22日、中国共産党と軍が北京で実施した軍事パレードの予行演習=AP
中国が9月3日に北京で開く「抗日戦勝70周年記念式典」に、外交面で関心が集まっている。韓国大統領府は、朴槿恵(パク・クネ)大統領が行事のハイライトである軍事パレードに列席すると発表。中国はこの式典で国威発揚を図ろうと30カ国の元首や政府首脳級の出席にこぎ着けており、なかでも朴大統領はロシアのプーチン大統領と並ぶ主賓級といえそう。どんな行事になるのか、習近平国家主席や両大統領はどんな発言をするのか――。対日外交を占う意味でも注目だ。
■どんな行事? 天安門広場で開催
中国共産党と人民解放軍が北京中心部の天安門広場で行う記念大会と軍事パレード。
中国は2015年を「抗日戦争と世界反ファシズム戦争勝利70周年」と位置付け、この行事を重視している。
パレードのリハーサルで北京上空を飛ぶ航空機(23日)=ロイター
■パレードで軍事力誇示 最新兵器も登場?
習近平国家主席(中央軍事委員会主席)は2009年の前回パレードに比べ5割多い1万2千人を閲兵し、500以上の国産兵器を動員する。
中国メディアはステルス戦闘機「殲20」、移動式大陸間弾道ミサイル「東風41」、対艦弾道ミサイル「東風21D」など新型兵器が登場する可能性があると報じており、軍事関係者の注目を集めそうだ。
人民解放軍によると、登場する兵器は全て国産の主力で8割以上が初公開。国産兵器の開発・生産を進めてきた「成果」を示し、軍事力をアピールする場となる。
パレードのリハーサルを終え、走り去る戦車=AP
中国、軍事パレードに1.2万人動員 兵器の8割が初公開(8月22日)
■韓国、中国重視鮮明に
欧米の主要国首脳は式典参加を見送り、閣僚や大使の派遣にとどめた。1989年の天安門事件の現場であり、一連の行事が反日運動の一環と受け止められているためだ。韓国も、同盟国の米国から「中国にとりこまれないように」などと警告を受けていた。にもかかわらず、朴大統領が軍事パレードにまで参列するのは中国重視の表れだ。
米国の懸念や国内保守派の反発にもかかわらず最終的にパレード出席を決めたのは中国の強い要望に応えるためだ。
韓国にとって中国の重みは年々増している。最大の貿易相手国であるという経済的な理由に加え、北朝鮮問題で影響力に期待している面もある。
韓国の朴大統領(左)と中国の習国家主席。両国関係は「過去最高」との声もある=聯合・共同
■北朝鮮の金第1書記は不参加 日本は…
北朝鮮は金正恩(キム・ジョンウン)第1書記の代わりに側近の崔竜海(チェ・リョンヘ)労働党書記が来る。
日本は軍事パレードに政府関係者は出ず、その他の関連行事の対応も未定。政府とは無関係の立場で村山富市元首相が参加するにとどまる。
中国抗日式典に49カ国参加 欧米は首脳派遣せず(8月26日)
北京の天安門前には多くの椅子が並べられ、式典の準備が進む(22日)=共同
22日、北京の市街地を走る軍用車両。パレード参加の準備とみられる=AP
■安倍首相、中国との首脳会談仕切り直し
安倍晋三首相は9月初旬に訪中し、首脳会談を実現する道を探っていた。しかし、行事の反日色を懸念する日本側に対し、中国からそれを払拭する回答はなかった。
日本から式典欠席を中国側に伝えたのは8月23日。9月中旬までの成立をめざす安全保障関連法案の参院審議の時間を削ってまで中国を訪れる意義を見いだせないと判断した。支持率押し上げ効果も期待薄とみた。
今後は秋の国際会議の場を使った「安倍・習」会談に向けて仕切り直す。
「安倍・習」会談、仕切り直し 首相が9月訪中見送り(8月25日)
北京の天安門広場に設置された、万里の長城をあしらった記念行事用の飾り付け(22日)=共同