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新生日航福岡「レ・セレブリテ」で幸せ大人デート

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 真冬らしい寒い夜は夫婦二人地元フレンチでほっこりディナーを楽しもうと車に乗り込む。訪れたのは昨年開業25周年を迎えたイルミネーションもキラキラのホテル日航福岡。クリスマス・正月とロビーは豪華な飾り付けで華やかだ。
 昨年館内施設の大規模リニューアルが行われ、フレンチレストラン「レ・セレブリテ(Les Celebrites)」も一時休業しての改装工事、細かな手が加えられた。前回訪問はちょうど一時閉店の数日前で25周年を兼ねた「特別ディナー」を頂いたのだった。

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 さて美しく生まれ変わった「レ・セレブリテ」に入ろう。席の配置や高価調度品はそのままなので一見するとイメージは変わらない様に見えるが、ソファや椅子全ての生地の張替、絨毯や壁紙なども全て一新し真新しい香りがする。妻はいつもの席に着くなり、ソファが固めに調整され座りやすくなった事や、クッションの手触りなどを喜んでいる。
 全体的にアイボリー色だった明るい内装は、若干ベージュ色のシックな風情になり、照明も少し落として更に大人の落ち着いた空間になった。「デートに相応しい雰囲気になったわね♪」と妻も気に入った様子である。

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 そこへ支配人である原部暢俊ソムリエが登場。「スーツになったのね?!」と妻が早速気付く。なるほど以前の定番タキシードから、今時らしい細身のデザインのスーツ姿になっている。見渡せば男女共にスタッフの制服が一新し、垢抜けた感じで好印象だ。
 さぁまずは乾杯しよう。こちらでは定番となっていた「クリュッグ グラン・キュヴェ」だが、この日は「アンリオ・キュベ・デ・アンシャンテルール(Henriot Cuvee Des Enchanteleurs) 1995年」があるとの事でチョイスする。

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 我が家のセラーでも常備しているお気に入りシャンパーニュの一つ「アンリオ」は、どこかエレガントさが感じられる所が好み。アッシュがかった薄めのゴールド、キラキラと緩やかな美しい泡だ。
 ナッツ・シェリー・ミツ・モカ・・熟成から来る複雑なブーケがグラスの縁から流れ出る。最近アンリオに飽きていたはずの妻の目がキラリとする、「これかなり美味しいよね?!」。飲み頃と言う事もあろうが、いつもながらこちらで頂くワインはいずれも保存状態が良い。

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 柔らかなミネラルと穏やかな酸が上質な余韻を醸し出す。この時期に合うような深く落ち着きのある味わいに満足する。今宵の料理もいつものように森田安彦シェフにお任せ。「アルバ産白トリュフをふんだんに使ったメニューを用意してます」と原部ソムリエ、メニューを見るだけで期待が高まる。
 そうそう森田シェフは、この1月後半に「ボキューズ・ドール2015」に合わせて渡仏するよう。1987年にポール・ボキューズ氏が設立したフランス料理「ボキューズ・ドール国際料理コンクール」。2年に一度国別に競い合うため、料理界のワールドカップとも言われる。

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 今年は1月27日・28日、フランス・リヨンのシラ国際外食産業見本市で24か国が参加して開催される。日本代表としては、2007年に長谷川幸太郎シェフ(当時サン・ス・エサブール)が6位入賞、2013年には浜田統之シェフ(軽井沢ホテルブレストンコート総料理長)が魚料理で世界最高得点を獲得し、総合では3位に入賞した。
 今年の代表は、2013年の日本大会(ひらまつ杯)で優勝した高山英紀シェフ(メゾン・ド・ジル芦屋)。3位に入賞した森田シェフも応援に駆けつけると言うわけだ。

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 5時間半内に与えられるテーマ食材を使用して料理を仕上げる形式。今年のテーマ食材は、肉料理が「仏ランド地方産ホロホロ鳥」、魚料理は「仏産ブラウントラウト(マス)」、そして前日には「秘密の食材」が指定されると言う。
 さてこの日のディナーに戻ろう。アミューズは最近流行っている「スガハラ(Sghr)」の美しいハンドメイドガラス上に並べられて登場だ。一口で頂く「パテ・ド・カンパーニュ」、口の中で風味が広がる「イカスミのコロッケ」。小さな可愛らしい「グジュール」の間にはフォワグラのテリーヌで、更にその上には「ソーテルヌのジュレ」と金粉も乗せられている。

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 そして「イチジクと生ハム」と、細やかなバリエーションがフレンチらしい楽しさだ。パンも新しくなって、フルール・ド・セルを練り込んだクロワッサンとバケットが無塩のバター添えて運ばれる。今までこちらのパンは弱かったが、今回のリニューアルに合わせて明らかに美味しくなっていた。
 前菜一皿目は「北海道産帆立貝柱と久保田農園甘かぶのガレット」。白トリュフが美しく並んだ上に金箔が乗せられ、何とも香しい花の風情に妻も「素敵♪」と嬉しそう。オレンジ・ビネガーのネットリした味わい、添えられた岩塩が、貝柱と甘かぶの繊細な甘さと仄かな旨味を、グッと引き出す。

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 そこに加えて登場したのはメニューにはないプレート?!シェフからプレゼントだと言う「じゃが芋のパイ包み」だ。オニオン・マッシュルームなどの入ったその小さなパイ包みには白トリュフも削られ、軽やかでいて旨味の詰まったペリグーソースがテーブルで注がれる。
 続く前菜「ヴァンデ産フォワグラとジロール茸のリゾット 香り高い茸のカプチーノと共に」が運ばれてきた。存在感のあるジロールのリゾットとフォアグラの絶妙なハーモニーに思わず唸る。ピスタチオの香りを移したオリーブオイルも垂らしてある。

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 温度が上がってフランス産秋トリュフの香りもかなり立ち上がり、「アンシャンテルール」と絡み合ってすっかり幸せな気分だ。ボリュームもありフレンチらしい奥行きのある味わいで、ここまでの3皿だけでも既にかなり満足。
 店舗改装期間を利用して渡仏した森田シェフ。パリ「ル・サンク(Le Cinq)」など気になるレストランを回って刺激を受けた成果が、プレートに如実に表れているようだ。

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 そんなワクワクする中に登場したのは、これまた森田シェフ新感覚の「ブルターニュ産活オマール海老のフリカッセ ソースヴァンジョーヌ」。美しく華やかなボリュームを感じるプレート。シンプルながらも旨味が後を引くようなヴァンジョーヌソースが何とも美味だ。
 さぁ赤ワインは、いつもの様に原部ソムリエお勧めの中から選ぶ。ブルゴーニュ「コント・ジョルジュ・ド・ヴォギュエ ボンヌ・マール(Comte Georges de Vogue Bonnes Mares Grand Cru) 1999年」。赤い果実のミネラリーな香り、なめし皮、チャーミングな麝香の香りが印象に残る。

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 ミネラルと旨味が良い塩梅で、柔らかなアタックから熟成を感じさせる。華やかさがあるが、凝縮感は余りなく余韻は軽い。秋に開けた同「2006年」よりこじんまりしているとはいえ、十分楽しめた。
 今宵のメインの肉は「糸島産窒息鴨のロースト コニャックが香るソースポワブルヴェール」だ。2人別々のプレートデザイン(盛り付け)で提供される言う面白い試みに妻も楽しそうだ。添えられるは「牛蒡とリンゴのピューレ」、テーブルでソースを垂らして仕上げる。

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 少し硬めの野趣っぽい食感から広がる滋味深い旨味。「ボンヌ・マール」の香り豊かな味わいと共に、ふくよかなソースで美味しく頂ける。更に白トリュフの香り広がる「トリュフとリンゴのサラダ」も添えられ、最後までしっかり楽しめた。
 今宵はとにかくトリュフ三昧と言う事で、最後の「セレブリテ特製デザート」もトリュフのアイスクリーム。もうここまで行くとトリュフの妖艶な香りにまみれている状態(笑) 幸せいっぱいな中、「ミニャルディーズとハーブティー」で締めくくった(お土産のドラジェも新パッケージ)。

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 ただでさえ年末年始で忙しいホテルダイニングであるにも関わらず、いつものように繊細な食材の組み合わせ・美しいデザインに加えて、フレンチらしい複雑な味わいとコクのある旨味が存分に表現された、素晴らしいディナーであった。
 今勢いある森田シェフは、更にフランス「ボキューズドール」でも新たな刺激を受けて来ることだろう。いつも安定した穏やかなサービスの原部支配人に見送られつつ、車に乗り込みホテルを後にする。次回の訪問も今から楽しみだ。

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