に暮れた時も、この日本人街のラーメン屋で腹を満たして気持ちを落ち着けたそうです
*10:緯度で言うと北海道と同じぐらいなので
*11:夕方着で外食するには遅い時間だった
*12:2週間ぐらいかかることもあるのでお早めに
*13:ピラミッドの日本人街の近くにもあります
*14:ってか収蔵品が多過ぎるのだ
*15:しかも寄贈者の遺言?か何かで門外不出扱い
*16:旅行代理店の注意文書にまででかでかと書いてあった
*17:東欧系のやや色の濃い風貌の人々が多いので実はパリではそれなりに目立つ
*18:少なくともサクレクール寺院、ヴェルサイユ宮殿、ルーブル、オルセー、エッフェル塔、凱旋門、シャンゼリゼ通りには兵士か武装警察のどちらかが立ってた
*19:ギャラリー・ラファイエットの化粧品売り場で300ユーロを現金で支払っているのを目撃しました。。。
*20:歩いて行ける距離
*21:パリ北部は移民が多いので移民に対する差別という面もあるものの、一方で格差社会のなせる業だとも言えます
*22:さらにその中には窓ガラスを割って所持品を奪う荒っぽい手口のひったくりもいるそうで
*23:その時は2人がかりでひったくりを蹴っ飛ばしてホーム側に叩き落として難を逃れたのだとか
*24:23時とか23時半とかぐらいらしい
*25:ピラミッド界隈のFranprixの若いお姉ちゃんは多分僕より英語出来なかった
*26:これはまだ英語が今よりさらに下手だった頃に何度か経験してつらかった。。。
*27:そもそも日本以外の国には写真入りメニューなんてものは殆どないのだ
*28:フライトマップを見たら曲がりくねっていた
*29:それに引き換え4年前にワシントンDCに行った時のANAや去年のNYC往復のデルタはかなり酷かった
*30:室外機を表通り側は勿論、中庭側に付けてもいけないそうで。ただし大型施設や業務上エアコンを要する店舗並びにホテルは例外