大企業で働く若者から「ベンチャーに転職しようと思っているんですが…」と相談を受けました。大企業・ベンチャー・自営業すべてを経験しているので、自分の経験を書いてみようと思います。


1. 大企業は「職種」を選べないのがキツイ

ご想像の通りぼくはアンチ大企業派なのですが、事実ベースでいえば、大企業って「職種」を選ぶことが困難ですよね。

大企業時代のとある上司は、「国内営業→海外営業→CS→法務→広報」と、信じられないくらい多様な職種を経験していました。今はまた違う職種で働いているのでしょう。で、もちろんこうしたキャリアの変化は彼の意思ではなく、人事が一方的に決めた采配だと思われます。

大企業がキツイのは、第一にここだと思うわけです。「マーケティングがやりたくてこの会社に入ったのに、なぜか経理に送り込まれてキツイ」なんて話は、割と一般的です。職種別採用で入ったとしても、そのあとのキャリアは結局選択できなかったりしますしねぇ

その会社のなかにずっといるのなら、多様な職種を経験する意味はあるでしょう。が、転職・独立が前提の場合、ジェネラリストは得てして「使いづらい」ものです。

これからの時代は、自分でひとつの職能を決めて、それを極めていくスペシャリストタイプが生きやすいと思ったので、ぼくは大企業を辞めてベンチャーに転職しました。


2. 大企業は「勤務地」を選べないのがキツイ

思い出すだけで胸が苦しくなるんですが、ぼくがお世話になった上司は、東京郊外に家を買った瞬間に、地方に飛ばされました…

ひどい話ですよ、本当に。せっかくマイホームで子育てできると思ったのに、遠方に飛ばされて単身赴任。もはや人権侵害です。まだこういう悪習、一般的なんですかね?

上記は極端な例ですが、大企業で働いていると、突然別のオフィスに飛ばされることは、そう珍しくはありません。会社の都合でいきなりオフィスが変わるとか、ちょっとやってられないですよね。ましてや家を買ってしまった直後とか。家族の事情だってあるわけで、本当にひどい話だと思います。


3. 大企業は「上司」を選べないのがキツイ

あとは、大企業って上司を選べないじゃないですか。これキツイですよ。

ベンチャーなら、少なくとも「社長」は自分で選ぶことができます。ぼくもかつて勤めたベンチャーでは、社長に惚れて就職したところがあります。結局その会社は1年で辞めてしまいましたが、彼と一緒に働けたのはよかったなぁ、と今でも感じています。

一方で「上司を尊敬できない」というのは、大企業あるあるです。これキツイですよねぇ。上司どころか、社長も尊敬できない(距離が遠すぎて)ものですし。リーダーを選べない環境はリスクですよ。大企業で働いている人は、このリスクに無頓着である気がします。


4. 大企業は「働く仲間」を選べないのがキツイ

大企業の場合、同僚も選べません。これもまたキツイ

漫画「ワンピース」で言ったら、よくわからない人と一緒に大海原に出るようなものです。しかも船長は自分で選んだわけでもない。これじゃ、責任感は芽生えませんよ。自分で選んだわけじゃないので。

ぼくは大企業をやめてから、如実に「仲間を選ぶ」ようになりました。これは基本中の基本です。合わない人とは仕事になりませんから。が、大企業ではこの感覚は鈍磨されます。だってそんな自由はありませんからね。


5. 大企業は「仕事を断れない」のがキツイ

なんかアンチ大企業な記事にしかならないんですが、大企業で働いていると、仕事を断る自由はなくなりますよね。そういう前提自体がないじゃないですか。上から降ってくる仕事をこなすことは「絶対」なんです。それがどんなに非生産的であろうと。

小さな組織なら、「そもそもその仕事を自分たちがやる必要があるのか?」という疑問を抱く余地があります。一人のスタッフであっても「この仕事は私たちがやるべきではありません」という発言権があります。

「仕事を断る自由」のあるなしは、働く上で超大切なのですよ。まぁ、大企業勤めの人にはわからないと思いますが。


6. 大企業は「成果をあげても給料に反映されない」のがキツイ

いうまでもなく。大企業で勤めている以上、あなたの年収には限界があります。

ぼくが在籍していた会社では、20代のうちは、ひっくり返っても年収400万が上限でした。どれだけ優秀であろうとも、年収600万円に達することは、20代ではありえないのです。なんちゅう仕組みだ。

大企業は、個人が出した成果が、悪い意味で薄まって組織に広がってしまうのでしょう。あなたが頑張って1億円稼いだとしても、社員数5万人の会社なら、ひとり頭+2,000円程度の儲けにしかなりません。10億円でも2万円。そりゃ、あなたの給料は上がりませんよ。

大企業を辞めてからは、自分の出した成果が、そのまま報酬に直結するようになりました。当然のことだと思いますが、この環境は気持ちいいんですよ。


7. 大企業は「コミュニケーションコスト」が高すぎる

大企業時代、アホか!ということがたくさんありました。

大した話でもないのになぜか大人数で定例会議が開かれる、とかあるあるですよね。20人集まって、話すのは2〜3人。1時間の会議で、半数はボーッとしているか、寝ている。マジで経験しました、これ。

工場と本社の心理的距離感にも驚かされました。お互い、同じ会社なのに「違う人間」として捉えているんですよね。そういう会社の仕組みだったのでしょう。なんかもう、面倒ですよね、そういうの。

「稟議」という蕁麻疹ワードも忘れはいけません。なんですか、稟議って。時間の無駄のこと?

そう、大企業は人が多すぎるあまり、コミュニケーションコストも高騰しているんです。どうでもいいことに時間を割くのが嫌で、ぼくは会社を辞めました。自分の人生は有限なのですよ。



8. 大企業は「自分の努力でどうこうできない」のがキツイ

ぼくが在籍していた会社は、入社した2009年度、なんと2,000億円の赤字を出していました。2,000億円ですよ。黒字じゃなくて赤字です。信じられない金額です。

この金額を見て、若かりしぼくは「あぁ、すげー、これもう自分の力でどうこうできるレベルじゃないよな」と確信しました。これが大企業か!と。

ベンチャー、自営業のいいところは、「自分が頑張れば割となんとかなる」ことです。努力の問題でなんとかなることが多い、というのは幸せな環境です。そうじゃないと、無気力になっちゃいますからね。ぼくは大企業時代、最後の方マジで無気力でした。まぁ、そりゃそうですね。


9. 大企業は誰も責任を取らない

最後に。一番怖いなと思ったのは、たとえばそういう赤字が出ている状況でも、「責任を取る」という意識が、全体的に希薄なんです。

かくいうぼくも、新卒だったこともありますが、「2,000億円」の赤字は完全に他人事でした。誰かなんとかしてくれるだろう、と。ぼくの上司もそうでしたし、程度の差こそあれ、経営層もそうだったのではないかと思います。

それは結局、「自分の力ではどうこうできない」という諦めが、根底にあるのでしょう。自分の力でどうこうできないわけですから、当然自分には責任はありません。そういうロジックが会社全体に広がってしまうのは、恐ろしいことです。

ぼくは今フリーランスですから、経営に失敗したら、それはもう完璧に自分の責任です。誰のせいにすることもできません。働く上では、この前提が健全だと思い至るようになりました。


ぼくはベンチャー、自営業をおすすめします。

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というわけで、ぼくは大企業よりもベンチャー、または自営業をおすすめします。

「この会社の技術に惚れた」など、何らかのこだわりがあるなら大企業もいいと思いますが、「なんとなく安定しているから大企業に入る」とかはリスキーです。かつてのぼくがそうだったので、よくわかります。さっさと大企業を辞めてよかったと、心底思います。

今はいい時代で、ベンチャー企業の雇用も充実しています。

求人サイト「ambitious」を見れば多数の仕事が掲載されてますし、「Wantedly」を見れば素敵な会社に遊びに行けます。ベンチャーに強いヘッドハンティングサイト「Switch.」もいいでしょう。自由な働き方ができる会社を集めた「パラフト」も必見ですし、独立・転職したいエンジニアの方には「ギークスジョブ」「リツアン」なんてサービスもあります。

ぼくが大企業に勤めていた頃は、こういうサイトもありませんでした。今は、アクションを取るのは簡単な時代なのです。時代の流動性は高まっているので、淀んだ大河から出て、流れの速い清流に移動するのもいいんじゃないでしょうかね。



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