北川慧一
2015年8月28日05時01分
受験ビジネス業界が大再編時代に入っている。中学から大学受験まで対応する「垂直展開」を狙い、大手予備校が、有力学習塾買収に動いているからだ。少子化で受験生は減るが、1人の子どもに注がれる教育費はむしろ増加傾向。これを逃すまいという取り組みが続いている。
難関大学受験で定評のある通信教育「Z会」を展開する増進会出版社(静岡県長泉町)は今月1日、学習塾最大手の栄光ホールディングス(HD)へのTOB(株式公開買い付け)が成立したと発表した。買収総額は約137億円だ。
売上高が約190億円の増進会にとって大きな「賭け」だが、受験生の減少で、10年間で売上高が1割超減ったことが背中を押した。栄光HDは約430教室、約6万6千人の生徒を抱える。増進会の藤井孝昭社長は「リアルな教室を持つ栄光は魅力的だ。通信と融合させたい」と話す。
文部科学省によると、大学・短大の受験者はピーク時に比べ4割減った。大学受験生を相手にする予備校や通信講座は生き残りに必死だ。いかに優秀な生徒を集め合格実績を上げていくかが、競争に勝ち抜くカギになる。そこで有望な生徒を多数抱える中高受験の学習塾との統合が進む。
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