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「大地は沈みつつある」NASAや国立極地研が海面上昇を警告

 米航空宇宙局(NASA)などの研究グループは8月26日、地球温暖化によって、世界中の海面は過去23年間で平均約8センチ、場所によっては20センチ以上上昇したという衝撃的なデータを発表した。これに先立って日本の国立極地研究所は、北極圏のグリーンランドでは従来の想定よりも早く氷床が溶け、海面上昇が始まる可能性があるとの研究結果を明らかにした。


 NASAをはじめとする各国の研究機関は26日、地球規模で進行する海面上昇について協議を行った。報告によると、人工衛星による観測の結果、1992年以降、世界では海面が平均して約8センチ、中国の黄河河口に広がるデルタ地帯では約25センチ、米東部の沿岸では平均の2~3倍にあたる35センチ余りの上昇がみられるという。

 
 地球温暖化に伴って、海面上昇は今後も急激に進行すると懸念されており、北極圏のグリーンランドでは、今後数十年の間に氷床が融解する可能性が示唆されている。約170万平方キロメートルの量の氷床が島の8割以上を覆っているグリーンランドは、すべての氷が溶けると、地球の海水面が現在よりも6~7メートル上昇すると推定されていて、各国の研究機関は、海面上昇を予測する一つの目安として、調査の対象にしている。

 
 日本の国立極地研究所は先月、グリーンランドの氷床の融解は、温暖化に加えて、太陽活動の低下も関係しているという新たな研究結果を発表した。小端拓郎特任助教らのチームは、グリーンランドで採取した氷床コアを分析し、過去2100年の気温変動を再現した。

 

 その結果、グリーンランドでは太陽活動が活発な時期には、北半球全体の気候とは逆に気温低下し、太陽活動が鈍化すると高温になることがわかった。これには海の表層水が塩分と低温のために、深海の深層水より比重が重くなって沈み込み、海流に変化が生じる現象と関係しているという。


 実際に、1980年~90年代にかけてグリーンランド周辺で観測された寒冷化は、太陽活動が1950~80年代に活発化したことで裏付けられる。研究チームは、このメカニズムを適用すると、1990年代以降、現在まで続く太陽活動の低下が、10年後の2025年にグリーンランドの気温上昇を招き、これまで考えられていたよりも早く氷床の融解が進む可能性があると結論付けた。


 NASAの研究グループは先月、グリーンランドのフィヨルドと海水温の変化を調査するプロジェクトを開始した。今後6年かけて、氷床融解と海面上昇を予測する技術の開発を目指すという。

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