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 全国43の国立大学付属病院の2014年度決算が合算で84億円の赤字となった。赤字は04年度の国立大学法人移行後、初めて。消費税率が8%に上がり、病院が仕入れる物品や設備にかかる税負担が増えたことが主な理由だという。

 国立大学付属病院長会議が集計した。病院別の収支は示していない。43病院の医療収入は計9760億円、交付金も含めた総収入は1兆1千億円で、支出が1兆1084億円だった。消費税負担が重荷になる設備・備品の購入額は前年度より計87億円、34%減らしており、会議の委員長の山本修一・千葉大病院長は「最先端医療という大学病院の役割に重大な影響を及ぼす」と話している。

 公的保険による医療・介護サービスは非課税扱いだが、病院が仕入れる物品などには消費税がかかる。政府は、増税時に診療報酬や介護報酬を引き上げて穴埋めする措置をとってきた。だが、受診時にかかる初診料や再診料を中心に引き上げたため、物品調達が多い大病院ほど負担増の穴を埋めきれていない。

 病院長会議の試算では、診療報酬の増税対応分は43病院で計117億円あったが、光熱費や消耗品を含む消費税の支払いは171億円増え、差し引き54億円の損になった。一方、私立大医学部でつくる日本私立医科大学協会の試算では、傘下28大学の病院で増税による差し引きの負担増は少なくとも計56億円にのぼる。協会の消費税問題担当である明石勝也・聖マリアンナ医科大学理事長は「私立の医大は病院の黒字を教育に回して成り立っている。国立よりも深刻な問題だ」と話している。(高谷秀男)