南北協議:合意解釈めぐり是非

-「実質的な謝罪だ」
挑発否認してきた北が主語になった初の遺憾表明
哨戒艦沈没・延坪島砲撃時は北の遺憾表明なかった


-「譲歩しすぎた」
「謝罪」と「再発防止」の文言、文面に明記なし
挑発の主体も不明、砲撃事件に言及できず

南北協議:合意解釈めぐり是非

 今回の南北高官協議合意では、地雷による軍事挑発に対する北朝鮮の謝罪や再発防止がきちんと反映されているかどうかをめぐり、評価・解釈が分かれている。

 南北が25日に発表した南北共同報道文の第2項は「北側はこのほど軍事境界線の非武装地帯南側地域で発生した地雷爆発により南側の軍人たちが負傷したことに対し遺憾の意を表明した」という内容になっている。金寛鎮(キム・グァンジン)韓国大統領府国家安保室長は記者会見で「地雷挑発など一連の事件について、北朝鮮が主体の謝罪を受け、再発防止の約束を取り付けた」と述べた。

 しかし、文面には「謝罪」や「再発防止」といった文言がないため、「確実な謝罪」とはかけ離れているという声が上がっている。自由民主研究院のユ・ドンヨル院長は「挑発の主体と遺憾表明の主体が不明。謝罪と見なすには不十分だ」と評した。責任を認める「謝罪」とは違い、「遺憾」という表現は主体や責任性があいまいだということだ。さらに、地雷「挑発」ではなく「爆発」という表現も、偶発的事故と曲解される可能性がある。北の砲撃に対する言及が全くないことも問題点として指摘された。挑発問題が合意文の第1項でなく、その後の第2項に出てくることも議論の争点となっている。

 これについて、大統領府関係者は「北が普通、南側地域・南側兵士の負傷に対し遺憾の意を表明するだろうか。実質的な謝罪と見ている」と述べた。北朝鮮が最近まで韓国の「自作劇」とし、地雷挑発を否定していたことを考えると、「北側」が主語になった遺憾表明は「実質的な謝罪」と見なせるということだ。東国大学のキム・ヨンヒョン教授は「現在の南北関係を考えれば、『遺憾を表明した』というのは最大限の南北の妥結点」と語った。韓国統一部(省に相当)の洪容杓(ホン・ヨンピョ)長官は同日「北朝鮮が『北側』を主語にして大韓民国政府にはっきりと遺憾の意を表明した初の事例だ」と述べた。北は2010年の韓国海軍哨戒艦「天安」爆破・沈没事件時、「超大型の謀略劇」として遺憾の意を表明しておらず、延坪島砲撃時は「民間人の死傷者が発生したというのが事実なら遺憾だが、その責任は軍事施設に民間人という人間の盾を作った敵の仕業にある」と主張した。

 「再発防止」の部分も議論の的になっている。政府は「南側は正常でない事態が発生しない限り、全ての拡声器放送を8月25日昼12時から中止することにした」という報道文第3項が再発防止に関連する事項だと説明した。洪長官は「北朝鮮が地雷や砲撃挑発を再びするなら、それに伴う報復が必ずあることをはっきり告げたものだ」と主張。北朝鮮向け拡声器放送再開の可能性を残したことの方が、文面の「再発防止」より抑止効果が大きいという説明だ。だが、最大野党・新政治民主連合の文在寅(ムン・ジェイン)代表は「金寛鎮国家安保室長は『北朝鮮が地雷挑発を謝罪し再発防止を約束した』とし、合意文と違う発表をした」と問題提起した。

 専門家らの評価も分かれている。梨花女子大学のチョ・ドンホ教授は「『謝罪』や『再発防止』といった文言を盛り込もうとしたなら、会談は決裂し事態は悪化していただろう」、西江大学のキム・ヨンス教授は「残念な点が多いが、大きな枠組みでは成果が少なくなかった」としている。しかし、ユ・ドンヨル院長は「対外的条件は韓国に有利な状況だったのに、政府が譲歩しすぎた」と見ている。

鄭佑相(チョン・ウサン)記者
<記事、写真、画像の無断転載を禁じます。 Copyright (c) The Chosun Ilbo & Chosunonline.com>
関連フォト
1 / 1

left

  • 南北協議:合意解釈めぐり是非
  • 南北協議:合意解釈めぐり是非

right

関連ニュース