株価下落で「アベノミクス破綻」とはしゃぐ朝日・毎日は、「日本経済の崩壊」を望んでいるのか?
現代ビジネス 8月28日(金)6時2分配信
まず最初の「景気が良くなる必要はないと思っている」というのは本当か、と思われる読者がいるかもしれない。もちろん朝日や毎日は表立って、そんなおバカな主張を唱えたりはしない。一見もっともらしいオブラートに包んだ言い方をするから、なかなかホンネが見えにくい。
だが、朝日は「株安は通らなければならない試練」と書いたくらいだから、実は景気悪化だって「通らなければならない試練」くらいに思っている。私はそう思う。ゼロ成長容認について言えば、これは本当である。かつて朝日は堂々とゼロ成長を勧める社説を書いた。
ゼロ成長論が左派リベラルの間で一時、大流行したのは、覚えている読者もいるだろう。それは、実はいまも生きている。たとえば民主党の枝野幸男幹事長は著書『叩かれても言わねばならないこと 「脱近代化」と「負の再分配」』(東洋経済新報社)で「成長はもはや幻想だ」と書いている。
枝野幹事長と同じように、朝日や毎日は実はいまでもゼロ成長が正しいと思っているのではないか。だから株安も試練などと言えるのだ。国民の側から見れば、これは「株安も景気低迷も受け入れてひたすら耐えるべきだ」という「しばき論」にほかならない。
そういう「しばき」に耐えぬいて生き残った企業や家計が正しく立派という理想を抱いている。これは、かつて学校のスポーツ活動で批判された「シゴキ論」とそっくりだ。
雨の日も風の日も、もちろん太陽が照りつける暑い日も、休みもとらず水も飲まず、ひたすら先輩のシゴキに耐えぬいて生き残った者が立派な選手というシゴキ論である。
朝日や毎日がいまどきシゴキ論を礼賛するとは思えないが、国民生活や経済運営では事実上、シゴキ論を展開している。私は「株高を喜ぶ左派リベラル」という存在に出会ったことがない。
彼らは総じて「株で儲ける」などというのは「けしからん」と思っている。おカネは汗水流して働いて得るもの、それが正しい労働者の姿であって、マネーゲームで儲けるのは邪道、正道を外れた外道と信じているのだ。
役所や企業を取材している経済部記者がそんなことを表でマジメな顔をして喋ったら「お前はバカか」と思われるから、そんなホンネは口が裂けても言わないが、心の中では密かにそう思っている(ついでに言えば、東京新聞にはそういう論説委員や記者がたくさんいる)。
そういう新聞の言うことを信じて、そのまま政策を遂行したら、日本はあっという間に奈落の底に転落するだろう。それは確実である。
長谷川 幸洋
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