東京株式市場で2月23日、日経平均株価の終値が1万8466円を付け、2000年4月以来14年10カ月ぶりの高値を付けた。「円安による日本企業の好業績を背景に、海外投資家が買っている」といった解説が新聞・テレビを通じて一斉に流れた。
東京株式市場で2月23日、日経平均株価の終値が1万8466円を付け、2000年4月以来14年10カ月ぶりの高値を付けた。「円安による日本企業の好業績を背景に、海外投資家が買っている」といった解説が新聞・テレビを通じて一斉に流れた。それが事実ならば、アベノミクスの成功を見越した海外投資家が積極的に買っているということになる。これは本当なのだろうか。
買い本尊は「年金資金」
実は、統計で判明している年明けから2月13日までの間、海外投資家は買っていない。東京証券取引所が発表している投資部門別売買動向によると、逆に1兆1138億円を売り越しているのだ。年初から2月20日まで、日経平均株価は約1000円上昇しているが、少なくとも13日までの600円分の上昇には海外投資家は寄与していないのである。
ではいったい、誰が今の株高を支えているのか。個人投資家は1月は買い越したものの、2月に入って大幅に売り越しており、2月13日までの累計では1851億円の売り越し。個人も買っていないのだ。
この間せっせと買っていたのは、「信託銀行」部門である。7037億円の買い越しだった。このほか、事業会社の買い越しなどもあるが、圧倒的に信託銀行が目立つ。背後には年金資金があると見られる。年金基金などが株式運用をする場合、運用委託先が信託銀行などを通じて売買するため、投資主体は信託銀行ということになるのだ。
年金基金といっても、企業が持つ厚生年金基金などは、年金の支払いが増えて運用資産が減少する傾向にある。運用難から基金を解散する動きも活発だ。つまり、株価を押し上げているのは民間にある年金資金ではないと見られる。
GPIFの巨額資金によるPKO
可能性が高いのは、GPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の資金だ。GPIFは国民から預かった130兆円を一手に運用しているが、昨年10月に運用ポートフォリオ(資産構成割合)の見直しを発表した。
それまで60%を日本国債などの「国内債」で運用するとしていたものを35%に引き下げる一方で、国内株式を12%から25%に、外国株式を12%から25%に、外国債券を11%から15%にそれぞれ引き上げた。