(2015年8月27日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
中国がくしゃみをすると、世界が鳥インフルエンザに倒れる?〔AFPBB News〕
かつては、米国がくしゃみをすると、諸外国が風邪を引くものだった。それが今、経済のインフルエンザを蔓延させることにかけては、米国には正真正銘のライバルがいる。最近では、どうやら、中国がくしゃみをすると、世界が鳥インフルエンザで倒れるようだ。
中国が今、世界の経済生産の16%を占め、購買力平価(PPP)ベースで米国と並んだことを考えると、これは何ら意外ではない。
エコノミストたちは長年、中国政府に市場志向の改革を採用するよう求めてきたが、恥ずべき秘密は、中国がまさに正反対のことをして世界経済を背負ってきた、ということだ。
そして中国経済が大きく揺れ、中国の政策立案者が市場が若干の影響力を振るうのを容認している今、世界の投資家は恐怖におののきながら事態を見つめている。
世界経済を背負ってきた中国の代償
2008年に世界が事実上の封鎖状態に陥った時、物事を動かし続けたのは、中国の国家介入――本当に巨大な規模の昔ながらの景気刺激策――だった。
石油、鉄鉱石、銅に対する中国の需要が、南米からアフリカまで、さまざまな資源生産国に活況をもたらした。中国の消費需要の急増のおかげで、米国の自動車メーカーや台湾の半導体メーカーが破綻を免れた。
だが、中国経済には、支払わねばならない代償があった。システム全体の債務総額は2009年以降膨れ上がり、国内総生産(GDP)比130%から約280%に跳ね上がった。中国は投資水準をGDP比50%近くに増やし、まるで必要のない住宅、オフィス、製鉄所を建設した。