僕がいま考えていることですが、米国株はいずれ二番底を試しに行くと思っています。
そしてたぶん先日のダウ工業株価平均指数のザラバ安値、15,370は死守できると思っています。
そう考える理由は、FRBが「利上げしない」とひとこと言えば、それで済むと思うからです。また、「中国人民銀行と密接に連絡を取りあい、政策協調する」式の、イミフなsweet nothingを囁けば、それだけで投資家はウットリしてしまい、株価崩落を防ぐことができると思うからです。
逆に米国市場が、8月11日の中国人民元切り下げ前の水準まで戻したなら、「なんだ、もう株価は戻ったじゃないか。なんで利上げしないの?」と、利上げへのプレッシャーが高まってきます。
この局面で利上げするのは、僕の経験から言えば、やっぱりすごくまずいと思います。だから利上げは無いと思っています。
マーケットは、この利上げリスクを意識するので、なかなか一気呵成に買い上がりにくいと思うのです。
つまり、下もなければ、上もない。そういうレンジ的な展開が、一番、自然かな? と思っています。
ドルがちょっと戻すと、それは折角、人民元を切り下げた効果を奪い去ってしまうので、再度の人民元切り下げを催促することになります。なぜなら人民元切り下げは中国本土株式市場とのかねあいで決断されていることではなく、中国国内の労働争議件数などの、景気そのものの動向に左右されているからです。
今月の労働争議件数は8月26日現在166件で、足下の発生ペース(一日あたり8件)から月末の数字を予想すると、206件前後のペースとなります。これは過去5カ月で最高のペースです。
前にも書いたけど、この労働争議の件数がぐっと低下しないことには、一連の景気刺激策を引込めることは出来ないのです。
更なる人民元切り下げは、新興国通貨にダメージを与えます。そういう伝染経路で不景気が輸出されているわけです。
新興国通貨の急落は、新興国のひとたちが、舶来の製品を買いにくくなることを意味します。実際、多くの新興国で需要の減退が起きています。新興国ファンドのパフォーマンスはメチャクチャなので、投資家はどんどん解約しているし(=皆さんは、ちゃんと解約しました?)、今後、新興国は新しい起債に苦労することになると思います。
ようするに、10月半ばあたりまでは、煮ても焼いても喰えない、トレードしにくい相場が来るということです。
あくせくトレードしてムダな体力を消費するのではなく、キャッシュポジションを高く維持し、ごく選択的に、バフェット流の堅実な銘柄を、安いところでチョイ仕込む……そういうスタンスでオッケーだと思っています。
なお、グロース株は、7月に処分してくださいとお願いして以来、さわってないわけですけど、二度と出番が来ないかどうかは、未だわからないと思っています。ボラが高い今は、そのボラに付き合わされたくないと感じたので外しているだけで、とうぶんゼロ金利継続!という方針がハッキリ打ち出され、マーケット全体のボラがひくくなったあかつきには、昔のようにグロース株がズンズンズンと値を切り上げるという展開になることも可能性としては排除してません。いまは利上げカードが未だ温存されているので、即断を控えているだけです。