[CEDEC2015]『逆転裁判』の演出を作り上げるスクリプトシステムをExcelで
「パシフィコ横浜」で開催されているゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2015」。その二日目の8月27日(木)に実施されたカンファレンスの中から、「逆転裁判のスクリプトシステムによる実演を交えた3Dアドベンチャーの作り方」と題したセッションの模様をお届けします。
このセッションでは、『逆転裁判5』以降、『逆転裁判』のスクリプトツールを制作したカプコンの木本 雅博氏が『逆転裁判』で用いたスクリプトシステムを実演交え紹介しました。
『逆転裁判』における演出全般はすべてスクリプトで制御されています。
シナリオをスクリプトに変換し、演出担当者がスクリプトで試行錯誤をくりかえし細かい演出をつけていくというものです。
その作業の効率化、エラーの防止のための様々な工夫を凝らしたようです。
スクリプト作業はエクセルで
『逆転裁判4』までのスクリプトはテキストエディタで直接打ち込んでいたそうです。
しかし、それでは記述ミスが見つけにくいことやスクリプトの編集が煩雑になってしまうなどの問題点が出ていたようです。
そこで、『逆転裁判5』からスクリプトの記述は表計算ソフト「エクセル」で行うことにしたとのこと。
プルダウンメニューを用いて命令文をすべて覚えていなくても使えるようにし、記述ミスがあればセルを赤くするなどエラーの見つけやすさも大幅に向上したようです。
作業をおこなう中でシナリオの途中からスタートさせることも多々あります。
単純のその場から作業に取りかかると、フラグ、キャラクター、サウンド、カメラなどの状態が白紙のままスタートしてしまい前後関係が崩れてしまいます。
それを防ぐためにスクリプト開始時に直前のメタデータを読み込み、作業前の状態から作業開始時のシチュエーションを再現するという手法を用いたそうです。
セッション終盤にはキャラクターの移動法、カメラの画角調整など、3D演出への強いこだわりについても触れました。
私もアドベンチャーゲームの制作に携わる人間として演出を通して画面をいかに面白く見せるかという点にこだわる気持ちはよくわかります。
また、スクリプト作業の効率化手法については自身の仕事の効率化に活かしていきたいと思いました。