上記の記事によると,鹿児島では大学進学率の性差が大きく,女子は全県の中で最低です。なるほど,上記の知事の発言とつながっているように感じます。
先の記事では,2013年春の県別・性別の大学進学率を出していますが,データを更新して,今年春の同じデータを作ってみました。男女差を分かりやすくするため,男子の進学率が女子の何倍かという倍率も添えました。
大学進学率は,各県の推定18歳人口に占める,当該県出身の4年制大学入学者の比率です。分子には過年度卒業生(浪人経由者)も含みますので,浪人込みの進学率ということになります。詳しい計算方法は,冒頭のリンク先の記事をご覧ください。文部科学省の「学校基本調査」でも採用されている,公的な算出方法です。
2015年春の県別・性別大学進学率は,下表のようになっています。黄色は47都道府県中の最高値,青色は最低値です。
今年春の全国の大学進学率は51.5%です。今日では同世代の2人に1人が大学に進学するといわれますが,その数値的な表現となっています。
しかし県別にみると値は著しく違っており,最高の72.8%(東京)から最低の35.1%(鹿児島)まで,倍以上の開きがあります。
知事の発言で注目されている鹿児島の大学進学率が最低なのですが,それは女子の進学率が低いためであるようです。当県の女子の大学進学率は29.2%で,全県の中で唯一3割に達していません。それだけ男子との差も大きく,右端のジェンダー倍率は1.4倍近くにもなっています。トップの北海道に次いで,大学進学率の性差が大きい県です。
「女子に高等数学は必要か」という知事の発言が,わが郷里における青年期のジェンダー的社会化の存在を示唆しているように感じます。ちなみに大学進学率が「男子>女子」という傾向は普遍即ではなく,徳島のように,その逆の県もあることに注意されてよいでしょう。
先日公表された「全国学力・学習状況調査」のデータが性別に集計されていれば,小6から中3にかけてのジェンダー分化を県ごとに分析できるのですが,それが叶わないのが残念です。
たとえば,小6(2012年)から中3(2015年)にかけて理科嗜好が大きく減じることが各紙で報じられていますが,それが顕著なのは男子と女子のどっちか。あるいは,どの県か。郷里の鹿児島では,その傾向がクリアーなのではないか,という疑いが持たれます。問題兆候を見つけたら,さらに層別の分析をして,病巣をえぐりだしていく。こういう手はずを踏んでいきたいものです。
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