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【千葉】

「政治的中立おかす」全教千葉などが抗議 県立中教科書育鵬社版採択

 県立中学校二校で来春から使う歴史と公民の教科書が、「新しい歴史教科書をつくる会」の元メンバーらが執筆に加わり、保守色が強いとされる育鵬(いくほう)社版に決まったことに対し、教職員組合や市民団体が二十七日、採択のやり直しなどを求める抗議文を県教育委員会に提出した。

 全教千葉教職員組合は、育鵬社版を保守系団体の「日本会議」や「日本教育再生機構」などが「自らの立場の考えや歴史観を学校教育に持ち込むために推進している教科書」と指摘。

 今回の採択を「教育における政治的中立をおかした行為で、教育庁教育振興部指導課を中心とした教育行政が育鵬社を提案したことも、政治的中立の放棄以外の何物でもない」と批判。その上で「教育委員の辞任」や「採択の白紙撤回とやり直し」などを求めた。

 「子どもと教科書千葉ネット21」も、「侵略戦争を賛美し戦前の体制への回帰を求める政治勢力が採択を求める育鵬社版の採択を、不当な方法で強行した。教育基本法の禁じる『不当な支配』に服したことであり、憲法に違反する。採択を公開のもと、やり直すことを要求する」とした。

◆知事「適切に採択」

 一方、森田健作知事は二十七日の記者会見で「採択は教育委員会の権限と責任においてやるもので、適切に採択されたものと思っている。日本という国は先人が頑張ってきたことを、教えていかなくてはいけない」と述べた。

 育鵬社版の記述内容については「教科書の内容は、国の検定に合格しているものだから、あらためて検定に対して言うことはない」と語った。 (村上一樹)

 

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