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その他スポーツコラム
「駅伝には興味がないんですよ」と大学時代からトラック競技を目指して来た大迫傑。日本記録も更新し、長年の野望は結実しつつある。
photograph by PHOTO KISHIMOTO
世界陸上PRESS

大迫傑の5000m予選敗退は快挙だ!
日本人が苦しんだ「中間走」を克服。

生島淳 = 文

text by Jun Ikushima

photograph by PHOTO KISHIMOTO

 大迫傑(ナイキ・オレゴン・プロジェクト)は5000メートルで13分45秒82、1組目の7着となり、決勝進出はならなかった。

 新聞によっては、ただこれだけの文章で済ませてしまうのかもしれない。

 しかし、これではどれだけ大迫が中身のあるレースをしたのかがまったく伝わらない。正直、私は大迫の走りを見て感激したほどだ。

 では、どこが大きな収穫だったのか?

 まず、世界選手権の男子5000メートルで過去、日本人は決勝に進んだことがない。ある意味、短距離よりも「遠い」種目だったのだ。

 私も過去、オリンピックや世界選手権で、箱根駅伝を走ったようなエリートランナーたちがアフリカ勢のギアの上げ下げに対応できず、置き去りにされるのを何度も見てきた。そして腰の位置が落ち、どんどん離されていく――。

 しかしこの日、大迫は違った。

今までの日本人がついていけなかったペースに対応!

「1組目が遅くなるのは分かっていました」

 レース後に大迫はそう話したが、1000メートルごとのラップを見てみると、

1000メートル 2分46秒
2000メートル 3分01秒
3000メートル 2分51秒

 とかなりゆったりしたものだった。しかし、3000から4000の間に一気にペースが上がり、2分35秒を記録する。

 ここだ、見逃してはならないポイントは!

「今までの日本人選手だったら、ここでついていけなかったと思います」

 TBSテレビの解説の金哲彦氏も、そう話して興奮を隠せない様子だったが、まさに大迫の真骨頂は中間走でまったく世界と遜色がないことにある。

 ラストの1000メートルも2分30秒強でカバーしており、これだけ「世界」に対応した5000メートルの日本人選手は、なかなかパッと思い浮かばない。

 予選落ちの結果よりも、この中身を評価したいと思う。

【次ページ】 「中間走に関してはあまり変わらなかったと思う」

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