どうも、私です。
このブログ記事は、カフーツのブログJelly vol.35の参加記事です。
で、掲題の件です。
私の曽祖父を紹介します
まずは、曽祖父についてです。ひいおじいちゃんです。名前は、西亀正夫、と言います。西の亀、と書いてニシキ、と読みます。
さすがにWikipediaに記事はないのですが、ひいおじいちゃんについては、学術研究書が出版されていて、そのPDFも一般に公開されているので、興味ある方はどうぞ。
一言で言うと、曽祖父は戦前の地理学における研究教育者だったとのこと。このあたり、鉄道オタクである私には親近感を覚えます。
日本だけにとどまらず、世界地理にも通じ、満州や樺太などにも研究旅行に言ったそうです。
明治16年(1883)広島生まれ。尋常小学校卒業後から教員の世界に入り、日露戦争による召集で中断はあったものの、その後も生涯にわたり、教育の分野で生き続けたとのことです。よっぽど地理研究が好きだったんだなあ、と思います。
昭和20年、8月7日、広島で原爆戦災死。
今年の検索結果は全く違った
この曽祖父のことは、私が10代の頃から親戚の間で話題に登る人物でした。先に示した書籍も、実本を親戚から譲り受け、何度も読み返しています。
ちなみに、私から見て大叔父にあたる、曽祖父の息子氏も、国鉄職員で東海道新幹線の路盤を設計したそうです。そういう親戚事情を聞いていると、鉄道オタクの私は、血筋というか、とてつもない親近感を抱くようになりました。
時々思い出したように曽祖父や大叔父の名前で検索するのですが、だいたい曽祖父については件の学術研究書が。大叔父もリニアモーターカーについての書籍を一冊出していたので、それぐらいが検索にヒットする程度でした。
しかし、今年は違いました。
なぜか、なんとなく、戦後70年だから、とかそういうわけじゃないと思います。でも、広島原爆の日が近づいた8月5日、なんとなく曽祖父の名前で検索したら、検索結果にAmazonのページが…
なんと、Amazonに曽祖父の名前で著者ページが出来ていたのです。
AmazonがKindleで古い本を出版している背景
あわてて、それら曽祖父がかつて出版していたであろう本の個別ページを見に行くと、いずれも1930年代の日付で出版されており、書影もレトロで、明らかに当時のものを思わせます。
しかし、販売元は「Amazon International Service」となっていて、Amazonが販売していることを匂わせます。
いろいろ調べてみると、Amazonは著作権の切れた著作物を次々とKindle本として出版していることがわかりました。
もっとも、曽祖父のこれらの本はKindle化されるより前に近代デジタルライブラリーという、国会図書館に所蔵されている著作権の切れた出版物を公開しているサイトがあるのですが、AmazonはこれをKindle用に最適化して、100円で販売しているようです。
弊ブログでも以前著作権について触れた記事も書きましたが、著作権の有効期限は、我が国では公表から50年。1930年に出版された曽祖父の本で言えば、1980年にはとっくに切れているわけです。
なお、タイトルに「遺族に承諾なく」なんて書いていますが、そもそも著作権の切れたものに承諾の必要もなく、当然のことでしょう。(ま、このタイトルは一種の煽りですけどね。)
遺族的には光栄なことだと思う。後の社会のためにも
近代デジタルライブラリー自体は結構前からWeb上で見ることが出来たのだそうですが、それに気づくことがなかったのは、おそらくデジタルライブラリー側で適切なSEOがなされてなかったからでしょう。
私が時折曽祖父の名前で検索しても、著作がネット上で読めることに気付かなかったのは、そういうことだと思います。
しかし、Amazonが近代ライブラリーの著作をスキャンして販売するようになったおかげで、amazon.co.jpの強力なドメインの力によって、曽祖父の名前は広大なネットで再び見つかるようになったわけです。
そもそものデジタル化をしてくださった近代デジタルライブラリーには感謝の気持ちでいっぱいですが、それを検索エンジン上で見つけられるようにしてくれたAmazonには、それを上回る運命を感じます。
彼が息を引き取った70年後の2日前に、そのひ孫が、絶版となり、国会図書館でしか読めなくなった彼の本を、国会図書館から遠く離れた兵庫県伊丹市の自宅でネットを使って読めるようになったことは、AmazonがKindle本として出版しなければおそらくなしえなかったことであり、またそれがアメリカの企業であるということも、万感の思いがありますね。
と、そんなロマンチックなことを書きつつ、1930年代の地図旅行に思いを馳せ、筆を置きたいと思います。