避難計画「合理的」と確認 伊方原発で愛媛など3県 住民の不安払拭に課題

2015/08/27 17:18
 愛媛、山口、大分3県と関係省庁は26日、東京都内で地域原子力防災協議会を開き、四国電力伊方原発(愛媛県)の事故に備えた半径30キロ圏の避難計画について「具体的かつ合理的」と確認した。政府の原子力防災会議(議長・安倍晋三首相)に近く報告し、了承される見通し。

 伊方3号機は7月、再稼働の条件となる原子力規制委員会の審査に合格し、地元同意に向けた手続きなどが進められている。避難計画は規制委の審査対象外のため、政府として計画の実効性を了承することで再稼働を進めたい考えだ。

 伊方原発は「日本一細長い」とされる佐田岬半島の付け根にあり、事故時には半島内で約5千人が孤立する恐れが指摘されている。内閣府の 平井興宣 (ひらい・おきのぶ) 政策統括官(原子力防災担当)はこの日の協議会終了後、報道陣に「現時点で考えられる限りの対応ができた」と述べたが、住民の不安 払拭 (ふっしょく) には一層の対策強化が必要との認識を示した。

 避難計画の対象は伊方原発の半径30キロ圏に入る住民約12万4千人。事故時の避難ルートや避難先施設を明記したほか、移動に必要なバスの台数なども盛り込んだ。

 計画によると、半島の奥側に住む約5千人は、陸路が使える場合は自家用車などで伊方原発の前をいったん通り過ぎて松山市方面に避難。地震などとの複合災害で陸路が使えない場合、フェリーで原発から約50キロ離れた大分県側に避難する。陸路や海路が使えない場合は屋内退避するが、放射性物質を除去する換気設備付きのシェルター施設は周辺に4施設のみで、収容人数は約470人分しかない。

 また、30キロ圏に入る山口県上関町の離島住民約30人は町の定期船で避難する。

 (共同通信)

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