【シャンパーニュ:3】耽溺のシャンパーニュ、セロスのリューディとパイパーエドシックのキュヴェ レアを利く。

こんにちは。
本日はシャンパーニュ、パイパーエドシックのキュヴェ レア、リシャールシュルラン、セロスのリューディです。


リシャールシュルランはオーブ地区に拠点を置くレコルタン マニピュラン。
日本国内ではインポーターの尽力もあり非常に評価が高く、売り切れている所に良く出くわします。
平均樹齢25年、栽培は極力自然に沿った葡萄作りを行っている。
プレスは伝統的な木製の垂直型プレス機を使用し、ステンレスタンクで発酵。マロラクティック発酵を行う。
瓶詰め後の動瓶は手作業で行われる。カルトドールより若干若い樹を使って造られる。

1785年にフロレンス ルイ エドシックが創業したパイパーエドシック。現在はレジス カミュが指揮を取っています。
...実はそれ以外、あまり情報はありません。殆どがパイパーエドシックがいかに「セレブでクールなシャンパーニュ」かを切々と説いている文章ばかりです。いらねーんだよそんなん。
まあ、そういったテクニカルデータはもはや不要と、そんな感じなんでしょうね。映画やファッションブランドとのコラボレーションを行ったプロダクトもありますが、フラッグシップはやはりレアヴィンテージ。ドサージュはだいたい12g/Lくらいだそうです。

ジャック セロスは現在シャンパーニュで最も注目されているレコルタン マニピュラン。
ビオディナミから一線を引き、自然派でありながらロジカルにビオの必要不必要を判断している。
アイとアンボネイに0.7haのピノ ノワールを保有し、リューディを少量生産している。
一次発酵には2種類のサイズ、5つの樽メーカーを使用し、平準化をしている。発酵には天然酵母を使用し澱引き、濾過せずに翌年5月頃まで新樽比率10で樽熟成。マロラクティック発酵は行わない。この時点でリザーブかボトリングかを判断する。ボトリング後、3年間のカーヴで瓶熟成。デゴルジュマンは瓶口を凍らせずに手作業で行う。
今回のアイ コート ファロンはリューディシリーズの初リリースのもの。2003年の単一年で国内割り当てはわずか48本。樽発酵後1年の熟成が行われ、さらに6年の瓶熟成を経てリリースされたエクストラブリュット。ちなみにこの年のリリースはこのコート ファロンとメニル シュール オジェ レ キャレルのみ。コート ファロンは2003年を主体に2004年、2005年がブレンド。ドサージュは2g/L。ソレラシステム使用。エクストラ ブリュット。

さて、いってみましょう。

生産者:リシャール シュルラン
銘柄: カルト ノワール ブリュット NV
品種:ピノ・ノワール70%、シャルドネ30%

外観は淡いストローイエロー、粘性は低い。泡は柔らかく立ち上っている。
あまり香りは立ち上ってこない。
シャンピニオンや塩ナッツ、出汁、ミネラルの様な香りが感じられる。揚げ煎餅や動物的な香り。フレッシュハーブなど。果実由来の香りはあまり上がってこない。
青リンゴやレモン、ハーブなどの甘酸っぱい風味が口に広がるを酸味は鋭くシャープな印象を受ける。レモンみたい。


生産者:パイパー エドシック
銘柄: ミレジメ キュヴェ レア 2002
品種: シャルドネ70%、ピノノワール30%

約25000円、WA91pt
外観は淡いストローイエロー、粘性は中庸。
ほっくりした焼き栗や塩を降ったナッツ、エシレバターの塩スイーツの様な旨味に満ちた風味が感じられる。
そしてドライハーブ、杏仁豆腐、そしてライチや熟したリンゴの様な果実味なども感じられます。非常にローステッドでありながら豊かな酸味と旨味がある。さながらラモネのビアンヴニュの様なエレガントで心地よい風味が口に広がる。
ブラン ド ブランらしいクリスピーさ。
旨味酸味共に非常に卓抜していて複雑である。若干酸味が勝っているか。
心地よい熟成シャンパーニュ。全くもって素晴らしい。


生産者: ジャック セロス
銘柄: エクストラ ブリュット グランクリュ アイ ラ コート ファロン NV
品種: ピノノワール100%

63000円、WA92pt
デコルジュマンは2011年2月11日。外観はうっすらと赤みを帯びた濃いイエロー、粘性は中庸。
ドライシェリー、ドライハーブ、白胡椒などの複雑な風味が主体。そしてハチミツや凝縮感のあるアプリコットやカリンの果実味、花の蜜のような瑞々しい甘露さ、シャンピニオンやオイル、石の様なミネラルが一塊となって感じられる。構成する要素が非常に複雑で、リザーブワインをしっかりと使った、熟成感と若々しさを感じさせる作りだ。
酸味は強く、繊細な旨味と共に一気に広がっていく。突き抜ける様な強烈な柑橘系やアプリコットの旨味とシャープな酸味が魅力的だ。


まずはパイパーエドシックのキュヴェ レアから。70%がシャルドネと言う事でシャルドネのMLFっぽい味わいがしっかり出ています。また幾分か熟成を経て丸みを帯びており、いわゆる熟成したコート ド ボーヌの熟成グランクリュの様な味わいが感じられます。結構汎用性が高く王道的な味わいですが、清涼感のある酸味とあいまって非常にバランスの取れた古酒となっていました。現在が飲み頃といった感じでしょうか。
次にリシャールシュルラン。
これは事前の高い評価に対して、個人的にはあまり美味しいと感じる事が出来ませんでした。
というのも香りがあまり立っておらず、シャープな側面がやたらと強調されている。シェリーなどの複雑な要素は感じられるのだけど、香りの立ち方、味わいがやや不足気味でした。
状態の問題もあるかもしれませんので、再検証の余地はあるかもしれません。
そして最後はジャックセロス。
小区画(リューディ)の名の通り、土地のテロワールをしっかりと表現したシャンパーニュ。できれば水平で飲んでみたかったですが、何分球数も少ないですんで、コートファロンを飲めただけで良しとすべきでしょう。
アイのテロワールはあまりよくわからないですが(シャルドネは好きで調べるのですがね...)、アイは肉厚なピノノワールを算出する村らしく、ブラン ド ブランに比べて、より引き締まったボディを感じました。
全体的に泡や酸味こそ若々しいですが、熟成感を非常に強く感じる作り。
とても複雑でドライシェリーやハーブや白胡椒と共にシャープなアプリコットやカリンのニュアンスが感じ取れました。ミネラルもしっかりとある。
感覚としてはクリュッグのノンヴィンテージに近いですが、よりボディが引き締まっていてエッジの効いた味わいだったと思います。熟成感がありつつピンと張り詰めた緊張感があります。ダレた印象は全くないですね。複雑さと香り高さ、そしてシャープネスが魅力的なシャンパーニュだったと思います。

個人的にはブラン ド ブランが好きなのでキュヴェ レアですが、偉大なワインという意味ではセロスじゃないかな、とおもいます。素晴らしい。



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一人でやるのは豪華ですね。是非一緒にテイスティングしたいです

No title

そうですね。ただ一人だと集中できて非常に環境的によろしいのです。
どうしても話をしながらだと人の感想に寄ってしまうので・・・
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HKO(はこ)

Author:HKO(はこ)
飲み過ぎ食べ過ぎでそろそろ腹回りが気になってきたサラリマン(仮)のワインブログ。いつになったらエキスパート取得に本気になれるのか。単純に本人ダラけてます。

好きな生産者はルジェ、フーリエ、アルマンルソー、バシュレ、ドニモルテ、オーベール、ピーターマイケル、マーカッシン、キスラー、コングスガードなど。カリピノとブルピノが好き。

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