気象庁:火山担当83人増員、概算要求へ

毎日新聞 2015年08月27日 14時48分

 気象庁は全国で噴火が相次いでいる火山の監視などに当たる職員を、現行の約160人から約5割増やす方針を決めた。来年度予算の概算要求に、火山担当の83人を含む計125人の増員分を反映し約2億5700万円の人件費増額を盛り込む。東京都千代田区の気象庁本庁に「火山監視・警報センター」を新設し、戦後最悪の被害を出した昨年9月の御嶽山噴火を教訓に、火山の監視体制を抜本的に拡充する。

 気象庁によると、今年度の火山担当の増員要求は3人だった。125人の増員は平成に入ってから最多で、うち約7割を火山担当とする。気象庁本庁で23人、管区気象台(札幌、仙台、福岡)でそれぞれ16〜18人を増員。口永良部(くちのえらぶ)島や桜島を抱える鹿児島地方気象台の職員も10人増やす。

 気象庁の火山担当職員は全国50の活火山を常時監視し、活動が高まれば住民避難などの判断基準になる噴火警戒レベルの引き上げなどを決定する役割を担う。気象庁総務部は「観測装置の増設や技術の高度化に対応できる人材が必要で、適性を見て採用を進めたい」と話す。

 火山噴火は地震ほど発生頻度が高くなく、火山学講座を持つ大学や就職先も限られていることから、専門家の育成の停滞も懸念されており、文部科学省も人材育成のための予算を概算要求に盛り込むことを決めている。

 気象庁はこのほか、観測データや過去の噴火経過から火山内部の状態をコンピューター上で描き出すシステムを4億2400万円をかけて強化し、噴火警戒レベルの判定に要する時間短縮を目指す。活動が活発化している箱根山(神奈川・静岡県境)や口永良部島で地殻変動を立体的に把握できる新しい観測装置の導入に2億1800万円を計上する。【久野華代】

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