新大学入試:パソコンで解答 24年度以降の導入目指す
毎日新聞 2015年08月27日 21時34分(最終更新 08月28日 10時21分)
◇音声や動画で多様な出題形式 文科省専門家会議が中間報告
大学入試の新制度の設計を進めている文部科学省の専門家会議は27日、中間報告をまとめた。2020年度から導入する新共通テスト「大学入学希望者学力評価テスト(仮称)」はコンピューターを使って出題・解答する方式(CBT)を採用する。音声や動画が使えるため多様な出題形式を見込めるのが利点という。試行を経て24年度以降の導入を目指す。一方、入試を主目的とせず高校生の基礎学力の定着度をみる「高校基礎学力テスト(仮称)」は、作問から運営まで民間の試験業者との連携を検討する。年内に最終報告をまとめる。
中間報告は、今後若者に求められる資質・能力として(1)十分な知識(2)思考力、判断力、表現力(3)主体性、協働性−−を挙げ、この「学力の3要素」を多面的・総合的に評価する入試へと転換することを求めた。
国は大学入試センター試験に代わり、新たに「学力評価テスト」を入試の学力試験として導入する。次期学習指導要領下で実施される24年度入試以降はパソコン上で解答する方式の導入を目指す。試験科目は数学と理科を融合した新科目「数理探究」などを想定。センター試験のような選択式だけでなく、思考力や判断力をみるために記述式問題を取り入れる。英語に関しては「読む」「書く」「聞く」「話す」の4技能評価のノウハウを持つ民間試験業者との連携を検討する。
学力評価テストに加えて各大学が実施する個別入試では、面接や論文、高校時代のボランティア活動や部活動の実績などから、主体性や協働性なども総合的に評価し、同テストの結果と合わせて合否を決める。
一方、「基礎学力テスト」は高校版「全国学力テスト」の位置づけで学校単位で参加する。作問から採点、運営まで「可能な業務は積極的に民間事業者の知見を活用する」としている。入試で事実上学力不問にしているような大学に入学選抜の参考資料として活用してもらうことも想定する。19〜22年度は試行期間とし、23年度から本格実施する。
中間報告は、入試改革と同時に高校、大学でも思考力や主体性の育成を重視した教育への転換が必要として、▽討論しながら課題解決策を探る「課題解決型学習(アクティブ・ラーニング)」の充実▽各生徒の学習成果を多面的に評価−−などの改革を求めた。【三木陽介】